CMも民放も!? 朝ドラ『カーネーション』人気にあやかる人々
最終話の平均視聴率が40.0%となった『家政婦のミタ』(日本テレビ系/視聴率は関東地区・ビデオリサーチ社調べ)をはじめ、軒並み好調だった前クールのドラマに比べ、いまひとつ話題性・視聴率ともに抜きんでた存在の少ない今クールのドラマ。その中で現在、NHK朝ドラ『カーネーション』が一人勝ち状態になっている。今回ツッコませていただくのは、大好評ドラマ『カーネーション』の人気にあやかろうとする番組・CMたち。
まずは、彗星のごとく現れた、ヒロイン・小原糸子の少女時代を演じた二宮星ちゃん。
垂れ目でオカメさんのような愛嬌たっぷりの顔と、黙っているときすら十分お喋りに見える豊かな表情・表現力に、心を奪われた視聴者は多かったことだろう。演技力はもちろんのこと、なんといっても他の誰にもない「イイ味」がある。
そんな二宮星ちゃんは、視聴者からの反響が大きかったことから、糸子の次女・直子役で再出演して話題になったが、2月23日からは製薬会社・ファイザーの禁煙啓発キャンペーンCMに「幼少期・糸子&直子」の面影たっぷりに登場している。それにしても、企業のなんという素早い対応なのだろう。
そんな次女・直子の成長後を存在感たっぷりに演じているのは、女優兼女子プロレスラーの川崎亜沙美。「猛獣」と呼ばれるほど気性が激しく、奇抜で、センスのカタマリという役柄がハマりすぎている。
だが、驚くのは、松本幸四郎&松たか子が出演しているサントリー「ボス ゼロの頂点 -カロリーゼロ-」のCMにモデルとなったコシノジュンコ氏が登場しているのに、「あ! 直子!」と誰もが間違えてしまいそうなほど、ソックリだということ! まるでドラマの「直子」人気に、ご本人が便乗しちゃったかのようなソックリ感なのだ。
さらに、民放の街歩き番組や情報バラエティー系番組ではいま、『カーネーション』の挿入歌を何食わぬ顔でBGMとして流している。もともと特撮系や、『プリキュア』シリーズなどの女児向け変身少女モノなどの曲は、なぜかフリー素材のように他局で頻繁に使用されるケースが多いのだが、大好評の『カーネーション』放送中となると、やや便乗感がありそうではないか。
極め付きは、2月15日から日本テレビで再放送されている『Mother』だ。
これはご存じ、芦田愛菜ちゃんの出世作だが、愛菜ちゃん人気への便乗だけではおそらくない。愛菜ちゃんを虐待していた母を、『カーネーション』ヒロイン・糸子役の尾野真千子が演じ、母の恋人役を、糸子が初めて恋をする周防龍一役・綾野剛が演じていただけに、『カーネーション』人気への便乗もあるとみていいのではないだろうか。『Mother』DVDは2010年秋に発売されているだけに、DVD販促目的とは思えないし。
かつては、放送中のドラマのPRとして、その俳優が出ていた同局の過去のドラマを再放送枠で流す、という手法が一般的だった。それがいつからか、放送中のドラマそのものを、1週遅れ程度で昼間に再放送してしまうようになり、さらには他局の人気ドラマの”関連物件”にまで手を伸ばすようになったTVのさまざまな戦略。節操がなく、なかなかに商魂たくましいです……。
(田幸和歌子)
川崎亜沙美のジュンコっぷりだけでも見るべし!
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