セレブの教育方針は乾布摩擦型or過保護型、本当に子どもにいいのは……
「駒沢の森こども園」は富裕層向き保育園なので、保護者には共通する独特なものがあるみたいです。それが具体的に一般とどう違うのか説明したいのですが、自分がそっち側の人間なので上手く説明できないんですよ。あ、“お金で解決できることはお金で解決する”ってことでしょうか。ただ、同じ“富裕星”に暮らしている保護者でも、子育ては大きく違うふたつのタイプがあることに気づきました。
ひとつは、「乾布摩擦型子育て」。乾布摩擦とは寒い日も暑い日も、裸になって布でゴシゴシするアレです。具体的には、寒い日も薄着で登園させ、「公園で泥んこになるまで遊ばせてください」「空手では泣いても厳しくしてください」など保育士にオーダーしている親たちで、子どもに共通する特徴は、女の子はなぜかオカッパ、男の子はマルコメ。ゆとり世代を嫌い、昭和(戦時中か高度成長期)のような強い子どもになってほしいのかもしれません。確かにこの教育方針で育った子どもは、風邪や感染症とは無縁、身体能力も高いです。「転んでケガをした」と報告しても、「いつものことですから」とニッコリ笑うだけ。有名女子大卒のお母様であっても、子どもは乾布摩擦型で育てたりするので、出身校による違いではないと推測しています。角川家もこの乾布摩擦型です。
もうひとつは、「過保護型子育て」。乾布摩擦型の反対にある子育て方法で、「風邪気味なので散歩には連れていかないでください」「熱が37度になったら連絡してください」などと保育士にオーダーしている親たちです。「園内を走っただけでも37度を超えるのに、なぜ?」と思うけど、保護者の希望なんだから仕方ありません。他の保護者の場合は37.5度を超えたら連絡することになっていて、連絡したとしても「なるべく早く行きますが、仕事で抜けれないので18時までお願いします」とおっしゃるケースが多いですね。
過保護型の子どもの特徴は、女の子は髪が短くてもキラキラのピンをつけていて、男の子はロンゲ傾向。共通点は厚着をさせていることです。厚着のために汗をかいていることに気づいてないんですよ。それでは風邪を引くので、保育園に来たらすぐ薄着に着替えせています。あとは、活動のじゃまになるのに、ヒラヒラの服を着せるなどやたらオシャレをしてきます。2歳を過ぎているのに、抱き癖のある子が多いですね(苦笑)。両手を広げ「抱っこ!」と要求してくるのですよ。絵本の紙で指を切っただけでも、「まあ!」という保護者もいるので、転ぶことが怖くて避難訓練でさえその子に「早く逃げて!」と言えないの実情です。
■子どものころの写真に高島忠夫親子!
園の保育方針、保育理念は「乾布摩擦型」を標準としていますが、そういった方針よりも“駒沢公園目の前”という環境や“こだわりの食材を使った給食”、“夜10時までの預かり”に魅かれて入ってくる園児たち(というか親)もいるんですよね。また、子どもが甘ったれなので、あえて乾布摩擦型にしている親も少なくありません。
前にも書きましたが私自身は、いろいろやりたかったのに、親が過保護すぎて何にもさせてもらえなかったんです。幼稚園の友だちが水泳や体操教室に行っていることがうやらましかったのに、「あんなことはしなくていいから(危ないという意味で)」と言って、屋外活動をあんまり肯定していないモンテッソーリの幼稚園だけの行き来だけでした。遊びといったら、極端にホテルの「5月5日子どもの日」イベントに行ったりしてましたね。写真を見ると隣の席が高島忠夫親子! 本当はふだん行かない公園にでも行きたかったな。親というのは、子どもがやりたがっていること、苦手で克服させないといけない部分をちゃんと見ないといけないんですよね。
とにかく、保育園には遊具に引っかかって事故になるような服装はさせないでほしいです。どんなに着飾ってきても、マフラーや帽子、紐付き手袋は取って散歩に行っています。フードつきの服でさえ、事故になっているケースがあるんです。靴も革靴、紐靴じゃなくて、スニーカーできてください。正直、「瞬足」が一番履きやすい、履かせやすいです。装飾はいりません。
角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書きに加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バンギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では4歳の愛娘の子育てに奮闘中。
過保護のしっぺ返しは重いよ~
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