『解決!ナイナイアンサー』で異彩を放つ「性格リフォームの匠」の本物感
今回ツッコませていただくのは、11月20日に放送された『解決!ナイナイアンサー』(日本テレビ系)の「熟年離婚予備軍SP☆1」。「悩める芸能人よ、打ち明けなさい。」をキャッチコピーに、10月23日にスタートしたばかりの同番組。“約20人のクセ者相談員が解決”ということだが、まず不思議なのは、悩みを打ち明けるゲストの芸能人に対して「相談員」の数ばかりがやたらと多いこと。
ネット上では「『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)のパクリ」などとも言われていたが、ある相談員がアドバイスをすると、傍からすぐに真逆と思える否定コメントが入る、「お約束」な感じもあるやりとりは、上沼恵美子が「大阪城もウチのもんなんですけどねえ」と吹いた直後に、辻本茂雄がアゴを「フランスパン」とイジられる『バラエティー生活笑百科』(NHK)の大人数版のようにも見える。
ところが、和気あいあいとした生活バラエティー的な空気の中に、たった1人、別の空気を持ち込む異質な相談員がいた。それは、「性格リフォームの匠」の心屋仁之助。精神分析、交流分析、対象関係論から、認知療法を行う心理カウンセラーだ。
悩みを打ち明けたのは、かつて大流行したチワワの「くぅ~ちゃん」CMのおじさん・清水省吾とハルマン夫妻。
「妻が強すぎて夫婦で会話が成り立たない」「仕事が大変な時にもパンツを洗わせる」などという清水と、「夫は運命の人じゃなかった」というハルマンに対し、各相談員がそれぞれのアドバイスをする中、心屋だけがまったく別のアプローチを実践。
「問題は清水さんの心の中にある」「むしろ清水さんが奥さんの態度を作ってしまっている」として、根底に母親に対するトラウマがあることを指摘し、「どうせ私は愛される」などと唱えることを勧めると、清水の表情が一変。まるで「くぅ~ちゃん」に魅入られた時のように表情がほぐれ、固まった心が氷解するように、みるみるカウンセリングにハマり込んでいく様子が見られた。
その真剣で深い「のめり込み方」は、まるで心霊番組の降霊企画で、「霊の声」に耳を傾けているタレントのようにも見える。
正直、そこまではすべて前座で、相談員はこの人だけでよさそうにも思えてしまう。こうした展開には、「マインドコントロール」「新しいオーラの泉」などという声がネット上で上がっていたが、ともかく1つ言えることは、「性格リフォームの匠」などという胡散臭そうな肩書にもかかわらず、この人、かなり凄腕のカウンセラーではありそうだということ。近いうちに、この「異質な部分」だけが独立して、別番組になりそうな予感がしてならない。
(田幸和歌子)