文学的セリフ&大げさな演技、『Wの悲劇』は昼ドラ枠で見たかった!
今回ツッコませていただくのは、テレビ朝日系で放送中のドラマ『Wの悲劇』。
主演が武井咲で、同事務所の福田沙紀、同じく今売出し中の剛力彩芽が出演することによって、放送前から「Wゴリ押しの悲劇」とか「ゴリ押しが、ゴリ押しを苛めるドラマ」などの声がネット上に続出していた。
だが、実際に見てみると……意外にも、不覚にも、ちょっと楽しんでしまっている自分がいる。
武井咲の特徴的な声は、やっぱりちょっとへたくそに聞こえてしまう。ドラマ『トリック』(テレビ朝日系)などでコミカルな役がおなじみになってしまった野際陽子の、久しぶりにふざけていない大袈裟演技もちょっと面白い。ベテラン・津川雅彦のコロンボのような、古畑任三郎のような妙な演技も、テレビ的なこってり感があって面白い。若村麻由美の劇画的な顔も気になる。
古臭い文学的香り漂うセリフや、大仰な言い回しも刺激的だ。また、毎回何度も繰り返され、語気を強めて強調されるいくつかのカタカナ言葉「バタークッキー」「グラタン」「ポーカー」などなど……。何かしら時代や文化の香りを漂わせたいのかもしれないが、こうしたカタカナ言葉が何人もの出演者の口から連発されるたび、吹き出しそうになる。
大袈裟なBGMも、平井堅のこってりしたエンディング曲も、東海テレビの昼ドラ的で楽しいのに……。
このドラマの最大の不幸は、昼でなく、夜に放送されているということだと思う。
これが例えば昼ドラであれば、豪華な出演者たちは大きなウリになるだろう。「ゴリ押し」とよく言われるオスカー3人娘も、昼ドラで地道に修行を積む感じが、好感度につながると思う。さらに、まったく知らない状態でこのドラマで武井咲を初めて知ったとしたら、「この整った顔の子はなんていう子だろう」と気になったかもしれない。
何より、この手のドロドロドラマは、夜よりも、やっぱり昼に似合うと思う。家の中に家族がいなくなって、たった1人になった時間に、主婦やニートがニヤニヤしながらコッソリひそかに楽しむというスタイルがピッタリだと思うのだ。
夜に見る時には、こんなドラマを楽しんでいる様を家族に知られたくない……なんて見栄も少々ある。楽しんでいることは、あくまでナイショなのだ。
そんなわけで、夜ではなく、録画しておいた同ドラマを昼下がりに見ている。悲しいほど違和感がない。枠さえ間違えなければ楽しいドラマになっただろうに、つくづく残念だ。
(田幸和歌子)
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