話題作『赤い糸の女』で注目が集まる「昼ドラ」枠、出演者・制作側の思惑
双子タレント「マナカナ」の姉・三倉茉奈の濡れ場が話題になっている、昼ドラ『赤い糸の女』(フジテレビ系)。かつては全キー局に存在していた昼ドラ枠だったが、現在放送しているのは、同番組を放送中のフジテレビ系のみ。TBS系列では2009年に撤退し、テレビ東京も10年で放送枠自体が消滅している。また、採算が取れないことから撤退を余儀なくされる局側と同じように、役者や芸能プロダクションも昼ドラを避けたがる傾向にあるのだという。
「昼ドラは、通常のドラマと比べると放送回数が5倍近くにもなるのに、3カ月ほどで一気にまとめ撮りしているんです。主演級ともなると、ビジネスホテルと撮影スタジオを往復し続ける、完全な“合宿状態”に陥ってしまう。さらに、ギャラもゴールデンと比べれば当然格安ですからね」(芸能プロダクション関係者)
ところが今は、ゴールデンでさえ視聴率ひと桁が連発される時代。タレントや芸能プロも、「テレビに出ている」という実績を作るために、「背に腹は代えられない」と、昼ドラ出演を決めているようだ。
「昼ドラは、スケジュールやギャラ以外にも、出演したタレントに『落ち目』のイメージがついてしまうというマイナス面もあります。かつては、ゴールデンドラマに出演していたタレントが昼ドラに出るようになったら、『もう戻ってこられない』とまでいわれていましたからね。しかし、02年に放送された、横山めぐみ主演『真珠夫人』(フジテレビ系)は、そういった昼ドラのマイナスイメージを払拭したともいわれています。彼女は、『真珠夫人』で注目されたおかげで、ゴールデンに返り咲いた。その後も、04年の小沢真珠主演『牡丹と薔薇』(同)でも同じ現象が発生し、昼ドラに対する業界の見方も少しは変わったと思います」(同)
昼ドラが、「落ち目タレントばかりの番組」から、「わずかなチャンスが存在する番組」に格上げされて、約10年。しかしそれでも、昼ドラの地位が現在以上に向上するということも考えられないという。
「話題になっているとはいえ、『赤い糸の女』も視聴率ではまったく勝負にならない。スタートの9月時点では5%台だったものの、10月に入ってからは3%前後をウロウロしている。裏番組の『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)や『ひるおび!』(TBS系)が4%台をキープしているのと比べても、とてもいい数字とはいえません」(制作会社スタッフ)
さらに出演者だけでなく、必死なのは制作側も同じだ。恒例となっている濡れ場に関しても、現場による試行錯誤の結果から生み出されているという。
「作り手側としては『限られた条件の中で、どれだけ数字の取れる作品を作れるか』に、執念を燃やしているんです。お色気シーンが注目されるのはわかりきっていますが、時間帯を考えると、あまりに露骨な表現も難しい。そのため、ある意味メチャクチャな設定で乗り切ろうとするのがよくあるパターンで、こうした試行錯誤から『真珠夫人』や『赤い糸の女』も生まれたんです」(同)
出演する方も制作する方も、さまざまな思惑をめぐらせている昼ドラの現場は、ドラマ本編と同じくドロドロとしているのかもしれない。