『はねトび』『HEY!×3』終了で懸念される、民放ご長寿番組の寿命
キングコング、ロバート、ドランクドラゴン、北陽、インパルスが出演していた『はねるのトびら』(フジテレビ系)が、今年9月に最終回を迎えた。番組開始から11年半にわたって放送されていたが、近年は視聴率低迷に苦しんでいた。また、同局の番組では、1994年10月にスタートしたダウンタウン司会の音楽番組『HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP』も年内で放送終了が決定している。
一般的に「ご長寿番組」といえば、20年、30年と続いている『笑点』(日本テレビ系)、『徹子の部屋』(テレビ朝日系)、『森田一義アワー 笑っていいとも!』(フジテレビ系)などが挙げられるが、入れ替わりの激しいプライムタイム(夜7時~11時)に関しては、10年以上続いている番組を「ご長寿番組」とみる場合もある。
同時間帯で、現在も放送されている「ご長寿番組」の中で高視聴率を稼げるバラエティー番組は、97年10月から放送が開始された『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)。毎回15%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)前後の数字を獲得しており、杉田かおる、温水洋一、坂上忍ら、数々の俳優や女優、若手タレントがブレークするきっかけを作るなど、影響力も強い番組だ。
また、そのほかにも、同局では、11月7日放送のSPで15.7%を記録した『ザ!世界仰天ニュース』、同8日の通常放送で12.4%の『ぐるぐるナインティナイン』、同11日の『行列のできる法律相談所』は15.2%と、他局よりも「ご長寿番組」の視聴率は比較的高い。
「日テレは人件費を抑えるために、社員の給料を下げ続けた結果、アナウンサーの大量流出が話題になりました。しかし業績のためにコストカットするのは、企業にとって堅実かつ賢明な判断。長年続く番組が軒並み高視聴率を誇っているのは、堅実な日テレらしい成績ですね」(芸能プロ関係者)
一方、今年4月からの上半期で、59年の開局以来初めてプライム帯の視聴率トップに輝き、好調な成績を見せているテレビ朝日を見てみよう。10年以上続いているバラエティーといえば『大改造!!劇的ビフォーアフター』『ビートたけしのTVタックル』『ロンドンハーツ』『いきなり!黄金伝説。』が挙げられるが、11月6日のSPで14.1%を取った『ロンハー』に比べて、ほかの3番組は視聴率一桁台の回が多い。同局の場合は近年、23時台や深夜枠の番組をゴールデンに昇格させる流れを得意としているため、入れ替わりが激しく、ご長寿番組で高視聴率を獲得できているものは意外と少ないようだ。
そして今年、『はねトび』と『HEY!HEY!HEY!』の2本を終了させる英断を下したフジテレビだが、ほかにも『SMAP×SMAP』『とんねるずのみなさんのおかげでした』『奇跡体験!アンビリバボー』『めちゃ×2イケてるッ!』と同局を支えてきた番組は健在。『スマスマ』に関しては、年々視聴率が低下していることにより打ち切り説が出ているが、数字的にはさほど悪くない。11月12日の第4回で18.4%を記録した木村拓哉主演の月9ドラマ『PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~』効果も大きかったのか、同日の『スマスマ』は前週の10.3%から15.1%と大幅にアップしていたほどだ。
「フジテレビは、『スマスマ』以外は各番組とも通常放送で10~12%の間を行き来しているものが多く、突出して高視聴率を出せる番組がない。『めちゃイケ』も数字は取れなくなってきていますが、メンバーがそれぞれ他局でも番組を持つほどの人気タレントに成長し、かつ大物ゲストをいくらでも呼べるという手堅い枠だけに、そう簡単に打ち切れる番組ではない。しかし『HEY!HEY!HEY!』や『はねトび』のように長く続いた番組を終わらせるということは、強硬な刷新を図ろうという、フジ側の焦りが見え隠れします」(テレビ局関係者)
しかし、視聴率低下が叫ばれているフジテレビよりも、民放各局の中で最も不調といえるのがTBS。プライム帯で長続きしている番組も少なく、86年放送開始の『日立 世界・ふしぎ発見!』や、96年スタートの『さんまのスーパーからくりTV』は、直近の視聴率を見てみると、8~11%台とあまりパッとせず、このまま下降すれば番組終了となる可能性も。
そんな中、塩谷瞬の二股騒動で渦中の料理研究家・園山真希絵を出演させるなど、常に旬の人物を取り上げる『中居正広の金曜日のスマたちへ』は、石田純一&東尾理子夫妻の第一子誕生に密着した11月9日のSPで、17.6%を記録。同局にとっては、定期的に高視聴率を稼ぎ出せる貴重な存在だろう。
バラエティー番組は1つのコントやコーナーがヒットすると、番組自体も波に乗ることができるが、視聴者に飽きられた後の対応力が肝心。ご長寿番組として生き残っていくためには、伝統を守りつつも新たな企画をどんどん生み出すことに、どれだけ尽力できるかにかかっているのだろう。