寡黙なコント職人はどこへ? 大いにはしゃぐ板倉俊之のガンダムゲーム番組
インパルス板倉俊之といえば、天才肌のコント職人といったイメージの一方で、『はねるのトびら』(フジテレビ系)や、ひな壇系バラエティーなど、集団で芸人がテンション高く盛り上がっているときには、その集団の中でおとなしくなっているといった、人見知りイメージもある。
その板倉が進行役を務めている、テレビ東京の『絆体感TV 機動戦士ガンダム 第07板倉小隊』という深夜番組がある。何の番組かというと、『機動戦士ガンダム 戦場の絆』という対戦ゲームの情報番組だ。番組では板倉を中心にしたチームと、視聴者チームが対戦する。基本的には、毎週このゲームを延々とやっているのを見る番組だ。
さてその板倉、もともとガンダムやゲームが好きなのだろうけど、4月24日深夜の放送でも、のっけから共演者と「ハイ~~」とか言いながらふざけていたり、「知らんがな!」と、なぜか関西弁でツッコミを入れてみたり、「かましてやりますよ!」と強気発言してみたり。われわれが思い描く板倉とまるで別人だ。他の番組に出ているときと比べて、明らかにテンションが高い。視聴者代表チームと対戦中も、ずっと楽しそう。堤下の隣でシニカルな感じにしている人は、こんな人でしたっけ?
番組後半の対決は、「ジャア・オユガデル少佐」というキャラを名乗って、「ジャアが来る」というコーナーで、今度は視聴者親子と対決。言うまでもなく、ガンダムの登場人物、シャア・アズナブルのパロディーで、板倉は、マスクもかぶってシャアのコスプレをして登場。通り名は「赤い彗星」じゃなくて、「赤い水道」……。ここでも板倉さん、
「貴公の名前を聞こう」
「見せてもらおうか、そっくりな親子の性能とやらを」
と、シャアになりきって(「ジャア」だけど)ノリノリだ。相変わらず、「よっしゃあぁぁ! きたぁぁぁっ!」とハイテンションで、親子チームに勝利すると、「ハハハハハ、ついにやったぞ!」と高笑いで大喜び。対戦終了後も、今後の視聴者からの挑戦を「受けてたとうじゃないか」と、キャラになりきり続けている。なんか『はねトび』仲間であるロバートの秋山竜次がよく演じるオタクキャラを見てるような気がしてきた。今にも「○○氏」とか普通に言い出しそう。
この終始イキイキと「はしゃぐ」様子を見ていると、クラスや職場で日ごろ物静かな人が休日に趣味の仲間たちとハイテンションで盛り上がってる様子を見てしまった時の気持ちになる。みんなが知らない「休日の板倉主任」を見てしまった、というような。
フットボールアワー岩尾望や南海キャンディーズ山里亮太などアイドル好きの芸人の場合は、本人も見る側もルックスも含めて「キモい」と言われることを前提としている部分がある。しかし板倉の場合、ひたすらゲームをやり、本人も盛り上がっている。そもそもガンダムやこのゲームを知らなければ、どこにツボがあるのか見てても分かりづらいという地味さがリアルで、見ない方がよかった感につながってくるのかもしれない。
基本的にはこのゲームの愛好家だけに向けた番組ではあるけれど、普段なかなか見られない、積極的に悪ふざけしてはしゃぐ板倉を毎週見られるという意味では貴重な番組かもしれない。
(太田サトル)
無理するから『おちゃらけソーセージ』なんて無残なタイトルに……
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