腰回りがもたない……ネガティブ起因の「HERS」ファッションページに好感
「HERS」の女性たちのパワフルさには毎月のように驚かされていますが、今月も萬田久子さんの連載「萬50+3ダッ」にも驚きのエピソードがあったのでご紹介しましょう。萬田さんは50代を中心とした大人たちが集うパーティ「クラブ・ウィルビー」に参加したそうです。そこに集まったのは、このクラブを立ち上げた本人でもある出版・イベントプロデューサーの残間里江子さんに、キャスターの安藤優子さんら。会場は熱気むんむんで、「マイクの握る人々は『日本を変えるのは、私たち世代だ!』とパワー全開。今の若いコにはない、尽きないパワーを持っている私たち。そう勝負はまだこれからです」と、萬田さんも興奮気味に書かれていました。こっちがのぼせそうなほどの元気さです。
<トピック>
◎萬50+3ダッ
◎今日は私の彼でいて(はーと)
◎堂々と『シンプル服』で行く!
■萬田さんが楽しいならいいよ……
前出の連載で「勝負はこれからです」と言っていた萬田さんは、今月からは新たな新連載もスタートさせています。タイトルは「今日は私の彼でいて(はーと)」というものです。ご丁寧にタイトルのキャッチとして「言っときますけど、婚活ではありません」という一文が……。いや、誰もそんなこと言ってないですって! と思いつつ、今回のお相手である役所広司さんとの対談を見てみましょう。
ふたりが初めて会ったのはNHKの朝ドラ『なっちゃんの写真館』だったそう。役所さんは、その当時、スタッフみんなで飲みにいったときの萬田さんの服装が白いジーンズだったことをいまだに覚えているそうで、「その記憶力、私に気があったか、嘘ついてるかどっちかだわっ(笑)」と萬田さんに切り返されていました。また、ずっと役所さんのことを年下だと思っていたという萬田さんに対して、役所さんも「それは僕に関心がなかったからでしょ」と返したりと、見ている方にとってはどーでもいい大人の飲み屋トークが絶好調です。これに気を良くしたのか、萬田さんは「街歩きして、とことん飲んで……。この連載最高! さあ、次は年下で行く?」と調子に乗ってしまった様子。今後も萬田さんだけが楽しい連載、にならないといいですね。
■「もたなくなる」=「持たなくなる」?
今月の第一特集は、「堂々と『シンプル服』で行く!」という潔くてかっこいいタイトル。実際には「これまで着ていた服がなんとなく物足りない、寂しく映る、シャツとデニムだと何だかもちこたえられない、ベーシック服だけだと不十分で何か足したくなる……、なんていう“もたない経験”最近増えていませんか?」という消極的な動機からできた企画のようで、「腰回りがもたなくなった」「Tシャツ、カットソーだともたなくなった」「真っ白だともたなくなった」と、50代になると、そんなにいろんなところが“もたなく”なるのか! と衝撃を受けながら読んでしまいました。
ただ、“もたなくなる”ことを自覚し、それをカバーする着こなしは、若づくりしすぎでもなく、かといって過去の栄光にすがるギラギラ感もなく、好感が持てます。今月は、「実例 これが私の『軸足カラー』です」という、黒とベージュを基調としたコーディネートをカリスマ的な読者モデルが紹介するというページがありましたが、こちらもガチガチのコンサバ信奉がなくて、非常にかっこいい。登場するモデルの方は、52歳のスタイリストの亘さん、毎号おなじみの48歳の利根川さん、48歳の元モデルの藤村さん、51歳のコスメティックデザイナーの斉藤さんというアラフィフの方々なのですが、年齢を感じさせないのに若づくりも感じさせないという、自然な魅力を持った方ばかりで、こんな素敵なアラフィフがいるなら自分もまだまだ頑張れそうだとお世辞抜きで思ってしまったくらいでした。
彼女たちを見ていると、過去の栄光にすがらず、センスをさりげなくアップデートして、違和感なく流行を取り入れる、それに似会う体型を維持する、かわいいよりもちょっとかっこいいを多めにする……ということが、自然な若さを保つ一番の近道ではないかと思いました。そんな彼女たちは、決して頭にグラサンを乗せていません。今月は褒めすぎの感もありますが、これを読んで疑ってしまった方にこそ、書店で「HERS」を手にとって確かめていただきたいです。
(芦沢芳子)
芦沢さんには頭にグラサン問題は一大事のようです!
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