[女性誌速攻レビュー]「an・an」2012年6月6日号

事実婚はメリットがたくさん!? 「an・an」がオシャレ文脈で事実婚をオススメ!

2012/06/01 16:00
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「an・an」6月6日号(マガジンハウス)

 久しぶりの「an・an」(マガジンハウス)レビューのお時間です。美容、ダイエット、占い、インテリアの特集続きでレビューしようにも「何も言えねぇ」な状況が続いていたのですが、ここにきて「an・an」が大きなボムを仕込んできましたよ。「結婚しない?」、堂々たる疑問形のキャッチがドヤってる! すでにニュースとなって巷を騒がせている長谷川理恵の独占インタビューも見所ですが、そのほかの企画からチェックしていきましょう。

<トピックス>
◎夢見る結婚のリアルな数字大公開。
◎ミランダ・カーになりたい!
◎長谷川理恵が語る、結婚と妊娠の真実

■5人目が運命の男だぞ!
 2010年の「結婚できる女 できない女」特集は、ドヨ~ンとしたお葬式ムードの誌面展開でした。「今のアラサー女性は生まれた時点で4人に1人は結婚できない」とか、女磨きはしない方が良い、などとにかく後ろ向きだったものです。では今号は……? 

 特集の頭で「30代前半の女性の3分の2は結婚できない!」と不安をかきたて、運命の相手に出会えるまでの平均的指標は5人、とか、旦那の年収は400万円台だから共働きがデフォルト、とアンケートを元に解説しています。さり気なく「5人目の彼が運命」説を作りあげてますね~。素直な読者がこの言葉に呪縛されませんように!

 そして結婚を4つのスタイルに分けて紹介しています。加藤茶や仲本工事が記憶に新しい「年の差婚」、赤西仁や長谷川理恵でおなじみ「授かり婚」、石川遼の「同い年婚」、そして寺田農で衝撃だった「事実婚」。もちろん「an・an」ですから、誌面はアパレルやマスコミ業界のオシャレエリートが登場して「幸せ婚」を語っているわけでシミッたれたネタは完全密封。でもね、「NYで生活中、知人のホームパーティで出会った」なんて例はオシャレ偏差値高すぎて、偏差値40の女には到底見えない景色すぎますわ。

 しかし、そんないつもの「an・an」オシャレ病よりヤンチャしてるのが、「事実婚」のページ。寺田農が10年事実婚を一方的に解消し、相手の尾台あけみさんが涙で告白したり、現在も慰謝料で揉めている、あの事実婚ですよ。それが「an・an」の手にかかると、「実はとても気軽で、メリットはたくさん!『事実婚』を調べました!」とメルヘンな響きを持つから、やだ、オシャレ~(棒読み)! フランスとスウェーデンでは事実婚が法律的にも社会的にも認知されていて、ヨーロッパでは事実婚が当たり前なんだそうですよ。では日本では? それは尾台あけみさんが体を張って教えてくれているとおり。でもそこには触れずに「フランス婚てオシャレ~」で流すのがミソなんです! あくまで上澄みにオシャレエッセンスを加えるのが「an・an」の流儀なんですよ。


■そのマインドがダセぇ!
 長谷川理恵のインタビューがカマしてしてます。単純な結婚オノロケインタビューと思って読むと、長谷川の自意識過剰ぶりにアテられるので要注意! とりあえず、どんなことを語っているか、どうして「an・an」で語っているのかをかいつまんで説明すると、

・なんで「an・an」が独占インタビューをとれたの?→長谷川の恋愛と結婚についての本が8日に発売されるから、その宣伝。
・長谷川はインタビューで何を言いたかったの?→神田正輝と二股はかけていない。妊娠はプロポーズされてから判明した。ハリー・ウィンストン。

 以上です。読みどころは、神田正輝と現旦那の登場~結婚に至るまでの時間経過の説明。非常によく組み立てられた時刻表殺人のような展開で、「え~と2月はまだ神田と付きあってることになってるから、旦那とは出会ってないことにして~。あれ、そうすると妊娠と辻褄あわないな~」的な苦悩の上に完成したであろう、完璧な男時刻表を発表しています。誰もがウソだとわかっていながら、「すご~い、それって運命だね~」って返してあげなきゃいけないこの状況。マジ茶番です。長谷川理恵はどうでもいいんです、マガジンハウスがこういう芸能ネタを使うようになったことに寂しさを覚える読者はいますよ。 

 ほかにも、「彼はハリー・ウィンストンの箱を差し出して、プロポーズしてくれたんです」という、おそらくもらった瞬間から語ることを想定したであろう渾身の名台詞も見逃せません。「ハリー・ウィンストン」をもらったことに意味を見出してるマインドが、すでに前時代的でむず痒い! それ以外にも「オーガニック婚」とか意味不明だけどやけにキャッチーな言葉が舞っていて、これぞ長谷川理恵濃度120%な感じでした。

 オシャレのベールではくるみきれないほど、世間との温度差が激しくなっているように感じられた今号の「an・an」。結婚は世相を思いっきり反映するテーマだから、オシャレエッセンスで上澄みだけで丸めるには厳しい戦いだったようです。長谷川理恵が出てなかったら世間にもスルーされていたことでしょう。さて、次号の骨盤矯正&猫の特集は、果たしてどんなゲストを仕込んでいるんでしょう。
(二宮まい)


『an・an 2012年 6/6号』

なんか「SPA!」っぽいんだよね

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最終更新:2012/06/01 16:41