探偵に妻の”浮気調査”を依頼した男ーー 思わぬ結末に失った言葉
嫉妬、恨み、欲望、恐怖。探偵事務所を訪れる人間の多くがその感情に突き動かされているという。多くの女性の依頼を受けてきたべテラン探偵の鈴野氏が、現代の「女の暗部」を語る。
「妻のA子が浮気をしているようなんです」
そんな依頼の電話があったのは、9月も終わろうとしている頃、街はそろそろハロウィンの飾りつけを始めだしていた。主婦は46歳。小学生と中学生の子供が3人いるが、年の割には、確かに顔立ちも派手で美人だ。夫は53歳。大手上場企業に勤めている。夫が妻の行動に、不信を持ったのは夏ごろからで、携帯でメールしている時間が多くなり、服装が派手になりだしたという。
「それに、昼間何をしているかわからない時間が多くなって、携帯に出なくなった。習い事を止めたようだが、それを隠して外出している」と夫は嘆く。こういった浮気調査の場合、まず聞かなければいけないのは、夫婦生活だ。
「夜のほうは、どうなんですか?」
「年の割には頑張っているつもりです。毎月1回はしています。妻のベッドでの態度も変わった様子はありません」
不思議なことに、女性の浮気の場合は家庭内Hの回数は減らない。反対に、男性は減る。浮気調査前の聞き取りは、回数の変化が重要だ。これが夫婦間の絆を決定する。結婚前と結婚後、最近の回数の変化を綿密に答えてもらう。
探偵にくる最近の依頼は、70%が浮気調査だ。浮気調査と一言で言っても事前の準備が必要になる。うっかり聞き取り不足のまま調査を始めてしまうと、調査しても思うような結果が出ないことが多い。浮気調査では、必ず3回は調査することが鉄則だ。なぜなら、1回の浮気だと常習性がないと思われる。うっかりした間違いや酔った弾みの過ちとなり、離婚の原因としては使えない。3回押さえれば、証拠になるからだ。
浮気調査は対象者を見失わないために、たいてい2人で行われる。1人だと、出口がいくつかあるビルでは逃げられてしまうし、対象者と浮気相手が二手に分かれた場合に追えないからだ。
A子の浮気調査は、まず怪しいと思われる日に3回行われた。調査結果を夫に渡すと、夫はしばらくその紙を見つめて黙っていた。そして顔を上げて「これってどういうことなんですかね?」と一言。
「その報告書に書いてある通りです」
夫が思う以上に、妻が奔放なことも良くある。そして、その事実を夫は受け入れられない。A子が浮気をしていたのは、事実だった。しかし、その相手は一人ではなかった。3回の調査で3人とも別の男だったのだ。
A子は家を出て、新宿に向かう。そして必ず、アルタ前で男と落ち合い親しげにホテル街へと消えるのだ。一人目とは、新宿三丁目の店でランチを食べた後、ホテルへ。二人目とは、待ち合わせ後すぐにホテルへ。三人目とは、ホストクラブ「愛」の前にあるローソンで、酒や食料を買い込んでホテルへ。どれもサービスタイムをギリギリ目一杯使っている。
浮気相手は、若い学生だったり、水商売風の30男だったり、スーツ姿の中年だったりと、特に一定の好みはないようだ。少なくとも夫よりはどれもイケメンである。
「言いにくいようですが、奥さん主導の浮気ですね」
「こんな、みっともない!」
夫は怒ったようにつぶやいた。おかしなことに、妻の浮気相手というのは、旦那よりイケメンが多い。ただし経済力で勝っているということはほとんどない。最近の浮気調査は、「妻の浮気」が大半を占めている。探偵に言わせれば、専業主婦は携帯電話なんか必要がない。持ったら浮気をするだけだ、と言う。
(カシハラ@姐御)
取材協力:総合探偵社オフィスコロッサス
※この話は事実に基づいて構成されていますが、プライバシーを考慮し細かい事実関係などはフィクションです。
妻の前に女、なのか、女の前に妻なのか
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