大手事務所から独立相次ぐ! 声優業界はフリーの方がうまくいく?
『うたの☆プリンスさまっ♪』でもおなじみの、人気声優の鈴村健一が、長年所属していた大手声優事務所「アーツビジョン」から独立し話題になっている。声優が独立する場合、関智一、堀内賢雄の様に自分で事務所を立ち上げ、同時に新人育成養成所を設立、自らが会社を経営するケースが数年前までは多く、昨年「アクセルワン」を立ち上げたベテラン声優の森川智之もそのケースにあてはまる。
だが今回の鈴村や、俳協から独立した岸尾だいすけ、第一線で活躍を続けている石田彰など、最近は養成所を運営しないままフリーになるケースが多い。個人事務所というと、「永遠の17歳」でおなじみの井上喜久子、声優界で「閣下」と呼ばれている林原めぐみ、三石琴乃などがいるが、それと鈴村はまた事情が違うようだ。
「三石琴乃や林原めぐみの場合は、自分で仕事の裁量を決めたいためフリーというスタンスを取っています。井上喜久子は実姉がマネジャーをしていますが、鈴村の場合は所属していたアーツビジョンのマネジャーと独立しています。自分で仕事の裁量を決めるというより、仕事の幅を広げてマルチな活動をすることが狙いなのでは」(業界関係者)
鈴村は中堅の男性声優には珍しく、写真集を発売したり女性ファン向けのCDやゲームの仕事を展開するなどファンのツボを押さえた活動をしている。しかし一方で、アニメ作品への露出は減っているという声も聞こえてくる。
「声優が所属事務所のマネジャーと独立し個人事務所を設立する場合は、声優以外の仕事を積極的に展開していこうという狙いがある。まず声優というのは、アニメの仕事を優先するものですがね」(同)
声優で俳優の山寺宏一も、長らく所属していた俳協から独立し俳協のマネジャーが設立したアクロス エンタテインメントに移籍した。
「この事務所は、俳協の中でも顔出しの仕事、いわゆる声優以外の仕事をしたい声優のために設立された事務所なんです。山寺がとてもいい例で、最近は声優という職業もマルチになっていてタレントとの垣根が薄くなってきています。そういう仕事もしたい声優の意向と、事務所の意向が合わず鈴村のように独立するパターンが多くなってきているんです」(同)
マルチな活動を望む声優はすなわち独立という道を辿るということなのだろうか。
「もちろん独立するには、実力と人脈、そしてファンがいなければ厳しい。鈴村は、アニソン歌手で声優の坂本真綾と結婚した際も、堂々とファンに公表をしています。仕事もそうですが、絶対にファンが離れないという自信があるのでしょう」(同)
声優ブームでタレントとしての需要も生まれてきた声優界。活動の幅が広がり露出が増えることはファンにとってもうれしいことだが、本職のアニメ仕事に消極的になっていくのは寂しいところだ。マネジャーの手腕が芸能界よりも問われるという声優界。ファンの望みと声優の意向の間でうまく舵を切ってくれると願いたい。
どこの世界もファンは大変
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