出産費用100万円は当たり前! 園長もパシらせるセレブママの実態
私は自由が丘の無痛分娩(※1)で有名な「田中ウィメンズクリニック」で娘を産んだのですが、当時出産にまつわる話をブログに書いたところ、「無痛で産んだ子はバカ」「脳に問題がある」などと批判的なコメントも目立ち、日本はまだまだ「産みの苦しみ」を経験していない女を母親と認めない風潮があるんだなと感じました。産んだ私からすると痛みを感じないので、いきむという行為に集中でき、分娩室に入ってからの時間が短いというメリット(赤ちゃんの負担も少ない)と、痛みでもうろうとなることがないので、「子どもを産んだ!」という実感がはっきりと味わえるのは無痛ならではないかと思います。もちろん無痛で産んだ子に問題があるわけはなく、贔屓目じゃなくても、3歳の我が子のボキャブラリーは5歳児に匹敵すると思います(保育園経営者なので冷静に評価)。
自分自身の出産については、子どもの誕生日が近づくと思い出すぐらいなんですが、保育園では入園時に、病院での健康診断もしくは母子手帳による健康確認が義務付けられているんですよ。ということで、うちの園でも入園する園児の母子手帳を確認しているわけですが、お母様たちの3分の2が娘を産んだ自由が丘「田中ウィメンズクリニック」、それ以外だと「日赤」「愛育」「成育」「山王」といった有名病院での出産スタンプしか見たことないです(笑)。「田中ウィメンズクリニック」って一般病棟でも95万円(※2)ですからね。私は特別室で105万円掛かったけれど大満足な出産で、今でも「あの病院で産んでよかった」と思ってます。
無痛分娩で出産した私のことを批判したブログ読者からすると、うちの保育園はキチ●イの集まりなのかもしれませんね。この保育園、キチ●イはいませんが変人は多いですよ。月間予定表を出したら全部変更を希望するとか、出席ノート(出席したらシールを貼る)にお母様の予定が書いてあるとか(スケジュール帳か?)……そんなのはかわいいもので、熱が出たので連絡したら、遊びで外出しているお母様が「冷えピタ買っておいてください」との返事。もちろんその時点で「冷えピタ」はおでこと脇に貼ってますので、ママが欲しいのは自宅用。「冷えピタ」なら3軒隣のセブンイレブンで売ってますから! 「迎えにくるとき買えばいいのでは?」と思いつつも、セブンイレブンに園長が行って買っていました。すごいのは38度の熱があるにも関わらず、翌日登園してきたこと。南の島にバカンスへ行く予定の家庭だったので、荷作りしたいのは分かりますが……。検温してすぐ電話し迎えにきていただきました。体調不良でひとりの子どもに保育士がかかりっきりになると、他の子どもの保育に支障が出ます。手薄になって事故が起きる可能性さえあります。
■心こもったトッポギに涙
困ったお母様がいるかと思えば、心温まるいい話しも。両親とも韓国人で、お父様のお仕事の都合で震災後日本に赴任。お父様以外日本語がまったく話せない状態でオープンの日から通ってくれている男児がいるんですが、もう既に日本語が上手になって、意思の疎通ができるようになったんです。お母様も最初はまったく話せなかったのに、クリスマス会のときにスタッフ全員1人1個ずつお菓子と、「いつも親切にしてくれて、ありがとうございます」と書かれたカードをくれました。それを見た瞬間、うわ~んと涙がこみ上げたのでした。
お母様も異国での生活のため、がんばって日本語を勉強されていると聞きました。私たちもお母様と話すとき、どうしても言葉の壁があるので、みな必死になって保育園での様子を話しています。私はこの園児に困ったことが起きたとき、対処できるようハングル語の本を買って勉強しました。たぶんお母様は私たちが真剣に向き合っていることを分かっていたのだと思いました。そしてこの間、「お口に合うか分かりませんが……」と流暢な日本語で、自家製のトッポギを持ってきてくれました。おいしくてじーんときて幸せな気分になったんです♪
地域柄、持ち家率が高く、この「駒沢の森こども園」を卒園しても5年後や10年後の園児たちに会うことができそうですが、この園児はいつか韓国に帰ってしまいます。別れの日のことを考えるだけで、涙が出てきてしまうほどです。今を子どもたちと一緒になって楽しまないと。日本での楽しい思い出をいっぱい作ってあげないとね!
(つづく)
※1 無痛分娩……局所麻酔により陣痛の痛みを取り除く、またはやわらげる出産方法。欧米では一般的な出産方法といわれる。
※2 出産費用の平均は約45万円といわれ、公的医療保険より「出産育児一時金」として42万円が助成される。
角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書きに加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バンギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では3歳の愛娘の子育てに奮闘中。
批判する前に勉強もしてみよう
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