サイゾーウーマンコラム60代のばあさんとカーニバル コラム [連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と 「イエ~!! ラブラブしましょ~!!」60代のばあさんと、たった4人でカーニバル 2012/08/26 21:00 安彦麻理絵のブスと女と人生と (C)安彦麻理絵 昼間、豚キムチを作って食べた。腹がふくれたら急に眠くなり、気がついたら床の上に転がって寝てしまってた……まったく、いいご身分である。目が覚めて鏡を見たら、寝癖で髪の毛が右半分、グワっと立ち上がってるような状態になっていた。それはなんとなく「西田敏行の寝起きを彷彿とさせるような寝癖」であった。そういえば、なんだか訳のわからない夢まで見ていた。山形の実家の台所で、何故か私がパンストを履こうとしているのだが、どういうわけだか、なかなかうまく履く事ができない、という夢……。……一体その夢に、どんな意味が含まれていたのか。まぁ実生活では、ほとんど「パンスト」とは縁のない生活をしている私である。「それなのに、何故パンスト……?」などと、寝癖&寝ぼけた顔でタバコを吸っていたのだが。 何故だかぼんやりと、私が今やってる仕事、ブス本エッセイの担当編集の女の顔が頭に浮かんだ。彼女は、女優の菊川怜にかなり似ている。なんて言うか、「パンストを履く人生をやめた菊川怜」といった感じの女なのである。……あら? それでもしかして、パンスト? パンストの夢って、まさか「そういう意味」なのかしら……? 私は思った。さっき見た夢は、原稿があまりにも遅い私に担当編集が送ってきた念……? 「パンスト」というキーワードを隠れ蓑にして、さりげなく自分を思い出させて、夢の中で原稿の催促、という事だったのだろうか? よくわからないこじつけで、点と点を一本の線で結び、「そういえば」と、私は別の知人の事も思い出した。その子は、風呂とか寝てる時以外は、いつ何時でもパンストを履いてる女の子だった。ジーンズを履いてる時も、当然のように、その下にはパンストを履いていた。彼女は今も、パンストから逃れられない人生を送ってるのだろうか? そして日本には、こんな「パンスト狂い」の女って、多分いっぱいいるんだろうな、と思った。 ところで最近、都内のカルチャースクールで「ズンバ」をお試し体験してきた。「ズンバって何だ?」「マリエがズンバ?」友人の中には「ダンベ?」などと聞き間違える輩もいたが。ズンバとは、ラテンのりのエアロビみたいなもん、である。「婦人公論」(中央公論新社)に連載されてる伊藤比呂美さんのエッセイの中で、初めてズンバの存在を知った。伊藤さんは週6ぐらい通い詰めるほどの「ズンバ・フリーク」なんだそうである。 「あの、伊藤比呂美さんがそこまで夢中になるんなら……」 こうなると、是非自分も体験したくなってくる。それに、最近友人から、口が酸っぱくなるほどに「アンタ、ガス抜きした方がいいよ!!」と言われているので、なんだか、丁度いいタイミングである。仕事も煮詰まって頭がガチガチになっていたので、これ幸いにと、私はズンバを体験してみる事にした。……で。平日の日中行ったのがマズかったのかもしれない……なんと。ズンバ教室のメンバーは先生と、ずっと通ってるらしい生徒の女性(40代後半)、そして私ともう1人、お試しで来た若い女性の計4人だけだったのである。 「……ネットの画像では、ズンバ教室って、もっと人がいっぱいいて、リオのカーニバルっぽかったような気がしたけど……4人!!!???」 たった4 人でカーニバルである……そして。それに追い打ちをかけるように、先生がかなりすごかった。彼女は、後ろから見るとまるで20代のようだった。赤いダンスウェアに、イキのいいポニーテール。しかし。振り向くとこれが「60代のおばあさん」なのである。真っ赤なルージュに激しい水色のアイシャドー。まるで『サザエさん』の漫画に出てくるみたいな……マスオとノリスケが騙されて、うっかり入ったバーのホステスがババアだらけ、みたいな、そんなシーンを思い出すような衝撃であった……とはいえ。見た目はそんなふうでも、さすが「先生」である。キレのいいダンスに、まるで「酒とタバコでつぶした」みたいなダミ声で「イエ~~~っ!!」「ラブラブしまっしょ~~~!!!!」などと叫んで、汗だくになってガンガン踊っているのだ(……参加メンバーは先生も含め、たったの4人である)。 そして、当の私はといえば。これがもう、まるでダメ。まったくダメ。体がぜんぜん動かないのだ。以前、鍼灸師をしている人から「頭と体は、両方とも、バランス良く使ってあげないとダメなんだよ」と、言われた事があったのだが。何だか、腹の底から、そのセリフを痛感してしまった。とにかく私は、日々、普段から「頭ばっかり」使い過ぎなのである。それはもう、寝る時まで頭の中で色々考え過ぎて、布団に入って1時間以上寝られないなんてザラである。とにかく、頭が「カラッポ」になる瞬間がないのである。日々、頭ばっかり酷使して、脳みそがガチガチの状態。で、体は全然使わないもんだから、ブヨブヨに退化しつつある。 今回、初めてズンバを体験して、私は本当にショックを受けた。毎日、そんな生活をしてるもんだから、一応踊ってるにもかかわらず、ぜんぜん頭がカラッポにならないのだ。 1時間のお試し体験が終了して、私はつくづく思った……。 「……なんか、1時間じゃ全然足りないよ!!」 「多分コレ、5時間連続くらいでやらないと、私の頭はカラになってくれない!!」 ……なんだか「全然射精しきれてない」ような、そんな気分を味わった私。先生および、ほかの2人のメンバーは、だいぶ汗をかいてスッキリしてる様子である。……ズンバ、無惨……私の初めてのズンバ体験は、こんなふうに不発に終わった。しかし、改めて色々考えさせられた、いい経験にもなった。今後は、頭をカラッポにする時間を作るように努力しよう。なにしろ、頭がガチガチだと、骨盤もガチガチになって、ロクなババアにならねぇだろ、という気がする。で、肝心のズンバだが。ここの教室に入会するのは、とりあえず見送る事にする。 最終更新:2019/05/21 16:27 Amazon 『ZUMBA(ズンバ) 日本語版(日本語字幕&吹替え) パーフェクトボディセット』 パッケージのテンションたけー! 関連記事 君島十和子の美への情熱を尊敬しつつ、究極の"ブスめし"に溺れる快楽他の追従を許さない「美STORY」、一流のエゲツなさを再確認した41歳4人目出産の妊婦が「たまごクラブ」を読んで思ったことババアになっても大暴れ! 女は「女」ってだけで、図太く図々しくたくましい!"お取り寄せ"女はブスなのか? ステキ系フードに潜む罠 次の記事 T・スウィフトの空気の読めなさがハンパない >