『ドラえもん』の金環日食スペシャルで、キャラクターの欲がむき出しに!
5月18日放送のアニメ『ドラえもん』(テレビ朝日系)。サブタイトルは、「日食を見よう」。……超タイムリーというか、狙い過ぎというか。言うまでもなく21日朝の金環日食にからめたお話だが、たぶん原作にはない話だ。
「日食? それっておいしいの?」
という、のび太の天然(?)発言、スネ夫とジャイアンにバカにされるところから話が始まる。笑われてプンスカしていたところ、今度は出木杉くんとしずかちゃんが仲良さそうに、会話をしている場に遭遇。
出木杉「明日は5月21日だね。いよいよ日食が見られるね」
しずか「楽しみね~」
なんだこの説明的なやり取り。そしてそれを見て、のび太は「ドラえも~~ん!」と家に駆け込む、いつもの展開。しかし、
「ジャーーン!!」
のび太の部屋で日食グラスをかけているドラえもん。
「明日に備えて日食グラス買っちゃった~!」
ドラえもんもお祭りムードど真ん中だ。日食を知らないのび太に、ひみつ道具の「実物ミニチュア大百科」で解説してくれる。大百科から小さい太陽、月、地球が出てきて、「地球をよく見てごらん。ポツンと月の影が落ちてるだろ」と日食の仕組みについて解説してくれるドラえもん。このあたりの噛み砕いた説明はさすが。「どうしてみんな大騒ぎしているの?」というのび太の疑問も解消、一気に「見たい」モードに突入だ。
しかし、肝心の当日朝。空はどんよりとした曇り空……。大変だ。
「でも心配ない!」
と、頼もしいドラえもん。「強力うちわ風神」で雲の上まで飛べばいい、と。しかし、結局その道具はジャイアンとスネ夫にとられてしまう。
「どうしよう~、うちわとられちゃった。日食見られないよ~~」
自分さえ日食を見られればいいのか、のび太って奴は。ドラえもんも「こうなったら意地でも見るぞ!」と熱くなって、次の道具を出して再び上空へ。天気を変えたり、雲をどける道具がほかにもありそうな気もするが、そのへんはまあいいか。
雲の上を目指すドラ、のび、スネ、ジャイ。ほかの見られない人たちのことは考えないのだろうか。すると、しょんぼり感を演出するBGMとともに、あちこちで日食グラスを付け、悲しげな顔で空を見上げるパパやママ、出木杉くんとしずかちゃん、街のみんなの姿が。しかし、
しずか「見て!」
奇跡的に雲の切れ目から、太陽が顔をのぞかせる。
しずか「うわ~ロマンチック~」
出木杉「宇宙の神秘だねぇ」
よかったね。さて上空のドラえもんたちは?
雲の上まで来て、時計を見ると、時計が壊れていることに気づくドラえもん。
「もしかして……日食終わっちゃった!?」
醜い争いをしている間に、もう時間が過ぎていた。なんか、抜け駆けしようとして失敗する童話みたいになってきた。
困ったドラえもんが何をしたかというと、さらに上空に一人で上がり、ビッグライトを取り出す。すると、再び隠れ始める太陽。地上では、「どうなってるの!?」「日食が2回も起こるなんて」と、大騒ぎ。すると場面は宇宙空間に移り、『2001年宇宙の旅』のテーマ音楽「ツァラトゥストラはかく語りき」が流れ、画面に映る地球、太陽、そして巨大なドラえもんの頭。月の代わりに巨大化させた自分の頭で太陽を隠したのでした、ってことらしい。
どこでもドアでまだ日食が見られる場所まで移動したり、タイムマシン使ったりするほうが、本物の金環日食が見られたような気もするけれど、それを言うのは野暮ですね。
21日朝は、みなさん日食を堪能されたでしょうか。
(太田サトル)
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俗っぽさが『ドラえもん』の持ち味ですから
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