西原理恵子&高須克弥、熱愛をネタ化してみせた“夫婦漫才記事”の計算
下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の”欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
第147回(10/12~16発売号より)
「iPS細胞移植疑惑」の森口尚史氏が連日のようにマスコミを賑わせている。だが森口氏の“虚言”以上に問題なのが、これをスクープとして一面で報じた読売新聞だろう。森口氏1人の証言を鵜呑みにし、単純な周辺へのウラ取り取材を怠った。3年前の2009年には「週刊新潮」(新潮社)を舞台にした「赤報隊犯人告白」大誤報事件があったが、この際「週刊新潮」は大きな批判に晒された。今回はそれ以上の大誤報事件だが読売新聞への批判の声は意外にも少ない。森口氏を攻め立てるだけでなく、メディア事件としての検証が必要だろう。
1位 「森田剛 交際順調! miisonoと白昼堂々『LOVEゴルフ』」(「週刊女性」10月30日号)
2位「高須克弥さん西原理恵子さん いいとこ取り熟年交際」(「女性セブン」10月25日号)
3位「水嶋ヒロ『妻のため…』主夫“専心”で頼った指南役は工藤静香!」(「女性自身」10月30日号)
V6・森田剛とmisonoのゴルフデートをスクープした今週の「週女」。10月上旬、長野県のゴルフ場。森田とmisono、そしてゴルフのコーチらしき2人の計4人でコースを回っていたらしい。真剣な表情でmisono のスイングを見つめる森田。misonoは「めちゃ楽しい~」とはしゃぎ、その様子が写真にもバッチリ収められている。ゴルフ場に居合わせた客からは「大声ではしゃいでいましたよ。いかにも仲のいい恋人同士という雰囲気」だったという。大変ほほえましいカップルの誕生である。もちろん、ジャニーズタレントの森田であるからして、双方の事務所は「交際はしていない」と全否定であったのだが――。
だがこのスクープの経緯は興味深い。なにしろ発端はまたしてもTwitterだったのだ。「週女」記事にもそれは明記されている。今年6月に2人は神戸の高級焼肉屋に行き、その際居合わせた客がそのTwitterに書き込み、 “交際説”が浮上したというのだ。そこから「週女」の追跡劇は始まったらしい。芸能人にとって本当に恐ろしい世の中だが、一方芸能マスコミにとっては、ネタ探しもネットサーチという安易な方法が出現したということだ。それを堂々と明記する時代になったと思うと、複雑ではある。
さらに、「週女」はネタの発端がTwitter情報だったというだけでなく、さらなるヘタレぶりを明記している。「数カ月前から本誌も2人の動きを見守っていたが、彼らをとらえることができなかった」として、「森田が深夜12時を過ぎてから自宅マンションを出てタクシーに乗り込むことは何度かあった。ひょっとしたら、彼女と隠れ家的なお店に行っていたかも」だってさ。“ひょっとしたら”なんて思うのだったら、なぜタクシーを後尾しない。車での張り込みではなかったの!? 立ち張りでタクシー代がなかった!? 取材費削減!? ともあれ、数カ月にわたる“見守り”の末、ゲットした今回のゴルフデートは労作には違いない。森田とMisonoという“大物カップル”というのはイマイチ抵抗のあるカップル誕生だが、ここは森田の元カノ・上戸彩も結婚したという話題性で、どうにかフォローできたかも。女性週刊誌唯一のジャニーズキラー「週女」の面目は保たれたスクープであった。
高須クリニック院長と西原理恵子の熱愛――これを聞いて多くの人が何かの冗談かヤラセ、はたまた話題作りだと思ったはずだ。かくいう筆者も当然そう思った。確かにサイバラと高須院長は仲良しだ。一緒にテレビ出演するだけでなく、海外旅行、高級レストランにも一緒に行く。これを雑誌やブログで公言していた。でも、高須院長はほかにも女性文化人たちのスポンサー、タニマチ的存在で、サイバラはその最高峰であったかもしれないが、そんな関係性があからさまだからこそ、男女の仲とは思われずらかった。それがまさかの交際宣言である。ホンマかいな。だからなのか、「セブン」記事も唐突だ。というか、「セブン」が2人の熱愛をキャッチして、取材を申し込んだという記事ではない。はなから2人の熱愛対談になっている。2人の風変わりな出会いから、自身の生い立ち、お互いの配偶者を亡くしたこと、そしていつしか仲良くなり、デートは高須が名古屋から上京してくる週1回、ホテルでルームサービスなどなど、交際の様子が2人の口から明かされていくのだ。まるで夫婦漫才のように息のあった様子である。
あぁぁー。この記事、はっきりいって2人の作戦勝ちである。メディアの使い方をよくご存知で、と言うほかない。メディアは、ネタがあればなるべくスキャンダラスに追及したい。しかし当事者たちが登場し、赤裸々に詳細をしゃべってしまうとスキャンダルにはならない、というジレンマがある。スキャンダルは当人たちが隠したいからこそ価値があるのであって、堂々とされたら単なる美談だ。宮根誠司の隠し子が発覚した際も、マスコミの取材に応じて事情を話し、すぐに下火になった。堂々とされると追及できない。そもそもタイトルからして「高須克弥さん」「西原理恵子さん」とわざわざ“さん”と敬称を付けているのだ。普通はあり得ない配慮である。
筆者も同じ経験がある。現在では事実婚の関係にある、作家の白川道と新潮社の中瀬ゆかりだが、まだ2人の関係が知られていない10年以上前、『噂の眞相』(噂の真相)誌上で2人の関係をキャッチ、個別に取材を申し込んだのだが、なぜか2人連れ立って取材先に現れた。さらに2人が予約したという高級焼肉屋に連れて行かれて、全ての質問、疑問に夫婦漫才のように軽妙に応える2人。しかも知らない間に会計までされてしまった。完敗である。2人の関係をドロドロと書こうと思ったが、大幅にトーンダウンせざるを得なかったという苦い経験がある。メディアを熟知した中瀬・白川コンビであったが、今回は中瀬とも仲良しのサイバラによる “開けっぴろげ作戦”。これが「セブン」のトップ特集5頁を飾る――。
やっぱり何かの宣伝なのだろうか。2人が本当に熟年交際しているのか、夫婦漫才記事を読んでもどうしても確信が持てない。サイバラ・高須コンビによる“ネタ”ではないかという疑惑の目で見てしまうのだ。そんな疑問を持たれることこそ2人の“勝ち”なのかもしれない。参りました。
久々の登場! 水嶋ヒロセンセイである。作家活動は? 編集長を務める雑誌はどうなった? なんだか全部中途半端のようです。だから今は、妻・絢香を支える“主夫”にいそしんでいるらしい。そんな水嶋の料理の先生が工藤静香。かつて水嶋夫妻は木村拓哉・静香夫妻のお家に招待されたこともあるという、家族ぐるみの付き合いである。静香に料理指南を受けるとは贅沢だが、話は意外な方向へ。10月17日に発売される工藤静香のデビュー25周年シングルに楽曲を提供したのは絢香だった。その理由は静香が水嶋に料理を教えてくれることへの“恩返し”だというのだ。そんな理由で楽曲提供? これまたホンマかいな、である。羊頭狗肉とも思える無理やり感のある“ヒロが主夫に→静香料理指南→絢香の恩返し”という記事構成だが、このくらい無理やりストーリーを作らないと記事化できないのが、水嶋ヒロの話題性と近況なのかも。