『ひるブラ』の”出窓演出”は、タレントのバラエティー能力を補完する役目?
今回ツッコませていただくのは、NHKの『ひるブラ』。「全国各地の”旬”な場所をブラリ」と謳う、”生中継”がウリの散歩番組である。ただし、この番組の最も特異なところは、生中継云々よりも、地域のリポートをする「ゲスト」と、ただただそれを見てコメントする「コメンテーター」とが別々に配置されていること。
近年の民放バラエティー番組では、ロケのVTRを流し、ワイプ(小窓)でスタジオのゲストたちのリアクションが映し出される、というのが定番の構成になっている。それだけに、音やコメントなしの、顔ヂカラで分かりやすいリアクションをとれる柴田理恵らが大活躍するわけだけれど、この番組では、「コメンテーター」という形をとっているだけに、映し出されるのはゲストの”表情”だけではない。
『ひるブラ』の場合は、「小窓」というより、むしろ「出窓」。窓のカタチにする意味がどこにあるのか分からないが、「コメンテーター」たちは画面左下などの出窓からグンと顔を突き出して斜め上の生中継映像を見る体で、ときには手なども出窓からブラブラ出し、「へえ~」「なるほどね~」「おいしそう~~~!」など、リポートをするゲストよりも、よほど大きな声で大げさなリアクションをとる。
この「ゲスト+コメンテーターの出窓リアクション&ツッコミ」構成は、おそらく制作サイドでは「斬新な手法」と自画自賛されていそうな気がする。でも、場合によっては、中継の説明が聞き取れないくらい「コメンテーター」がどんどん割って入る。少々うるさく思えるほどに。
とはいえ、ちょっと感心するのは、「ゲスト+コメンテーター」の人選だ。たとえば、「ゲスト」としてリポーターを務めるのは、加藤夏希、安めぐみ、夏川純、黒田知永子らトーク力が微妙な、旬を過ぎた感のある「ビジュアル」担当が多いのに対し、「コメンテーター」の顔ぶれは榊原郁恵、友近、渡辺徹、西川史子、中尾彬、矢口真里、モト冬樹、峰竜太、勝俣州和などなど……。性別も年齢も超えた共通点は、ゲストよりもトークができる、というか、「オバちゃんトーク」のできる人ということではないだろうか。
もしかしたら生中継リポートするゲストの力不足を、出窓からオバちゃんたちがサポートするという、「二人で一人分」の計算なのかもしれないけれど。
それにしても、お昼のホッと一息つきたい時間の大仰な「出窓リアクション」。食事どきに見れば、軽食でもおなかいっぱいになれそうです。
(田幸和歌子)
何も夫婦で出なくたっていいじゃないか。
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