“新感覚”音楽番組『火曜曲！』、歌ナシ発言ナシの置き物ゲストという作り

　中居正広、江角マキコ、AKB48がMCを務めるTBSの「新感覚音楽バラエティー」（TBSホームページより）、『火曜曲！』。
　
　5月22日の放送で、スタジオゲストとして紹介されたのは、徳永英明、西野カナ、NYC。この日は、「ヒット曲に隠された日本ウラ芸能史」と称して、主に昭和の歌番組の代表格『ザ・ベストテン』（TBS系）の舞台裏を、出演経験のある徳永が過去を振り返りながら語っていた。さらに当時の番組ディレクターの証言や再現VTRも交えつつ番組を振り返る。途中まで何の気なしに見ていたけれど、あれ、『火曜曲！』はこんな番組だったっけ？

　そう、歌番組というより『金スマ（中居正広の金曜日のスマたちへ）』（TBS系）だ。ワイプ画面には、再現VTRを見つめるMC陣と徳永、西野、NYCの顔が代わる代わる映る。ただただVTRを見て、“当事者”の徳永がただただ証言する。西野＆NYC（ついでにAKBも）は、置き物状態。ワイプ画面の面々が、『金スマ』の大竹しのぶや假屋崎省吾でも全く違和感がなさそう。このVTRは、『金スマ』でもそのまま使えそうだ。そう思えば、ひな壇状態で座るAKBも、『金スマ』で座ってる赤い服を着たおねえさんたちに見えてくる。

　そしてCM開け、唐突にスタジオにはいない、きゃりーぱみゅぱみゅが歌い始めた。どういう作りなんだろう。続いては、VTRの語り手が山本譲二に変わり、ふんどし衣装が大きな話題を集めたという譲二の『ベストテン』エピソードが、やっぱり再現VTRを交えて始まった。

「この番組（ザ・ベストテン）の影響って本当にすごいなって思いましたね」

　と、譲二は感慨深げに当時を振り返っているし、ナレーションも、

「こうして、ふんどしというこだわりの演出が、演歌歌手・山本譲二を変えたのだった」

　と、盛り上げているが、西野カナとNYCは何のために座っているんだろう。NYCは紹介時に、中居に「YMCA？」と言われ、「NYCです」と返す名前いじりをされただけだし、西野カナにいたっては、ここまで一言も言葉を発してない。『ベストテン』放送当時に生まれてない世代にとっては、仮にコメントを求められても、「すごい番組だったんですね」ぐらいしか言いようはないかと思うが。

　とにかく『金スマ』のような再現VTRが延々流されてるうちに、番組の残り時間も少なくなってきた。徳永を含めて、最後に3組まとめて歌を流す気なんだろうか。

　再びCM開けに歌のイントロが流れて来た。ようやく歌のコーナーかと思ったら、出てきたのは、またまたスタジオにいない、家入レオ。どうなってるんだ、この作り。

　結局、家入レオの歌の後、AKBの総選挙情報を流して、番組は終了。徳永・西野・NYCの歌は!?

　そして、画面に次回予告のテロップが。

＜来週のゲストは……
徳永英明　西野カナ　NYC　きゃりーぱみゅぱみゅ　家入レオ＞

　今回出た人とまったく同じ顔ぶれだ！　ということは、西野カナらが歌うのは、次週ということなのか。同じゲストで2週またぐ、一粒で二度おいしい作りだったのか。一応、歌番組の体裁なんだろうから、歌う姿を1時間待ってたファンにとっては、「出る出る詐欺」扱いされても仕方なさそうな気もするけれど、これが、「新感覚」ってことなのでしょうか。

　次の回では、今度はその週の放送だけ見た人が、「なんで、きゃりーとレオは歌わないの？」と思うことになりそう。ファンなら2週見ろと。歌もトークもほとんどなくても、2週続けて見られてうれしいと思ってくれる人がたくさんいるのなら、いいけれど。
（太田サトル）

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前はゲストが歌わない回もあったんですってよ、奥さん

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