「りぼん少女」のときめき情報がいっぱい! 80年代の「ふろく」は国宝なのだ
少女だった頃、心をときめかせてくれた少女マンガ雑誌……と、その横にいつも一緒にいた「ふろく」という名の相棒。そばにいるのが当たり前だったから気付けなかった、あの頃の「ふろく」の魅力を、「昭和的ガーリー文化研究所」所長のゆかしなもん(通称・ゆかしな)がお届け☆
まだインターネットもスマホもなかった、1970~80年代の、あの熱き時代。少女漫画の黄金期ともいえる時代だった。クソ田舎に住む多感なイモ少女は、近所の薄汚ねえ本屋に平積みされたピッカピカの分厚い少女漫画誌の数々に、いつも心をときめかせていた。っていうか、それしか楽しみがなかった。
昭和50年生まれを代表する「クズ女」になった今、コミックスの大人買いなんかで作品を懐かしく読み返す機会はあっても、「ふろく」って、もうとっくに捨てちゃっている。ある人にとっては、それはただの「ゴミ」でしかない。しかし、ゆかしなにとってそれは、何物にも代えがたい「国宝」なのである、いやマジで。「ふろく」こそもう一度見たいし触りたいし、最大級にときめくマジカル☆ガーリーアイテムだったじゃん!?
てなわけで、今ごろ血眼になって70~80年代の「ふろく」や「全プレ」グッズを集めているあたしです。
各雑誌がアイディアと工夫を凝らしてしのぎを削った「仁義なきふろく戦争」に、毎月毎月当たり前のように触れてきた、あまりにも幸福な少女時代を忘れないため、ここに、我が国史上最強ともいえる「少女漫画誌のふろく」文化の一部を紹介していくYO!
80年代のゆかしなは、主に「りぼん」(集英社)少女であり、「ちゃおっ子」(小学館)でもあった。ほかにもいろいろ買い漁っていたけど、本当に好きだったのはこの2誌。だから、記念すべき最初の国宝級のふろくも「りぼん」のコレにする、勝手に!
■「保存版 りぼん実用ミニ百科 女の子ブック」(1983年2月号)
女の子が知りたい、お菓子作りや手芸の「HOW TO」に関する情報をいち早く、そして事細かに我々イモ少女に教えてくれた先駆者は、永遠のライバル誌「なかよし」(講談社)だったと記憶しているが、こちらもそんな「少女向けHOW TO本」の一種。表紙に「おとめちっく」の神、A子タン(陸奥A子先生)を起用しているところに「りぼん」のプライドと揺るぎない自信を感じる。そう、「りぼん」の時代を切り取るセンスの高さ、おしゃれセンサーは当時、群を抜いていたのだ。
中身も「くいしん坊さんのレッツ・トライクッキング」、「なんでもおまかせギャルズライフQ&A」、「お部屋の模様がえいろいろ作戦」、「ハートをキャッチ!手作りの小物たち」、美容系記事の「チャームアップノート」、そして全国のコンサート会場の情報やおもしろ文具、原宿イラストマップ、ステレオカセットプレーヤーカタログ……と、あたしたちが「知りたいんだよォオオ!!」とムッシュムラムラする、ときめき情報が丸ごと詰まっているのだ、この小さな一冊に! しかも、全120ページの中に、赤座ひではる先生や野口弓子先生、おーなり由子先生、西村玲子先生、小橋もと子先生etcによる神イラスト満載とキタ☆ ふろくの域、超えとる!
クッキング・コーナーの指導は竹内冨貴子先生。「ぷくぷくドーナッツ」、「ちょっぴりおとなのコーヒーゼリー」、「びっくりチョコレートケーキ」、「にこにこサンドイッチ」など、お料理の名前がいちいちカワユイ。「びっくりチョコレートケーキ」は何がびっくりなのかというと、たぶん、スポンジの代わりに「マリー」のビスケットを使っているから……だと思う。
「なんでもおまかせギャルズライフQ&A」はギャルズのお悩み相談コーナーとなっているのだが、「学校のトイレや洗面所って、どうしてあんなに汚いの?」「先生が大好き。この気持ち打ち明けたいんだけど……」「用意してないのに急にアレになっちゃった」「たいへん! 宿題を学校に忘れてきちゃった!」など、誰にでも「あるある!!」っていうか「あった、あった(遠い昔に)!!」という当時のガールズ共通の些細な悩み相談があったりして、なんだかほっこりしちゃう。おい、今の若い女子!! うちらのこのガラス細工のようなセンシティブさを少しは見習え!!
もちろん、恋愛のお悩みもたくさん☆ 「いつまでもいっしょにいたいけど、デートタイムは、何時ぐらいまで?」という真面目すぎる質問に、りぼん編集部のお答えは「暗くならないうちに、というのが無難なセン」。小学1年生か!! 健全すぎるわ! とツッコみたくなるが、「りぼん少女」はシャイな純粋培養おとめちっくガールだから、当然だわな。
「女の子のほうからデートにさそうなんて、ずーずーしいかしら!?」という質問には「ぜんぜんそんなことないわ。女の子はさそわれるのを待ってるだけ、なんてだれがきめたコト?」と一喝。「参考書買うんだけどいっしょに見にきて」というおすすめの誘い文句に、ゆかしなのケツの穴がむず痒くなる。りぼん編集部さん、ババアになった今こそ、何と言って殿方を誘えばいいのか、教えてくれ~ッ!
ウチらのような恋に恋する処女のために、この本の中では、「ABCの意味がわからない」という質問に答える形で、「A=キス」「B=ペッティング」「C=セックス」「D=妊娠」、と説明している。しかし、ゆかしなは「ペッティング」が、具体的に何をするのかがどうしてもわからなくて、誰にも聞けなくて悶々としてたわ。その後、同じく「りぼん」に連載された岡田あーみん先生の「お父さんは心配症」(83~88年)を読んで、Bがすなわち「ちちをもむ」行為だと知ったのであった。
「お部屋の模様がえいろいろ作戦」は、当時よくガールズ雑誌でも特集組まれていたインテリア術のページ。「私の部屋は四畳半の和室ですが、明るい洋室にしたいの」とか、「弟と2人でひと部屋なので、2つに分けたい」とか、「ベッドが欲しいけど買ってもらえない」といった、日本の狭小住宅ならではのリアルな悩みが泣ける。『ドラえもん』(小学館)のように「押入れ」を有効活用するべく、かわゆい机にしたり、クローゼットやベッドに変える涙ぐましいアレンジが載っていたりして、思わず熱いものがこみ上げてくるのだ。なんという平民向けな!
この時代の女の子はケーキ、クッキー作りをたしなみ、狭い合い部屋に文句ひとつ言わず、ポプリ作りに精を出し、フエルトのマスコット人形やポシェットをちくちく縫うようなピュアな乙女であった。少なくとも、「りぼん」を愛するような女の子たちは……。
あたしたち、少女漫画雑誌から、単に「まんが」以上の多くのコトを学んでいたんだネ!
ゆかしなもん
主に70~80年代の昭和ガーリーカルチャーを懐古&発信する「昭和的ガーリー文化研究所」所長。小学30年生でもある。2010年より、同名の武露愚(ブログ)をスタート。2012年5月、初のイベント『ゆかしなEXPO』を東京・東中野にて開催し、伝説の(?)ガーリー博覧会となる。次なる野望は、昭和アニメの祭典『ゆかしなまんがまつり』開催☆