荒いつくりと奇跡のコラボで味わい深かった『FNS歌謡祭』
今回ツッコませていただくのは、12月7日に放送された『2011 FNS歌謡祭』(フジテレビ系)。
嵐の「迷宮ラブソング」の音響ハプニング(?)や、1台の固定カメラによる、アップが一切ないSKE48などが大いに話題になっていたが、実はあまり注目されていない愉快な見どころも満載だった。
例えば、矢井田瞳と堂本剛のコラボによる「My Sweet Darlin’」。実は同じメンツによるこの曲のコラボは過去に『堂本兄弟』(同)で披露したことがあり、そのときは声も通っていてなかなかの出来栄えだった。しかし、今回はキーが合わなかったのか、音合わせができなかったのか、堂本剛は最後まで曲にノれていなかった。
サビの部分を大きな声で歌う矢井田瞳の横で、弱々しく探りながら歌う様子は、まるで歌がうまい人が、カラオケで周囲に「ハモって!」とか勝手に祭り上げられ、よく分からず前に出されて、ノレずに困っているような感じに見えた。このパターンは、次長課長のコントにありそうだ。
組み合わせの妙は他にも多数あり、小林旭を歌うTOKIO・長瀬智也などは、ハリのある声がピッタリで、自分の持ち歌にしても良いのではないかと思うほど。また、郷ひろみ×EXILEも、ギラギラした感じが異様にハマッていたし、宝塚シリーズも唐突で秀逸。
そして、最も衝撃的だったのは、貴乃花光司と徳永英明による「輝きながら……」。このコラボ、いったいどんな意味があるのだろうか。二人が顔を並べているだけでも、面白すぎる。
さらに、地味な見どころとしては、「ステージ下の風景」もあった。KARAのステージの際、人気者・芦田愛菜ちゃんが歌い、踊る姿を撮りたかったのは分かるが、カメラの後ろには普通のおじさん(スタッフ?)がずっと映り込んでいたり、指示を出しているらしい女性スタッフが通ったりと、もうメチャクチャ。
そのへんの雑な作りも、企画色の濃厚さも手伝ってか、出演者たち自身が楽しくなってしまっている様子もたびたび映し出されていた。
なかでも最も目立っていたのは、前方のテーブルを陣取っているTOKIOやV6の面々が終始ノリにノッている様子。手拍子だけでなく、全身でノり、ときおり大声ではやしたりするところは、披露宴会場で酔っ払い、すでにできあがってしまっている親戚のオジサンたちのように見えた。
ハプニングだらけの荒いつくりだったが、「宴会」感だけは見事で、師走らしい番組でした。
(田幸和歌子)
瞳のブレないダンスと歌を待っていたのに……
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