コラム
今井舞の「週刊ヒトコト斬り」

『美魔女コンテスト』の直球すぎるネーミングが喚起するもの

2011/11/04 21:00
「美ST」2011年12月号(光文社)

――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!

◎びっくり人間大会ではありません
 「美魔女」の名付け親、ブームの火付け役、女性誌『美ST』(光文社)主催の、おなじみ『美魔女コンテスト』が開催されたんですわ。グランプリ獲った人は、確かに凄かった。45歳なのだが、その証拠というか、「手がかり」が何一つ見えない。若づくりですらない。どう見ても20代。このグランプリ獲るために、本当は若いのに歳逆にサバ読んでる、「逆サバ」なんじゃないかと疑いたくなるくらい。

 今「すごく若く見える人」って、普通にそこらにゴロゴロいるから。それの「日本一」つったらそりゃスゴいだろう。もしかしたら「世界一」かも。とまあ、グランプリさんの若さに圧倒されるのはこれくらいにして。このコンテストって、優勝以外にもいろんな賞があるんだが、その名前がスゴいのなんの。「おっぱい美魔女賞」だの「腸美魔女賞」だの。もうちょっとオブラートでくるめないもんか。グランプリ獲れなかったら、私「おっぱい」か「うんこ」かも。それだけはイヤ、頑張らなくちゃ!! ……こうした参加者一人一人のモチベーションが、このコンテストのグレードを上げる原動力となっているのかもしれん。

◎黒ハイネックでダウト
 スティーブ・ジョブズ氏死去。死後、にわかにその求道者ぶりが注目され、伝説というよりほとんど神話みたいになってるわけだが。ちょうどいいと言ってはナンだが、訃報と同時期に発売されたiPhoneも売れてるらしいし。それはいいのだが、渡辺謙の出てるドコモの新機種のCMが、「スマートフォンとして、僕はどうあるべきかって」「挑戦しなければ、スマホである資格はない」とか言って、口調とかセリフの内容とかが、何だか「にわかスティーブ・ジョブズ風」。競合社のカリスマに便乗って、かなりまぬけだ。そうまでして売りたいのか。売りたいんだね。

◎多民族社会
 ダイヤモンド・ユカイの双子、命名「ライオン」と「ショーン」。頼音と匠音と書いて「ライオン」と「ショーン」。なんつうか……。もういいや。「ライオン」にも「ショーン」にもツッコむ気ゼロ。ひとつひとつの名前もさることながら、双子に何の関連性もない名前をつけるってのも……、いやいやいや、このテの「名づけ問題」は一度ツッコんだら終わりだ。だってああいう名前を付ける部族の人なんだから。「子供の将来は」とか「学校でイジメられないか」とかいう心配は不要。その部族に育てられれば、子もまた立派なその部族の一員になってゆくのだから。習慣・風習・因習の違いを受け入れてこその文明社会。なんだそれ。

 実はこのニュースの前に、知り合いから伝え聞いた子供の名前の方がもっとスゴかったもんで。ライオンやショーンじゃちょっとね、と思ってしまっただけなのだが。その子供(女の子)の名前はアリエル。ディズニーの人魚姫の名前だ。ま、それは珍しくない(のか?)が、問題はその漢字というか当て字。「泡姫」って書くんだそうな。……ヒィ。将来、風俗嬢にならないことを陰ながら祈るばかりだ。

今井舞(いまい・まい)
週刊誌などを中心に活躍するライター。皮肉たっぷりの芸能人・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)など。

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最終更新:2019/05/22 19:26
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