ネガティブすぎるイケメンモデル・栗原類が、“ホンモノ”たるゆえんを探る
今回ツッコませていただくのは、近頃急速にテレビ露出が増えてきている「ネガティブすぎるイケメンモデル」こと栗原類。
唐突にメディアに登場する「~~すぎる○○」キャラには、大手事務所や代理店などの思惑がたっぷり詰まった諸事情があることも多いだけに、最初に目にした時は、この人も「また出てきた、新しい『~~すぎる○○』か」などという偏見に満ち満ちた目で見てしまった。
しかも、「ネガティブすぎる」みたいなキャラも、ルックスの方向性も「キレイなピース又吉じゃん」とも思った。そのうちに文学について語り出したり、意外とギャル好きだったりすることが判明したりするんじゃないかと思って見守ってみたのだが……。
ごめんなさい。この人、限りなく「ホンモノ」に見える。
それを確信してしまったのは、9月27日に放送された『とんねるずのみなさんのおかげでした×新番組フジ家の流儀 ぶちぬき2時間半スペシャル』(フジテレビ系)。とんねるず・石橋貴明が父で、栗原類はその息子という設定で登場したコーナー「フジ家の流儀 どこの家庭でも起こり得る身近な問題を真剣に討論」で見る彼には、ホンモノ感が溢れ出ていた。
1つは、常にどことなく震えている、安定感に欠ける声。アンガールズ・田中卓志にも少し似ている。また、うつむきながら目を合わせず、カメラ目線にもならずに、手を意味なくバタつかせながら話すところ。落ち着きなく、所在なげにドクロみたいなオモチャで手遊びしてるところ。それでいて、ほかの人が話している最中に、唐突に大きな声をあげてかぶせてしまうところも、ちっともテレビ向きじゃない。
スポーツ家庭教師のもと、足が速くなる実験で走らされた時にも、「だからもう、わかってんでしょ。まったくもう、ナ~ニやらせてんのっ。※△☆★」などと長い独り言を呟いていたが、ほぼ聞き取れない音量で、やっぱりテレビ用の声じゃなかった。ダラダラ中途半端に走りつつ、「本気で走ると速いの」「速いの、カッコ悪いから」と言い訳するヤンキー路線一直線のYOUとは、対照的だ。
さらに、ホンモノ感が突如溢れ出したのは、「ローラの彼氏で潔癖症」という設定でインパルス・板倉がやってきた時。それまでは話をフラれ、引っ張り出されて嫌々出てきていたのに、板倉俊之の話にだけは、いやに積極的にからむのだ。
例えば、「エレベーターのボタンが触れないから爪で押してる」という板倉の話に、唐突に「ハンカチ用意しろよ」「押すならハンカチかティッシュの方がラクじゃん」と食い気味にツッコミを入れる栗原類。その後も、板倉の話にのみ反応する。どこかしら初めて「お友達」が来た感覚だったのだろうか。明らかに台本の流れとは違う割り込み方に、近くにいたバナナマン・設楽統が驚いた様子で何度も振り返っていたのも印象的だった。
ホンモノの人は裏切らない。そして栗原類は、ホンモノだと思う。これがもし、テレビや代理店が作ったキャラだとしたら、ディテールまで完璧に演じ切れる彼は役者になれると思う。世間よりだいぶ遅ればせながら、今あらためて栗原類が気になる。
(田幸和歌子)