富士そばで7,000円のパスタを作る落合シェフより、気になる点
10月11日に放送された日テレ特番『大人気店で史上初のドッキリ!ありえない商品 売れる!?売れない!? Part2』。こんな店でこんな商品が!? と、例えば高額商品を低価格の店などに置いてみて、それが実際に売れるのかどうかを検証するという、ドッキリの変形パターンみたいな番組だ。
最初に紹介されたのが、「メンタリスト・DaiGoが曲げたフォーク」。これをダイソーで100円で売ってみる、というもの。使えはしないがDaiGoだし、100円だし、といったあたりのバランスがキモなわけで、早速子どもが「すげぇ」と食いついていた。でも、「食べられないしね」という、結構まっとうな理由で買わなかったけど。結局、若いカップルが「これハンパないね」と、ノリでお買い上げ。ダイソーでは、「これ100円ってすげえ、でもどうやって持って帰る?」という商品、体操マットも登場し、これも売れていた。
ほかにも回転寿司のかっぱ寿司では、キャビア20粒の軍艦巻きやチーズバーガー、のり茶漬けをレーンに流したり、福岡ドームのホークス戦のスタンドで、1万5,000円の高級ブランデーを売ってみたりと、ありえなさとリアルの線引きの塩梅が絶妙。「ありえねぇ!」とか思いながらも、興味持った感じのお客さんが顔を近づけたりするとちょっと期待してみたり、本当に購入した人がいるとちょっとうれしくなったり。何より、「すげえ!」「安い!」、逆に「高っ!」「本日限定って書いてある!」といった、さまざまなリアクションがまた正直な感じで面白い。自分も遭遇したら、もしかしたらノリでいっちゃいそうな気もする。
番組中盤に登場したのが、イタリアンの巨匠・落合務が作る7,000円のパスタ。落合シェフとはいえ、パスタとしてはただでさえ高額なのに、これを立ち食いそばチェーンの富士そばで売るという。価格もそうだが、そもそもそば屋だし、難易度も高そう。富士そばの厨房で見守る当の落合シェフ自身が、「俺も払えないもんなぁ~」「(通常メニューの)10倍以上の値段だから」と、ちょっと消極的。
案の定、全然買い求める人がおらず、なんとなく消沈気味になりかけたところ、2時間15分後に1人の女性が注文。厨房奥で、「やった!」と声をあげ、調理しながら「いい人だなぁ。天使に見えた」という落合シェフの姿がちょっとカワイく見えた。視点を変えて、「落合シェフのパスタを食べられる権利」を7,000円で購入という、ハンマープライス的なものだと思えばアリなのかもしれない。ほかにも「戦場カメラマン・渡部陽一が写す子どもの写真 8万円」とか、「水木一郎がカラオケで『マジンガーZ』を歌ってくれる 2万円」とか、いくつかハンマープライス的なものもあった。
その後、この落合シェフ特製パスタは次々オーダーが入ることになるのだが、購入したお客さんの中には、「(前回の放送を見て)次回あったら食べたいなと思って」という人もいた。「あの番組のやつか」とわかられてる時点で、もう「お金出しても大丈夫」な空気がお客側に生まれるわけで、本末転倒というか、ドッキリの意味合いが少し変わってきてしまうのではないだろうか。続々とオーダーが入る当の落合シェフは、
「なんかうれしいねぇ、ウォッホホホホ」
と、ヘンな笑い声で調理に夢中だったが。
ところで、この「ありえない商品」を見てさまざまなリアクションをとるお客さんたちの結構多くの人が、ケータイやスマホで写真を撮っていた。考えてみたら番組オンエア前に、Twitterやブログなんかで、「100均に体育のマット!」だの「かっぱ寿司でハンバーガー流れてきた」だの「富士そばで落合シェフのパスタ! 7000円www」だのと、ドッキリの内容が明らかになって台無しになりそうな気もするが、実際どうなんだろうか。写メした人にいちいち説明するのも難しそうだし。など、ヘンなところを気にさせられてしまいました。
(太田サトル)