素人の生活感を芸人がいじる、まるで“あらびき”な『フジテレビに出たい人TV』
現在、フジテレビで放送中の深夜番組『フジテレビに出たい人TV』。なんだかすごい立ち位置からの番組タイトルのような気もする。フジ限定なのか。
番組の内容は、タイトルそのもので、冒頭のナレーションでも、「動画を投稿して、あなたもフジテレビに出てみませんか?」とある通り、視聴者がYouTubeに投稿した動画が採用され、さらにうまくいけば、フジテレビの番組に出演できる可能性もあるという、動画オーディション番組だ。
番組MCは、さまぁ~ず。ギョーカイ用語を駆使する社長の大竹と、専務の三村の、インチキくさい芸能プロダクションが、動画を見ながら明日のスターを発掘するという設定である。
6月11日放送回のテーマは、<歌唱力&部屋の雰囲気で競う!! 第1回 部屋歌選手権>というもの。一緒に採点するゲストはRIP SLYME。歌唱力はともかく、「部屋の雰囲気」で競うってなんだ。そして、採点の配分も、歌唱力10点に対して、「部屋力・その他」が20点と、倍の場合もある。ともかく、上位3名は、『仕上がった人アルバム』というタイトルのCDに収録してもらえる予定だという。
で、投稿を見ていくわけだが、最初に出てきたのが、10歳のチビッ子演歌歌手。「♪しんあわせわぁ~~ん」と、チータの歌を踊り付きで歌っている。うまい。しかし、歌いながら、部屋を移動していくにつれ、雑然と積まれた書類やらお父さんの作業着やらなんやら、生活感あふれまくる家の様子が次々にバックに映し出される。それを見て、「欲しい絵がわかってるねぇ!」と大竹も大喜び。そうか、「部屋力」ってそういうことか。
動画を見終わったコメントも、歌唱力よりも部屋の感じに夢中で、「あれ、普段コタツ置いてるんじゃないですかね?」と、女の子が最初に立っていた敷物について話を広げている。こういういじり方、ちょっと『タモリ倶楽部』みたいでもある。23点を獲得。
こんな感じにただただ動画を見て、コメントしていく。3番目に登場した49歳の女性は、セリーヌ・ディオンを、なぜかキッチンで熱唱。やかん、レンジ、調味料入れなどが映り込んで、またまた大爆笑。途中、フレームアウトして扇風機のスイッチを入れたり、歌詞を見ながらになったりのグダグダさに、“さまぁ~ずの番組っぽさ”を感じてしまった。25点の高得点だ。
続いて登場した、15歳の日系3世のペルー人女性の動画では、部屋のガラスの入った横開きの木枠の扉が三村のツボに入ったらしい。「ガラガラという扉開けて、原宿行ったりするわけでしょ?」と、ガラガラいう扉とオシャレしたい年頃とのギャップみたいなものに萌えたよう。「オレ、アレ好き」という三村の推しが効き、25点獲得。動画の芸と関係ないところを広げ、MCのコメントで笑いにしていくところや、芸や動画そのもののクオリティの低さ(?)は、ちょっと『あらびき団』(TBS系)を見てるみたいでもある。
次の人のお部屋も、なぜかまた「ガラガラ」の扉。そしてバックに湯沸かし器と流し。これだけで大ウケの三村は、「自分のおうちなのに、彼を呼んだ時に、すこーし声を抑えるというかね」と、妄想もふくらむ。それにしても投稿者は、番組というか、さまぁ~ずのツボを心得て動画を撮影しているのか? でも、特に今回みたいな部屋の雰囲気ありきの人は、フジの何かの番組に出させてもらうことがあった時、どうするのだろうか。
投稿動画の世界から生まれる明日のスターたち、というとなんだか今っぽい雰囲気だけど、見たのは明日の「あらびきスター」たち、という気分になったのは、合ってるんでしょうか。
(太田サトル)
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