今年も売れていた有吉弘行と日村勇紀、毛色の違う魅力は
今回ツッコませていただくのは、「今年いちばんテレビに出演した」(日本モニターの調査結果)有吉弘行。『ロンドンハーツ』や『アメトーーク!』(テレビ朝日系)など、「有吉さえ出しておけば面白くなる」という番組は多く、『ロンドンハーツ』に至っては、とうとう有吉がレギュラーにまでなってしまったが、実は「いつでも」「どこでも」出しておけばなんとかなるという人ではない気がする。むしろ空気も読めるし、デキる人であるだけに、実は自分からどこにでもどんどん出ていくわけじゃない。
たとえば、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)。ここでは別に毒を吐くでもないし、有吉がいることで面白くなっている感もなく、完全に有吉の無駄使いになっている。有吉の場合、求められる番組・場面では能力を出してくるが、「ヌルイこと」が良しとされるところであえて毒を吐いたりはしないのだ。
そんな有吉と真逆なのが、バナナマン・日村だと思う。自分から力を出さなくとも、そこにいるだけでみんなが気になってしまう存在・日村勇紀。
近年の代表作は、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の「日村○○を買う」のコーナーだろう。日村が高級時計を買う、高級スーツを買う、ただただそれだけのことなのに、腹がよじれるほどの異常な面白さである。同じシリーズで有吉も時計を買ったが、残念ながらあまり面白くはなかった。最近はスタッフなども巻き込まれているが、それもあんまり面白くはない。「やっぱり初回の日村がすべてだったのか」という気持ちになりかけていたところ、12月15日放送の「日村冬物を買う」で、またしても天才的な日村を見た。
銀座の街を正装して歩くとんねるず&日村たち。銀座といえば、以前スーツを買わされた高級ブランド店「ダンヒル」がある街だ。この時点でフツウなら「ここに来ると、スーツを思い出すな」と思うだろう。場合によっては「あのとき無理やり買わされて嫌だったけど、結局、気に入っちゃったんですよ」ぐらいのムダ話が出るかもしれない。
にもかかわらず、日村は銀座の街を何も考えずぼんやり歩き、「ダンヒル」の近くに来ても何の警戒もしていない。そして店に入らされ、初めて何が起こっているか(また買わされる!)に気づくのだ。
「ズリ~よ! そんなのアリかよ!」
さらに冬物スーツを着せられ、片手には15万円ぐらいするペンを、もう片手には同じく15万円ぐらいするブラシを持たされた日村。これは反則ではないかと思うほどの面白さだ。
有吉と日村、ともに売れっ子だ。でも、出す力のコントロールが自在で、ときには「空気」や「無」になることもできる有吉は、『ドラゴンボール』で言うなら、悟空や、クリリンら地球人の戦士たちのようではないか。
対して、バナナマン・日村は、どこにいても気配を殺すことができず、パワーもオーラもダダ漏れになってしまう。『ドラゴンボール』でいうなら、サイヤ人など地球外のモノだろう。
芸がある人がテレビに出るわけではない近年の傾向において、いずれも「実力者」であることだけは確かだと思う。
(田幸和歌子)
スカウターで測れちゃう系ね
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