朝チュン、事故チューが妄想ポイント! 乙女ゲームの奥深い世界
■「ヴァーチャル恋愛」だけではない? 乙女ゲームの楽しみ方は千差万別?
――皆さんの乙女ゲームのプレイスタイルを教えてください。
A 私は主人公の女の子を、自分の娘みたいに見守りながらプレイしてます。攻略対象からアプローチされるシーンも”キミはウチの子がそんなに好きかー!”という感じで……。あ、こういう楽しみ方はごく少数派だと思います(笑)。
C 『ときメモ GS』は、名前は自分で入力しなきゃいけませんよ? 「本名プレイ」はしないんですか?
A 名前はそれっぽいのを気分で付けてます。『ときメモ GS』では本名でしたけど、同姓同名の別人扱いでした。
C 私はどのゲームも自分の名前です。『ときメモ GS』の「名前呼び」のおかげで、他の誰でもない”私と彼の話”として楽しんでます。
B 『ときメモ GS』は名前を入力しなくちゃいけないのも新鮮でしたけど、自分の名前を呼ばれた時はすごく衝撃でした。いつも「デフォルト名」(初期設定の主人公名)のまま、少女マンガを読むような気分で遊んでたので、自分の名前にするだけでこうも感じ方が変わるのかと、新発見した思いでした。
C キャラの声で自分の名前を呼んでくれる、あれはすごい技術ですよ~!
(A、B頷く)
A 声付きで呼んでくれるのは、『ときメモ GS』だけですよね?
C うん。私はイヤホンつけて楽しんでるんですけど、皆さんはイヤホンします?
A えっ? しないよ。
B 私もイヤホンありです。セリフがちゃんと聞けて、物語にすごくひたれるので。
C 耳元で囁かれてる感じが、いいですよね~。もうクセになっちゃう(笑)。
A 私は隙間で妄想しそう(笑)。
――みなさんはゲームでどんな妄想を?
B ゲームの大筋には試練を乗り越えたり事件を解決するというような目標が設定されているので、そこに集中しすぎると、恋愛の過程や日常会話のシーンが少なくなったりするんです。
A それを指して「糖度」(恋愛シーンや台詞の甘さ)がないっていう人もいますね。
B 夜に二人きりになって気持ちが盛り上がるシーンの後に、まったく別のシーンに切り替わったときの切なさは妄想のしがいがありますよね。表現されていないこの一夜をどう過ごしたのか、自分で考えるんです。
A 「朝チュン」(暗転後に朝日の風景と雀の鳴き声を入れることで、時間経過を暗示する演出)ならまだニヤニヤできるけど「数日後……」とか、もうね(笑)。その数日になにがあったんだ! とヤキモキする。
C 私は「事故チュー」(ハプニング的に起こるキスシーン)の後、自分に対しての態度が想像してたのと違う方向に変わってしまったキャラがいたんですよ。「一体どうして? 何を考えてるの?」って、その理由を探している内に「二次創作」を知って……(笑)。
A 目覚めちゃったんですか!?
C はい(笑)。自分でも作ってます。
B こういうキャラクターの心情とか、ゲーム本編で描かれていない隙間を埋めるお話を知りたくなったり作りたくなるのって、作品への思い入れが”一線”を超えてないと、できないとことだと思います。
C そうですね! 思い入れの深いキャラのお話は本当にノッて書けるし、すごく楽しいです。Aさんは同人誌やコミケはしないんですか?
A 私は公式本で知識を埋めて、頭の中で想像するだけで満足しちゃいますねぇ。
■モバイルの乙女ゲームへの厳しい「ダメ出し」
――ところで、家庭用ゲーム機のゲームだけでなく、最近はモバイルの乙女ゲームも多数出ていますよね?
A いくつかやりましたけど、課金がネックで続きませんでしたね。
B 私も無料の範囲でチェックしてますが、コンシューマー(家庭用)ゲームより夢中になれるものはまだないです。モバイル作品が好きな子は、「絵が気に入ったらシナリオも読まずに課金して全部のスチルを集める」って言ってました。それは未だに信じられなくて。流行ってるゲームに似たのも多いから、パッと見て惹かれても、遊ぶと深みのなさが気になります。
C 私も同じ。触りだけやったけど、出会った直後なのに、口説く気満々ってノリが、嘘っぽくてありえなかった! なんていうか、馴れ馴れしすぎてうれしくない。
A そこはナンパされたと思えば(笑)? モバイルのゲームは、何もしなくても話が進んでいく感じがします。行ったことないけど、”客を逃がしたくないホスト”キャラみたい(笑)。
C 納得です。女子中高生は押せ押せで迫ってくる恋愛が好きなのかな? 乙女ゲームなら、ちゃんと彼と仲良くなっていく過程を味わいたいです。ゲームソフトには最初から声もついてるし、今のところ私はそっちだけで満足です。
■乙女ゲームは「声」で選ぶ! 声優人気とイベント
――Cさんが言われた「声がついてる」って重要ですか?
C もちろん絶対です! 絵だけではイマイチでも、声でグッとくるキャラもいます(笑)。好きな声優さんが出てるゲームは何でも買う友達もいますよ。
B 今は、人気声優で攻略対象のキャストを固めるのがほとんどです。ゲームのビジュアルから想像していた人が出ないとか、好きな声優さんが出ないから買うのをやめるという人もいます。
A 乙女ゲーム常連の声優さんもいますけど、私は絵と内容が自分の好みか、かなあ。
B 『うたプリ』のキャラクターデザインは倉花千夏さんですよ。
C そうですね。今の絵だと他は、カズキヨネさん(『薄桜鬼』他)が人気ですよね。
――声優で売れるタイトルが決まると。声優が歌うのはありですか?
B 私はありです。ゲームにハマったら、ずっと家にこもりきりの生活になると思ってたけど、声優や乙女ゲームのイベントで外出することが以前より増えたし、友達も増えましたね。「ゲームを入り口に外の世界が広がるのか」と、自分の中のゲームに対するイメージもいい方に変わりました。
C 『うたプリ』のイベントは攻略対象がアイドルの卵っていう設定だから、私も声優さんが歌うのはアリです。普通にコンサート行くのと同じ感覚ですよ。
B 『うたプリ』のイベントって、関連商品買わないと先行抽選販売に応募できないですよね?
C そうそう! アニメのDVDやブルーレイにイベントチケット応募用のシリアルコードが付いてるのね! しかも応募できるのはシリアルナンバー1つにつき1公演1枚だけ。”ビジネスだね~”ってわかってるけど、イベントに行きたいから買っちゃう。すごい競争率で、当選しても友達と隣の席にはなれないけど、同じものが好きな人が集まってキャーキャー言って盛り上がるのも楽しいし! なんかパワー出るの。
■メディアミックスでブレイク中の『うたプリ』、10周年を迎えた『ときメモ GS』
――ということは、今の声優人気もありですか?
A ええ。ゲームが面白いのが一番ですけど、ゲーム原作のアニメが話題になるのもうれしいです。
C 『うたプリ』のアニメ、2期決まりましたね!
B ホントですかっ?
――すごい食いつきでしたね。
B ええ、だって私、最初『うたプリ』のゲームにすごく期待してたけど、すごい肩すかし食らって途中で投げてたんです。でも、それがアニメ化されて……。
C 一気にブレイクしたよね~! 友達の勧めでアニメを見たら、全部ツボで(笑)。
B 私もアニメのOPを見て、ゲーム熱が再燃しました。アニメを見ながらストーリーを進めて、隙間を埋めていきながら、放置してたキャラソンも後から買いそろえて……。
A すごい変わりよう(笑)。
C イベントもいいですよ~! 『うたプリMusic』が出た時は特典CDのために友達と協力して、違うお店に買いに行きました! 『うたプリ』シリーズは、販売店によって特典のドラマCDに出る声優さんや内容が違うんです。
――今はどの乙女ゲームもそういう売り方ですか?
C ファン歴の長い友達は、ここまで連続で畳みかける所はなかったって言ってました。私は『ときメモ GS』のグッズが少なすぎて、もっといっぱいドラマCDも出してくれたらいいのにって思ってます。特典も初回限定版以外は、コナミの通販サイト限定だし。
A それは、正統派の”顧客の囲い込み”じゃないですか(笑)。
C あ、そうそう! 皆さんは「文化祭」(3月18日開催のイベント「10周年記念イベントときめきメモリアル Girl’s Side 文化祭」)行きました?
B 私はダメでした……。思い出したときはもうサイトの応募期間過ぎてて……。今はPSPの新作プレイ中です(笑)
A もうPSP版発売してたの!?
C 忘れちゃダメですよ(笑)。といっても、私も1周終わったばかりなんですけど。動いてる彼のアップに、すごくキュンキュンしましたよ。
■乙女ゲーマーが期待する「夢の乙女ゲーム」は?
――最後に、皆さんがそれぞれ”こういうのがほしい”という乙女ゲームを教えてください。
C 女子版『ラブプラス』!! コレしかないです!
A 確かにみんなの願いですね~(笑)。男子版は「熱海旅行」で観光協会とのコラボがありましたけど、女子版ならどこだろう?
C えぇ~っ考えただけで興奮する!! 東京ディズニーランドとか?
B 私は横浜……かな
C ベイサイドとか山下公園とか散歩したり、徒歩とか車だったり……。
A あ、車デートいいなぁ!
――第一位は女子版『ラブプラス』として、その他の候補はどうですか?
A Twitterでは『オジプラス』が話題になってましたね。
C 『タイバニ』(アニメ『TIGER & BUNNY』)の虎徹とか、”おじさん萌え”の人もいますもんね。
A 他というと……実は任天堂が、乙女ゲームの人気作が出そろった頃に『大人の恋愛小説 DSハーレクインセレクション』(2010年発売)を出してるんですよ。読書ソフトなので年齢制限なしで買えるし、性描写もかなり削除してるのにドキドキしたました。ビジュアルも声もないけどある意味、これが究極の乙女ゲームかなと思います。
乙女ゲームに出会った時代も楽しみ方も三者三様だったが、未来の理想の乙女ゲームには全員一致で”女子版『ラブプラス』”を推し、大きな期待を寄せているようだ。また、本文では割愛したが、今もゲームに対する”やましさ”を残す第一世代の発言から、現実を忘れ美しい世界に身を置く「耽美」というキーワードが聞き出せたのは印象深い。さまざまな切り口や展開で世界を広げる乙女ゲームの中で、それは今後も揺るがない柱のように感じられた。
(山口小夏)
ときめきメモリアル Girl’s Side Premium ~3rd Story~ (初回限定版)
朝チュンはトレンディードラマの王道じゃない!
【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます】
・乙女ゲームのルーツは? 三世代の“乙女ゲーマー”が徹底討論
・オトナ手前の無防備な姿がたまらない、写真集『DK~男子高校生萌え~』
・激しいベッドシーンで思わず号泣!高崎翔太&新井裕介が語るBL映画の本音