「J・ビーバーじゃねぇんだよ!」グリーン・デイのビリーが大暴れし、施設へ
1990年のレコードデビューから20年以上たっても根強い人気を維持している人気パンク・ロックバンド「グリーン・デイ」のフロントマン、ビリー・ジョー・アームストロングが、21日に出演した音楽祭のステージで「ファック!」を連呼し、ギターを床に叩きつけるなど大爆発した。パフォーマンスの時間を大幅に減らされたことに怒りを炸裂させたのだが、その直後、薬物の乱用をやめるためにリハビリ施設に入所したことを発表。今月初めにイタリアで病院に担ぎ込まれたのも薬絡みだったのではと心配する声が上がっている。
今年40歳になったビリーが先週の金曜日にブチ切れたのは、インターネットラジオ大手のiHeartRadio主催の一大音楽祭『iHeartRadio Music Festival』でのこと。『ビルボード・ミュージック・アワード』や『MTV Video Music Awards』と肩を並べる人気を誇る音楽祭で、毎年多くの豪華アーティストが登場することで知られている。今年は9月21日と22日に行われ、リアーナ、ボン・ジョビ、エアロスミス、ノー・ダウト、ピンク、リンキン・パーク、ブラッド・ペイズリー、テイラー・スウィフト、エンリケ・イグレシアス、リル・ウェイン、アッシャーら、ビッグアーティストがこぞって出演した。
パンク・ロックバンドとして第一線で活躍し続けるグリーン・デイは、21日に出演。45分間のパフォーマンスを行う予定だったが、直前になって主催側がアッシャーのパフォーマンス時間を増やすために、グリーン・デイの持ち時間を半分近く減らす決断を下した。25分もカットされてしまったビリーは、プロデューサーが指示を出す電光掲示板に「残り1分」という文字が出た瞬間、プチンとキレてしまった。この一連の様子はビデオに収められ、YouTubeに掲載されているのだが、まるでコントのようである。
94年に大ヒットした「Basket Case」を熱唱していたビリーは、突然、「クソッたれ、ファック!」と叫んだ後、演奏を制止し、「オイオイ、ファッキン・ブレイクくれよ。いい加減にしてくれよ、残り1分かよ」「残りファッキン1分か。オレにくれてやる時間はファッキン1分しかねぇのかよ」「ほら、あのファッキンな指示見てみろよ。残り1分だとよ」と怒りに満ちた顔で吐き捨てるように言う。次の瞬間、動画には「残り1分」と表示された大きな電光掲示板が映し出される。掲示板の周りにいるスタッフはニタニタ笑っており、ビリーの怒りがこれっぽっちも伝わっていないことが見て取れる。
ビリーは続けて、「おい、聞けよ。貴様ら聞けよ。オレたちは1、9、8、ファッキン8年からヤッてんだよ」と言い、再び動画は「残り1分」と出ている掲示板を映す。「そんなオレらに、残りファッキン1分かよ。オイ、コラ!ざけんなよ!」と言い、その後もファッキングを連呼。そして、「オレはファッキンなジャスティン・ビーバーじゃねぇんだよ。マザー・ファッカーどもよ!」と、突然、ティーンのアイドル、ジャスティン・ビーバーの名前を出し、会場を大いに沸かせた。ファック、ファックと言い続けたビリーは「1分じゃ、なんにもできねぇよな」と怒りに満ちた目でにらみを利かすが、とうとう時間切れになってしまったのか、何も表示されていない真っ黒な電光掲示板が映し出される。
残り1分と表示されてから1分半以上にわたり、ファックと反発してきたビリーは、「残りファッキン1分で何ができるか、見せてやるよ」と、持っていたギターを振りかざし、床に叩きつけ始めた。会場には、カツン、バシンと乾いた音がむなしく響き、横にいたマイク・ダーントもベースを叩き始め、2人でめちゃくちゃに叩き壊した。ギターの破片を観客に向かって投げたビリーは、中指をおっ立てて「1分」と言い、「神さまはみんなを愛してらっしゃるぜ。またな!」と言い捨て、マイクを放り投げステージを立ち去った。このハプニングに観客はキャーキャーと大興奮し、ビリーの怒りはほとんど伝わっていないようであった。
動画の流出を受けて、23日、グリーン・デイのマネジャーは、ビリーが薬物乱用を止める治療を受けるためにリハビリ施設に入所したことを発表。米芸能ゴシップサイト「TMZ」の取材に対して、「グリーン・デイは、ラスベガスで開催された『iHeartRadio Festival』での言動を謝罪したがっている。予定されているプロモーション活動は延期することになり、大変申し訳ない」と述べた。
ビリーは今月1日、公演先のイタリアで倒れ緊急入院しており、2日に予定されていたボローニャ公演をキャンセルしている。その後、喉頭炎だったと発表されたが、今回のリハビリ入り発表を受けて、イタリアでの入院も鎮痛剤などを飲み過ぎたためだったのかもしれないとのウワサが流れている。
同性との経験はないもののバイセクシュアルだと公言しているビリーは、90年にパフォーマンス会場で出会った女性と交際を始め、人気絶頂の94年に結婚。95年に長男、98年に次男が生れており、幸せな家庭を築いていると伝えられている。03年に飲酒運転で捕まっているが、「子どもがいるなら、家にドラッグやアルコールを置いとくのはよくねぇよ。マジでよくないから」と発言するなど、パンクなロッカーだけれど父親としての責任は強く感じていると明言している。
いくつになっても、パンクなスタイルを崩さず、シャウトし続けるビリー。メジャーデビューするまで何年もかかった彼らと比べ、自分の子どもと同じ年頃のジャスティン・ビーバーがYouTubeにパッと出て、チヤホヤされ、スターダムを上り詰めたことが日ごろから気に食わなかったのかもしれない。
ちなみに、ビリーは人気オーディション番組『ザ・ヴォイス』シーズン3に、クリスティーナ・アギレラのチームメンター(指導者)として出演することが決まっているが、このクリスティーナも、前シーズンに番組にゲスト出演したジャスティンがニコニコしながらハグを求めたのにムスッとした顔で拒絶しており、彼は90年代に大ヒットした大スターに嫌われる傾向にあるのではとささやかれている。
何はともあれ、いくつになっても熱いハートを持つビリーが、一日も早く回復することを祈りたい。