どうした、「Domani」! ベージュ特集に「おばあちゃんのベージュごはん」
交際&妊娠発覚(?)という2階級制覇で話題となっている長谷川理恵。「Domani」の連載では冒頭のわずか2文で「マラソンをするようになってから、食生活にお酢を取り入れるようになりました。そのことから『季節の野菜と一緒にとるのがてっとり早い』と自家製ピクルスをつくり置きしています」と自分の売りである、”マラソン”と”野菜ソムリエ”を匂わす発言をしています。さすが、自分を売るプロですね。長谷川の妊娠・出産コラムも期待したいところですが、「Domani」では昨年10月に出産した、モデル・SHIHOのコラムが始まったばかり。今月号のSHIHOのコラムを見てみると、全裸に薄いブランケットを載せて横たわっているSHIHO&ベイビーがドーン。話の方もヨガやら気やらバランスやらを語り、最後には「人を幸せにできる人になれるように毎日が勉強ですね」という壮大な一言で締めています。いやいや、この席はなかなか空きそうにありませんぞ。長谷川も「ママランナー」とかなんかテキトーに新しい横文字をくっつけてビルトアップしてください。
<トピック>
◎35歳、これが私に似合う、”ベージュ”です!
◎ありがとう、日本のおばあちゃんの”ベージュごはん”
◎産む? 産まない? する? しない?
■「ベージュふたり旅」って幸薄そうな香り
今月号の「Domani」の気合はすごいですよ! 大特集は「35歳、これが私に似合う、”ベージュ”です!」、しかも表紙には「今月は一冊まるごと”ベージュ”です! ”BEIGE”Domani」というキャッチフレーズまで。ただベージュの洋服を並べただけでしょ、と侮ることなかれ。「私に似合う『推しベージュ』教えてください!」では誌上でカラー診断ができ、どのベージュが似合うか、自分で判定が可能。ベージュというと扱いが難しく、老けて見られてがちなアイテムだけに、これは読者思いの素敵な仕掛け。
「ベージュを着ると、下着が透けちゃう」という方に向けては、「働くいい女は必ず、いい”ベージュ下着”を知っている…(はあと)」も用意されています。ベージュの下着ばかりが4ページも並び、一見すると熟女専門の下着泥棒の実況検分シーンなようなエヅラですが、小花×レースなどかわいいものも数点並び、編集部の努力がうかがえます。
ただ「いいことばっかりの”ヌードベージュ”パンプス」あたりから雲行きが怪しくなってきます。「とにかく圧倒的な美脚効果あり!」「ボトムとつなげばスタイルアップ」「”外し”で使ってもこなれて見える」「派手な着こなしも落ち着いた印象に」「カジュアル服も大人度が高まる」と、「ベージュ推し」が「ベージュ教」に変貌を始めています。そんなドラえもんの道具のような利便性だったら、ベージュ以外の靴は一体なんなんだ。
とどめは「鳥取&島根へ、山陰”ベージュ”ふたり旅」「ありがとう、日本のおばあちゃんの”ベージュごはん”」。こじつけもいいところだと思いますが、ガマンして読み進めてみましょう。ベージュ旅は鳥取砂丘や窯元を訪ね、「ほっこりベージュのお土産リスト」まで付いてました。饅頭とかしじみとか想定内の内容ですけどね。
ベージュごはんはよりカオス! 「おばあちゃんの5大ベージュ食材」として大豆、油揚げ、干し大根、雑穀、里芋をあげ、そのレシピを紹介。「働く女の思い出おばあちゃんごはん」という「何言ってんだ?」な企画があり(知ってどうするんだ感ありあり)、美容エディターの方が「食を大事にするイタリア人のオットの家に代々伝わる、余ったパスタを煮込んでつくる一皿」としてパスタ・エ・ファジョーリという料理を推しているのですが、あれ? 「ありがとう、日本のおばあちゃんの”ベージュごはん”」じゃなかったっけ? 「ベージュ」と「おばあちゃん」の字面の組み合わせが悪いので、せめて「米寿」と「おばあちゃん」に置き換えてほしかったッス。
■「理想のロールモデル」の意味分かってるかな?
今月号から連載「産む? 産まない? する? しない?」が始まりました。タイトルの並びを見ると、「する? しない?」がセックスのように思えますが、「結婚」の話のようです。学級委員系女子に属する「Domani」的には、「やだ~、思わせぶりなタイトルにしちゃったかしら?」と言ってそうな気配がビンビン。結婚・出産・仕事と悩みの多い30代女性の本音を「ザクザク語り合う連載」なのだそう。今回は独身女性5人が集まって、恋愛をテーマに語り合っています。本題に入る前に、座談会メンバーのプロフィールをチェックしていると、「理想のロールモデル」の面々が衝撃のスタメンです。ひとりは「2番目の姉」と身内なのですが、他の4人は土屋アンナ・清原亜希・道端ジェシカ・高岡由美子ですって! 夫に銀座のママと浮気されたり(清原)、夫にグーパンで殴られたり(土屋)、そんな人生に憧れているんですか?
6ページも使ったのに、結局「元彼を超える人が現れない」「かっこいい自立している女性になりたい、と、思う反面、頭のどっかで”どっかからお金持ちの男性が現れて、私の心に余裕を持たせながら、今の仕事を思う存分させてくれないかな”って弱気になるときがある(笑)」「合コンに行ったら必ず、一緒に行った子たちとアフター女子会へ流れて反省会して、『やっぱりね』と確認し合うんです(笑)」とこの手の企画でテンプレになっているような発言が噴出しています。今まで誰がこう言った発言をするんだろうと思っていたんですが、「Domani」読者だったとは!
でもとても興味深い発言もありました。誰も結婚後仕事を辞めたいとは言ってないものの(誌面では言えないという可能性も大ですが)結婚相手には全員が「経済力」を求めていたり、30代未婚で結婚願望がある男性を集めてみると女性に免疫がない人が多いとか、結婚後「自由」「女」「仕事」の中で諦められないものとして「女」を挙げていたり。ただ全体的に「EXILEのHIROさんが好き」「佐藤浩市さんがタイプ」など、素人の好みやら元彼自慢やらを聞かされても……という感じが否めません。既婚女性、ワーキングマザーの主軸となった座談会でどれだけ濃い内容を出してくれるか、期待してます。
今月号はとにもかくにも「ベージュ」でした。今までの「Domani」の特集「冬こそ、”華麗なる貧乏”でいこう!」も「私の中には、”おやじ”と”オンナ”が住んでいる…!」も「ニッポンの夏、オンナの夏――いつも心に『寅さん』を!」もすべてタイトルの出オチだった、とレビューでお伝えしてきましたが、今度は1冊まるまる特集で括るという暴挙に出ましたね。「Domani」さんは真面目ゆえに極端なんですよね、間でいいですよ間で。だけど、そんな「自分、不器用ですから……」ぶりが筆者の心を離しませんので、来月号も楽しみに待っています!
(小島かほり)
BAGサイズ「Domani」も発売中っす。
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