対等な友達からスワッピングまで! 「婦人公論」が提唱するオトナな関係性
「婦人公論」8月7日号の特集は、「40代からは絆の深めどき 友達に恵まれる人になる」です。私事ですが、筆者は先日、20年来の友人に「あなたは他人の気持ちに鈍感!」と言われ絶縁されたばかり。そればかりか、別のけっこう仲がよかった(と思っていた)友人にfacebookの友達リクエストをしたら拒否られ、徒歩圏内に住んでいる友人に「会おうよ」とメールをしたら拒否2回、無視を3回ほどされました。ぶっちゃけ友人関係に切実に悩んでいます。なので、今回の特集にはとても期待していました。これを読んだら友達たくさんできるかな~? たくさんの友人に囲まれて「あなた、どうしてそんなに友達に恵まれてるの?」と聞かれた時、「『婦人公論』を熟読したからよ!」と答えたら、逆に友達減るんじゃないかな~? なんていらぬ心配をしつつ、ワクワクしながらページをめくりまーす!
<トピック>
◎特集「40代からは絆の深めどき 友達に恵まれる人になる」
◎上野千鶴子のニッポンが変わる、女が変える ゲスト=国谷裕子
◎肉食熟女のワンダーランド
■演歌の女王2人の意外な関係
特集「友達に恵まれる人になる」の最初のページは、永六輔と黒柳徹子の対談「60年分の思い出がぎゅっと絞られ、涙になって」です。タイトルからの想像通り、じいさんとばあさんの思い出&ちょっといい話って感じの対談です。友達作りに役立つことがあるかと問われれば、あんまりないのですが、「あ、徹子のあしらいはこれでいいんだ」と気づかされる点がいくつかありました。故渥美清が徹子に「お嬢さん、あなたは私にひどいことをたくさんしましたよ」と何度も言っていた話とかね。今度、『徹子の部屋』(テレビ朝日系)に出演する予定の芸人さんは、読んでおいた方がいいと思います(かなり読者限定)。
で、次から本格的に友達作りのノウハウに入っていくわけですが、産業カウンセラーの大美賀直子氏は、「大人の友情にとって大切なのは『ピア(対等の仲間)な関係を築くという心構えです。『同じ』『一緒』という意識でお互いを縛りあうことのない、自立し刺激しあえる関係でなければ長続きしません」と語っています。また、作家の井上荒野氏は、「ママ友関係が子どもの出来不出来で崩壊した」という悩みについて「そもそも“ママ友”を“友達”と思っていること自体が、大きな間違い。こんな関係は、友情でもなんでもない。ただの“組織”です」とズバリ回答しています。
そういったもろもろを踏まえた上で、目玉企画に突入! 藤あや子と坂本冬美の対談「慎重な“まめ”と豪快な“あや”の家族より濃い関係」です。まるで銀座のママ2大巨頭のようなツーショット、モノクロなのにすごい迫力。どうみても「バチバチ」という効果音しか聞こえてこないんですが、驚くことに2人は、20年来の友達で、週に1度は会わないと寂しくなるという親密な仲なのだそう。マジかよ?
坂本「私、正直いうと、あやちゃんのことを、友達にはなれないタイプだと思っていたのよ」
藤「私も。(笑)」
と、序盤からもうバチバチな雰囲気……と思ったら、読み進めたところ拍子抜けするほどイイ関係でした。「お互いに性格がまったく違うことをよくわかっていて、それを受け入れてつきあっている。ただし性格は違っても、大事に思うことや価値観は似ているのよ」(坂本)、「デビュー当時は多少ライバル心があったかもしれないけれど、今はお互いに表現者として尊敬し合っている」(藤)と語っています。さらに、坂本が歌手活動を休業したり、藤が突発性難聴になったりと、どちらかが困難に陥った時も、両者とも互いの存在があったからこそ乗り越えられたと言っています。筆者は自分が苦しい時は嫉妬深くなるので、徹底して人に会わない主義だったので、世の中にそんな素敵な関係があるのかと感動しました。
2人の間には、「気が合う」や「一緒にいて楽」という曖昧な言葉はありません。自分と相手の長所と短所をよく把握し、相手に対して何を思っているのか、とても冷静に語っています。トモダチって相手に向き合うことであり、自分自身にも向き合うことなんだなあと、四十手前にしてしみじみ思い知らされました。2人に効果音があるとすれば、ベッタリではない。かといって、火花を散らすバチバチでもない。対等に存在し、発光している二者が触れ合った時に発するバチッ、バチッなのかも。
■きっといつか役に立つ情報
「肉食熟女のワンダーランド」と題して、2本の記事が掲載されています。1つめは「やっぱり若い男が一番オイシイ」。22歳年下の男性をナンパして交際に発展した62歳、「セックスで快感を得たい」と出会い系サイトを使って20人くらいとセックスし、ある交流サイトで15歳年下男性と知り合い「今まで知らなかった快感」を味わっている50歳、息子の友達(22歳)と婚外恋愛している46歳、という面々での座談会。締めの言葉は、62歳女性の「死ぬまでセックスしたいもの。最近、本気でそう思っています」です。
みなさん、これを読んで「スゲー」と思いますか。でもこれ、「婦人公論」では当たり前なんです。「死ぬまでセックス」は「婦人公論」の公式キャッチフレーズにしてもいいくらい、幾度となく繰り返されているテーマ。年の差恋愛もまったく関係ありません。そこにちんことまんこがある限り、さまざまな性の形がある、ということも、「婦人公論」では常識、いやこの世の常識です。「婦人公論」は、ただそこにある事実をありのままに掲載しているだけなんです。
……ということをよく理解した上で、次のページをめくってください。一編のルポが掲載されています。題して「普通の主婦がスワッピングにはまる理由」。ス、スワッピングですかっ! 婚外恋愛から始まって、年下男、マスターベーション、性感マッサージなどさまざまな形で女性の性を解放してきた「婦人公論」ですが、またも新境地を開拓したようです。
「私たち夫婦にとっては、夫婦仲が確実によくなるサプリメントで、体にも心にもいい。副作用もありません。それがスワッピングの魅力ですね」と語る夫婦。この窮屈な社会を打ち破るものがあるとしたら、「婦人公論」しかないと確信しました。別に書いてあることを実行しろと言っているわけではないと思うんですよ。過激なことを掲載すればフリーダムだろ? と安易に考えているわけでもない。でも、未知の世界を知れば、きっと心の武器になるんじゃないかな。心だけでも自由になれば強くなれるような……どうですかね。
そのほかにも、『クローズアップ現代』(NHK)のキャスター、国谷裕子氏と上野千鶴子氏の対談も興味深いものでした。子どもを産まなかったことについて、「一人前になりたかったので『もう少しあとで』という選択をした時期もありますし、この仕事に求められる仕事量では『産めない』と思った時期もありました」「後悔している部分はあります」と語る国谷氏。第一線で活躍し続けている彼女の、テレビでは語られない素の部分をかみしめて、友達作りに励みたいと思います。
(亀井百合子)