『ドラえもん』の不適切表現は、「確実に意図的、身内ノリのシャレ」!?
昨年発売された『ドラえもんTVシリーズ名作コレクションDVD ゆめの町ノビタランド編』(発売元/小学館)と、2009年に発売された『ドラえもんタイムマシンBOX1979』(発売元/テレビ朝日・小学館)に収録されている映像の一部に、「児童向けアニメーションにはふさわしくない言葉」が書き込まれているとして、小学館は修正したDVDと交換すると発表した。当時の制作関係者による「イタズラ書き」が原因ということだが、詳細については伏せられている。不適切な言葉が、どうして『ドラえもん』と交差してしまったのか。
オフィシャル発表によれば、問題となっているのは「一生に一度は百点を」という作品。ふさわしくない表現を含んだ、約2秒間の映像が収録されているという。小学館に問い合わせると「視聴者から指摘を受け、修正版と交換することになりました」という。具体的にどのシーンに、どういった修正を行ったかについては「公表はしていませんが、カットでなく適切な表現に差し替えさせて頂きました」とのことだった。
「すでにネット等では映像が出回っていますが、宿題がなかなか終わらないのび太にドラえもんが自動的に回答を書いてくれるという“ひみつ道具”を出すシーンです。その宿題の設問に『精力』『コンドーム』といった文言が入っていました。のび太の回答もなぜかドイツ語で書かれており、ネット掲示板などでは数年前から話題になっていましたよ」(テレビ局関係者)
イタズラ書きを行った制作関係者については、「すでに30年以上もたっているので、個人を特定できない」(小学館広報)というが、ベテランのアニメ制作関係者が解説する。
「この内容が放送されてたのは、確実に意図的です。放送に至るまでには、セルに文言を書く、その画面を撮影する、さらに完成版のラッシュを見るという3工程があるわけで、その間誰も気づかないわけがありません。当時のテレビ局、さらにいえばアニメ関係者のノリからして、この手のイタズラはほかの作品にも見られることでしょう。身内だけがわかるシャレという感覚に近い」
この回が放送された79年当時は、一般家庭には録画機材が普及しておらず、テープ一本が5,000円を超える時代だった。「録画して繰り返し見る」という発想がなく、また現在とは違い「アニメは子どもしか見ない、という大前提があったため、このようなイタズラに及んだのでは」と前出の関係者はいう。ブラウン管で映像も鮮明でなく、現代より小さなテレビ画面で見るのではなおさらだろう。
アニメが子どもだけのものではなくなった時代の移り変わりと、視聴スタイルの変化が不適切表現→交換という騒動になってしまったようだ。「アニメの『ドラえもん』は変わってしまった」と言われて久しい今日だが、さまざまな意味で過去と現在の『ドラえもん』の違いを象徴的に表す騒動だったのかもしれない。
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