付き合う女性が働かなくなる……優柔不断な「なんとなく」オトコの末路
――幸か不幸か、どんな生き方もアリになったこの時代、ふと気づけばゆるやかに”普通”から転がり落ちている人々がいる。彼らはどうやってこの平成日本を生き抜くつもりなのか。謎多き平成のろくでなしたちのブルースをお届けする。
澤田健一さん(仮名)は、フリーター。若くてノリが良く、スマートなスタイルは好感度の高そうな好青年。年齢よりも若く見えるので、30代にしか見えません。就職する気もなければ、目標もないという40歳フリーター男性の話を聞いてみましょう。
職業:フリーター
年収:200万
年齢:40歳
家族構成:親と同居
生息地:神奈川県
――大学卒業時に就職活動はしなかったんですか?
澤田 なんとなく音楽業界に行きたくて、いくつか受けたんですけど、氷河期の最初の年だったので募集も少なかったんすよ。でも、なんとなく演劇かバンドをやろうと思っていたので、先のことはどうでもよくて。結局、そっちも人が集まらなくて諦めて、でも別に特にやりたいこととか、なりたいものがないので親に言われるままに会計事務所に就職しました。そこからなんとなく英語ができたほうがいいなーって思って、英会話学校に就職。面白くなくて1年もせずに辞めて、なんだかんだあって今は実家に戻ってアルバイト生活ですね。でも、何かなりたいとか、目標がまったくないのでどうしたらいいかわかんないです。
――でもバツイチですよね? 元奥様とはどこで知り合ったんですか?
澤田 アルバイトをしていた時に元嫁と知り合って、気づいたら同棲してて。その時、一発逆転を狙って、司法試験を受けようと思った。とりあえず一番難しいのを受けとけって思って。あと『アリーmy ラブ』のプロデューサーが弁護士上がりなんだと知って、受かればエンタメ方向に道が拓けるんじゃないかと。20代でエンタメ方向で下積みしてないから、逆転するにはいいなと思って。
――いや、その動機もしょうもないですね。元奥様はどんな方だったんですか?
澤田 相手は、すでにバツイチで、向こうはアルバイトしかしてなかった。結婚を意識する年齢だったので、このタイミングで結婚するんだと自分で思い込んでいました。でも、同棲しだしたら相手がまったく働かなくなって、生活が厳しくなってきた。布団からも出てこないし。洗濯物が山になってて。
――司法試験は結局どうしたんですか?
澤田 向こうが働かないので、フルバイトしつつ、学校に毎日通ってました。司法試験は案の定、1年目で択一(短答式試験)で落ちて諦めた。で、そうしたら向こうに「責任とって」と詰め寄られた。んじゃ、しょうがないから就職するかと。雰囲気的に逃げれなくなってたし、中途半端な責任感もあって、「ここまで付き合って別れるのは男として無責任かな」と思って。
――それで就職したんですか?
澤田 でもしたいことがないですからねぇ。とりあえず就職しなきゃと思って。何年かぶりに社員になって社会復帰しました。結婚も、「これで逃げたら感じ悪いのかな」っていう自分の中の世間体に負けて入籍した。会社では、すぐに営業成績がトップになって、自分が幹部候補生になったんですけど、でもモチベーションが続かない。会社も嫌だし、その頃はもう離婚したかった。2万のお小遣い以外は全部嫁に渡していて、遊びにも行けない状態で。嫁は家で何もできなくて寝てばかりいて、家事もまったくしないし。……寝てるっていうか、妄想の世界に入ってるっていうか、言ってないこととか「なんでそんなことするの!」みたいに突然怒り出す。もう別れたくて無理やりアパートを解約して、実家に返した。離婚は、調停してそれから1年以上かかって成立したんですが、その頃は別の彼女と暮らしてました。
――早いですね。意外とモテキャラなんですね。今度のお相手はどんな方だったんですか?
澤田 別居して会社を辞めたんで、勉強会とかセミナーに行こうかなって思って探したら、どこも怪しいところばかりで、それなら「自分で講師を呼んで始めよう」とイベントを始めたんです。そこに呼ぶ講師と会った飲み会に、たまたま来ていた子です。でも、今思えば、その時は良かったんですよ、病状が(笑)。
――またですか! そういう女にニオイを嗅ぎつけられてないですか?
澤田 最初は違ったんですよ。一緒に住みだした1~2カ月は、家事とかちゃんとやってたんですけど。その後、だんだん何もできなくなって、また元嫁のように毎日週6日くらい布団から出てこれなくなった。外では、自分はバリバリのキャリアみたいなことを話してますけど、何もしてない。作家だって言ってたけど、原稿を書く時に思いっきりウェブサイトからコピペしているのを見ちゃったし。
――相手はお金持ちだったんですか?
澤田 お金なんかありませんよ! 家賃とか生活費を折半するとか都合のいいこと言ってたけど、寝込んで起きてこられないですからね。結局、オレが週7で日払いの派遣で働いている時期があった。そのうち一緒にイベントを主催するようになったんだけど、利益が出ると全部自分でガメて、負債が出ると全部オレにおっかぶせてきた。1年くらいで疑問を感じたけど、「人間はそんな完璧な生き物じゃないからいいか!」とか思ってた。それに元嫁と違って、あっちの世界の話はしないので、話は一応通じるし。
――2人で運営する体制ができていたのがイケないですね。
澤田 自分、基本は性善説体質でして、「体が悪いなりに頑張ってるからいいか!」とか思ってた。別れたかったけど、「ショックで自殺でもされたらどうしよう」と思って。3年半くらいたったら、向こうから「別れたい」と言ってきたから「助かった~」と思いました。「1人にすると死ぬんじゃないか」と思って、ずっと言い出せなかったんで。「やっと開放される!」って、ほっとしました。
――えーっと、その2人の女性との付き合いで結局何年使ったんですか?
澤田 約10年です。元嫁と元彼女のせいで、30代は無駄にしましたね。なんにもしなかったし、なんにも残ってないです。でも、したいことがないですからねぇ。これからどうしたらいいかわかりません。Twittterで知ったんですが、元彼女はもう別の男と結婚して、妊娠してるらしいですし……。2ちゃんでもそういう書き込み見ましたしね……。
――結局、今も気になってるんじゃないですか!
今月の教訓:「1人にすると死ぬんじゃないかって」は男の奢り