七夕の願いごとは「マイホーム」!? 子どもから家庭の事情が筒抜けです
「駒沢の森こども園」がオープンして初めての夏シーズン到来です。近所のインターナショナルスクールはすでに夏休みに入ったので、いつもはインターが終わったあと後15時くらいから来るお友達が、朝から来てにぎやかになっています。
そして、海外赴任していて一時帰国した家族の子どもが3人加わり、園児たちに刺激を与え楽しくなりました。「帰国している2カ月間、通わせたい」といったメールをいただき、「2カ月間でも入園金と年会費は掛かってしまいます」「母子手帳と保険証はありますか」……といったやり取りを経て、入園となりました。海外在住の保護者の共通する希望は、「日本のしきたりや日本語を思い出してもらうこと」。最初はあいさつの習慣も忘れていて、靴は脱ぎっぱなし、服は脱ぎっぱなしだったのが、1週間後には小さい子の模範となるぐらい、しっかり思い出してくれたのでした。日本の歌もすぐ覚えちゃうし、アクティビティもどんどん参加するし、やっぱり子どもって天才です! 来年も来てくれるそうですが、お別れの日は寂しくなって泣いちゃうかも。
今までもそうだったけど、「思い入れがある子」はいます。保育士たちにも「好きな子」はいるんですよ。園児みんなに平等に接していますが、人間だからどうしても気持ちは……(笑)。やっぱりというか、親がいい人だと子どももいい子が多いですよ。モンスター気味、常識が欠如している親は、子どもにも問題があるケースが多いです。親は子の鏡。特に未就学児は母親と過ごす時間が長いので、小さい子ほど影響を受けやすいですね。変な話、子どもを見れば母親が見えてきます。
3歳を過ぎると子どもは包み隠さず家のお話を聞かせてくれますので、家庭で変なことはできません。マイホームを購入したいと思っている親の子どもは、七夕に「お家が買えますように」と願いごとをしました。また、「お父さんはどんな人?」と尋ねると、「コンサルタント、赤坂の会社」と具体的に話す子どもいます。「昨日、ママとパパはけんかして、怖くて泣いた」などの話も耳に入ってきます。子どもは体裁を気にしないので、ウソはつかないんですよね。小学校受験の面接と同じで、子どもってちょっと突っ込むとボロが出るし、真実の姿がすぐわかります。
子どものウソと言えば、何か悪いことをして、「これやったの誰?」と聞くと、「僕じゃないよ」とさらっとウソをつく子がいますね。その子はウソ以外にも「ずるい」ことをするタイプなんです。子どもの間は「ウソをつかないように」と教育するのに、大人になるにつれウソを覚えないと社会生活ができないのが本音です。逆にいえば、ウソをつけるようになったら大人なのかもね。
■他園から転園してくるワケ
前回も書きましたが、相変わらず他園からの転園の見学が多いです。認可保育園に入れても、認可ならではの不満があるようです。例えば「食材」。家庭では食べるものすべてに気を使っているのに、ある認可では「地元を盛り上げる」ということで、近所の八百屋さんにみんなで買い物に行って、そこで買ったものを調理して給食にするそうなんです。「原発事故以降、そのやり方は不安」という理由から転園を決断。保育料に上限のない認可外保育園をあえて探しているそうです。
転園の理由として意外だったのが「保育士の服装」。確かに区立や認可の保育士は、かなりラフな格好をしています。駒沢の森こども園はポロシャツの制服に対し、公園でよく会う区立の保育士(男性)はよくわかんないド派手なTシャツに、七分丈ズボン。うちの園児たちが「おはようございます」とあいさつしたら、「お前たちもちゃんとあいさつしろよ!」と言って、区立園児を小突いているじゃないですか! 服装はまだしも、言葉が汚いし、子どもを小突くなんてもってのほかなんじゃないでしょうか。区立&認可は親の収入によって保育料に違いがあり、高給サラリーマンの共働きだと、9万円近く保育料を支払っているそうですが、9万円払ってこれはないです。知らぬが仏なのかもしれませんね。保育園をやって、いろんなものが見えてきましたよ。
角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書きに加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バンギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。昨年9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では4歳の愛娘の子育てに奮闘中。