私が「華」でいることが恩返し……「HERS」のカン違いにノーセンキュー!
20代、30代向けの雑誌を定点観測していると、どんなに華やかなページを演出していても、世相でしょうか、ふとしたところに堅実さや世知辛さを感じることが必ずあるのですが、「HERS」だけはずっと優雅。メインモデル・萬田久子の連載コラム「萬50+3ダッ」では、中田英寿が主催するチャリティーイベントが取り上げられています。そこに出てくる名前もNIGO(R)だの蜷川実花だのBoys II Menだので、今とは違う時間軸で行われているイベントもあるんだな~と。そんな中、萬田さんは、「中田さんはピッチ上より大きく見えました!」と無邪気におっしゃってますが、ふたりの2ショット、萬田さんが大きすぎてぜんぜん中田氏が大きく見えないんですけども……。優雅とは天然をも生み出す、そう確信した次第です。
<トピック>
◎萬50+3ダッ
◎いい女はファッションで見得を切る!
◎リトルサイズ流トラッドスタイル
■気持ちいいほどのカン違いぶりが愛おしくなる
冒頭で「『HERS』はずっと優雅」と言った舌の根も乾かぬうちに、第一特集の「いい女はファッションで見得を切る!」には、「確かに、いまは心が浮き立つような世相ではないし、服や小物にお金をかけるのが賢いやり方なのか、迷う日もありますよね」と書かれています。なんだ、分かってたのか……と思いながら読み進むと、「でも、娘の時分から、ずっといい時代を生きてきたし、一流ブランドとのお付き合いだって、誰よりも早かった……」と続きます。開き直ってるのか? と思いつつ我慢して先に進みますと、「その感謝をHERS世代が世相に返すとしたら、自分が『華』でいることも大切では」、ちょ、己が着飾ることは、世のためとか言ってますけどーーー!
が、次のページからも衝撃は続きます。萬田さん「見得を切る服って”ドヤ服”のことでしょ?」としたり顔です。もちろん、ポージングも分かりやすい”ドヤ感”たっぷり。ここ数カ月、喪に服していたこともあったのか、”ズル可愛”を忌み嫌い、やたらと封印しようとしていたのですが、今月は”ドヤ”という新しい言葉を仕入れた喜びからか、以前だったら”ズル可愛”だったはずの着こなし(赤のカシミヤカーデに赤のチェックのフレアスカートというコーディネート)も、さりげなく復活させています。いやあ、なかなかのズルさですね。
■ミイラ取りがミイラに……、という見方も
先月号は、「HERS」が提唱するシックなファッションと、バブル脳のために80年代で時間が止まってしまっている読者との大きな溝を感じさせるスナップが多くて驚愕でしたが、今月はその反省でしょうか、「リトルサイズ流トラッドスタイル」というページがあり、”レースの清楚なワンピースにゆる巻きロング”が定番コーデだというリトルサイズの読者の一人が、なんとイタカワ=イタ可愛い代表として登場。トラッドを上手に取り入れている読者4人のアドバイスによって、トラカワ=トラッド可愛いに変身しています。
読者が読者にダメ出しするのはなかなかハードルの高い企画だと思うのですが、確かにトラカワに変身した元イタカワ読者さん、かなり若返っているしイタさが激減しています。ここまでしないと、読者のイタさ=過去の栄光をふっきることは難しいのでしょうか。にしても、イタカワ代表として登場された読者さんの勇気には素直に敬服します。
今月号では、「美」と「オーラ」からネーミングされた読者7人からなる「ビオラ7」も登場、集ってワイワイと話に花を咲かせていますが、「女子会」だの「ガールズトーク」だのとのたまっておられます。ま、萬田さんも実質”ズル可愛”解禁したことだし、「HERS」はこうでないと、確かに「元気がないな」と心配になってしまいますから、明るくて楽しいことはいいことです。って、私、まんまと「自分が『華』でいれば、世相にお返しできる」と、お幸せなことを考えている「HERS」世代の思惑にまんまと乗せられてるじゃないですか!
(芦沢芳子)
「娘の時分から」の言い回しから、加齢臭出ちゃってるよ!
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