入園の季節、モンスターマザーに“選ばせない”営業術とは?
卒園、入園の季節。駒沢の森こども園では1名が区立の保育園に行き、4名の新しいお友達が入園してきました。とはいっても随時募集なので、毎月入ってくるけどね(笑)。
うちの保育園は、40時間とか70時間……210時間といった時間制なので、幼稚園に行っても通い続けてくれるのが特徴なんです。4月から幼稚園に行った園児も4~6月は40時間で、夏休みの間は100時間、9月から40時間に戻したり、とにかく自由。そのせいか卒園はいません。なので、区立や認可、認証(※)が第1希望の子どもが、入れればそっちに行ってしまうぐらいですね。区立や認可って「認可外保育園にこの期間行ってました」という認可外保育園の証明がないと入れなくて、それなしで東京で一発で入れる保育園は大通り沿いで環境が悪いとか、何かしら理由があるみたいです。「在籍証明」を頼んできた保護者は、他に行くという意思が分かるので、こちらとしても準備ができるのでありがたい区のシステムかもしれません。
うちは自由業の家庭が多い保育園なので、「ここじゃないと困る!」という保護者がほとんどです。最大の理由は「夜10時まで」「急なお預かりも対応」「時間が自由なので仕事がない日は子どもと一緒にいられる」「駐車場、駐輪場完備」あたりなんじゃないでしょうか。専業主婦の場合は、これまた「時間が自由」「給食は西の食材、飲み水はアクアクララ」「毎日が習いごと」などが魅力みたいですよ。
■うちに“モンスターマザー”がいない理由は……
少し前、近所にインターナショナルプリスクールができました。もともと駒沢公園や柿の木坂にはあったのですが、同じ町内である八雲にでき、認知され始めてきたんです。場所柄、私立国立の小学校を受験する子どもが多いですが、セントメリーズインターナショナルスクールや清泉インターナショナルスクールに通わせたがる親も多いのですよ。日本人はなかなか入れないといいつつ、入れちゃうのがこの地に住む人のマジカルパワー! そのため幼稚園は近隣のインターに通わせて、小学校からセントメリーというコースが確立しているんです。
そのインターの存在が我が保育園にいい風をもたらしてくれました。というのも、インター帰りの12時半からうちに来て、夕方~夜までいる園児が数人増えました。インターからの送迎はシッターさんがするケース、お母様がするケース、さまざまですけどね。インターって月謝がバカ高いのに、プラス駒沢の森こども園に通わせられる経済力が素晴らしいですよ。そんな保護者からすると、区立や認可、認証の意味は全くナシです!
とはいえ、3月の見学ラッシュは死ぬかと思いましたよ。ライターやってなきゃ余裕なんだけどね(笑)。それでも、見学に来て「うちの保育園向き」だと判断したら、かなり営業かけましたね。すでに他の保育園にお金を振り込んじゃった人が飛び込みで見学にきたのですが、結局通う予定だった保育園をキャンセルして、契約していただきました。そんな感じでがんばって保育園営業しています♪
「うちの保育園向き」というのは、仕事が自由業や自営、もしくは専業主婦、良質なところに子どもを預けたいと思っている意識の高い親、常識がある人ですね。見学のとき、「?」と感じた親は、入ってからも問題のある人のことが多いですから(詳しく書けず、ごめんなさい!)。「向きではない」人には、あっさりしか説明はしませんし、こちらからの質問はほとんどしません。表向き先着順の入園となっていて、保育園側が保護者を選ぶことができないので、あえて選んでもらわないような接客を心掛けています。じゃないと、今ごろモンスターマザーばかりで出社拒否してるところですよ(笑)。
最近この○○の森という「森シリーズ」を他の地域でできないか考えるようになってきました。そうです、他の営業所を作るという意味です。富裕層が住む「駒沢」のような特殊な土地が他にもあると思うんですよ。フランチャイズか本社経営かまだ未定ですが、3年以内には作りたいなと思ってますね。なぜ3年かというと……娘の小学校受験でバタバタするからです。やるとき、やりますよ。
(つづく)
※区立、認可、認証……「認可保育所」は、児童福祉法に基づき都道府県知事の認可を受けた施設で、保育料は世帯所得額などによって決定し、比較的安い。公立(区立含む)と私立の場合があるが保育料は同じ。入園希望者数が多く、特に都心部では希望しても入れない状況が続いている。「認証保育所」は東京都独自の制度に基づいて認証を受けた施設で、保育料は事業者側が自由に設定できるが上限が決められている。
角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書きに加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バンギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では4歳の愛娘の子育てに奮闘中。
子どもだけでも手がかかるのに、モンスターは他にもいるのよね
【バックナンバー】
・究極の愛! 娘が安心して過ごせるように保育園をつくっちゃいました
・シロウト保育園オープン! いつも遅刻&スッピンの私がガラリと変わり……
・借り入れゼロで保育園を設立! 内覧会で父親、母親の本音があらわに
・子どもを預ける口実を作ってあげるのも、保育園経営者のお仕事です
・読みが甘かった? 保育園の遠足でギャン泣きが発生し、思わぬ事態に
・子どもだけじゃなく、従業員も守らないと! 保育園経営は常に問題発生
・「お子さんがお友だちに噛みつきました」園児のトラブルに親の反応は……
・過保護なパパママに人気のアクティビティ、講師は元K-1王者!
・英語を話すサンタがやってきた! クリスマス会も保育園経営も大成功
・出産費用100万円は当たり前! 園長もパシらせるセレブママの実態
・「安いと変な人が入ってくるから心配」という親の安心料!? 入園金の意味とは
・「鬼って優しいよ」セレブ保育園での豆まき、子どもの受け止め方も一味違う!
・高い月謝をドブに捨ててるようなもの!? セレブママの子ども習いごと事情
・「美容外科の大好き」の私に、保育園経営で思いもよらぬ変化が!