旅行し、消費し、夫も捨てる! 今月も「HERS」読者は天真爛漫
今売りの女性誌は5月号ですが、直前過ぎるということもあってゴールデンウィークを意識した企画はなかなかありませんよね。そんな中、「HERS」だけはさりげなく青山の地図とともに、「青山の歩き方を変えました!」という特集があったり、広告ページでもリゾートを意識したものが多かったり、またモロッコを訪れるページなどもあり、買い物したり旅行したり楽しみまくるぞ! というこの年代特有の景気の良さや欲張り感が誌面から感じられました。昔っからクリスマスなどの年中行事が大好きだった世代ですしね!
<トピックス>
◎伊勢で感動 志摩でリフレッシュ
◎さよならが喜びの始まり
◎ピース綾部が読者とデートに出かけたら
■賀来さん、絶賛ダメージ中じゃないスか
今月号、賀来千賀子さんの「伊勢で感動 志摩でリフレッシュ」というページも、ゴールデンウイークのお出かけ特集のひとつと言っていいでしょう。ただ、離婚したばかりの賀来さんのこと、スピリチュアルな場所に赴く姿を見ると、「やっぱり離婚したばかりで疲れた心を癒したいのね……」と思わずにはいられません。
例えば「神様のいらっしゃるところで心新たになりたかった」「より私的なお願いをするために、別宮にもお参りしました」という文章を読めば心配になりますし、志摩のホテルに滞在した感想を「『私は今どこにいるんだろう』って地図で確認したくなるような、非日常感が良かったですね」と書かれているのを見ると、そんなに日常から離れたかったのか! と、いちいち賀来さんの心境を邪推したくなるワードが並び、そちらばっかり気になって伊勢・志摩の風景もあまり目に入ってきませんでした。
■軽くて明るい「婦人公論」
消費一辺倒に思えていた「HERS」世代ですが、今月は「さよならが喜びの始まり」という、「HERS」なりの「断捨離」特集がありました。特集のリード部分には、「見栄や野心に追われたり、物質的な豊かさばかりを意識するのは、もううんざりだし、最終的に大事なのは『本当に自分らしく生きる』ことなのだから」とあります。「断捨離」がちまたで流行ってるから乗っかっているだけなのか、それとも本当に「もう虚栄心にふりまわされるのはうんざり!」なのかが気になるところです。
正直読むまでは、「どうせバブル時代に衝動買いしてたモノを整理するとか、そんなもんでしょ?」とタカを括っていたのですが、そうではなかった……。
この特集では3人の女性が自らの「断捨離」を紹介しているのですが、そんな中でも長年ファッション業界で働き、10年前にご主人とレストランをオープンさせた女性が捨てたものは、なんとその10年間やってきたお店と夫。50代の断捨離には、やっぱり「夫」ってかなり大きい問題なんですね。
また、ファッションブランドの女性デザイナーが捨てたものは、目黒の高級住宅街・花房山にあるレジデンスだそうです。そしてレジデンスを捨てて引っ越した先は、目黒川を望む築30年のマンションだそう。なんでも「住んでいた花房山のマンションは購入して3年ほど」だったそうです。いや、古い建物をリノベーションして住むほうがオシャレですからね、昨今は。だからって3年でレジデンス飽きたからいーらない! っていうのは天真爛漫。「パンがなければケーキを食べればいいじゃない!」を目の当たりにした感じすらしました。
にしても、やはり「HERS」世代は50代を過ぎても、自分がイヤだ、気乗りがしないと思ったら夫だろうが家だろうが潔く捨ててしまえるところに、この世代の強気な価値観を見ました。まあ、どの世代においても、「断捨離」というものはそういうものなのかもしれませんが。
■誰も不幸にならない企画
今月はもうひとつ、みんなにちょっとこれ見て! といいたくなる特集が。それは「よしもと男前ランキング第一位! ピース綾部が読者とデートに出かけたら」です。
ピース・綾部祐二といえば、以前から熟女好きを公言しています。が、まさかこんな企画が世の中で一番ふさわしい雑誌で実現するとは。筆者も他人事ながら小躍りしてしまいました。もちろん、「HERS」の中の人も大喜びのようで、「嘘じゃないんです! 『ピカルの定理』などで人気沸騰中のピース綾部=綾部祐二さんから、HERS読者にデートの申し込みが!」と少々興奮ぎみ。
綾部氏とデートすることになったトータルビューティーコーディネーターと佃煮屋の女将というふたりの女性も、デート前からボディクリームをつけたり、初々しさを演出するためにチュニックをセレクトしたり、鎖骨を見せたりと準備に余念がありません。
そして、いよいよデートです。セクシー熟女といった趣のトータルビューティコーディネーターとは、海辺でさわやかなデートを。「そよぐロングヘア、シャボンの香りにクラクラ」と、熟女の香りを至近距離で香っている綾部さんはその「エロ気」にやられているようです。
また、隠れ家バーのカウンター席でデートしたのは、佃煮屋の女将さんです。ここでは、テーブルの下で手と手を1ミリだけ触れ合って、お互いを意識し合ったり、トイレに立つときにその手を綾部氏が握ったりと、なかなか細かい演出で読者を楽しませてくれます。
綾部とのデートはこの特集1号のみのようなのですが、たぶん「HERS」読者的にも、綾部とのムフフな妄想でホルモンの状態も安定しそうだし、続けばいいのに……と思わずにはいられませんでした。今クールで綾部の相方・又吉直樹がテレビで必要以上に珍重されてる状況も考えると、綾部氏的にも熟女好きを「ビジネス」ではないと表明してキャラを強固にしたほうが、芸人としてもいいんじゃないかと思うんですよね。本気で連載を希望します!
(芦沢芳子)
今月号は総出で賀来さんを励ます内容に!
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