“3下”の時代!? 「婦人公論」の「年下夫」対談で女のステイタスを再確認
今号の「婦人公論」の特集は、「やりくり上手で質のいい暮らしを手に入れる」です。ご興味のある方は各自でお読みくださいネ。今号はメインよりもサイドメニューがすごいんです! トンカツ、焼き肉、カレー、ラーメンが全部いっぺんにきちゃった、てな感じ。どうするよ、これ。どれをとっても一日の摂取カロリーを大幅にオーバーする、うれしいロシアンルーレットみたいなインタビューがズラリと並んだ「婦人公論」、さっそくいってみましょー!
<トピック>
◎特集 やりくり上手で質のいい暮らしを手に入れる
◎告白 杉本彩 肉親と断絶して踏み出した”逃げない男”との人生
◎石川三千花×大田垣晴子 年下夫との生活は、こんなに素敵で煩わしい!
■これが「ドS婚」の真実だ!
結婚と同時に母娘絶縁が報じられた、女優・杉本彩のインタビューが掲載されています。妹夫妻と金銭トラブルがあったこと、母親が結婚に反対し杉本を罵っていること、杉本自身も約1万字におよぶ反論文をブログにアップしたことなどは、これまで報道された通りで特に目新しい情報はありません。驚いたのは、今のパートナーとのなれそめでした。トラブルを起こしがちな母親が原因で前夫との結婚生活がうまくいかない中、彼から積極的にアプローチされたそうで、いわゆる不倫でした。
「(彼に恋愛感情を抱くようになり)変わっていく自分が許せなかった。だから、『結婚生活を壊したのはお前だ』『私をこんな不安定にしてしまったのはお前だ』という気持ちがあって、彼にずいぶんひどくあたり、無理難題をふっかけた。彼はそれでも『一緒にいたい』というめずらしい人だったんです」
とのこと。激しいっす。入籍発表直後の会見では、「私がどれだけムチ打っても、離れなかった」と冗談まじりにコメントし、スポーツ紙には「ドS婚」と書かれていたので、杉本彩がハイヒールで毎晩彼を踏んづけているコミカルなドS図を想像していたのですが、そんなどころじゃなくて、かなり情緒不安定でヤバい状況だったんじゃないかと思われます。よく耐えたなあ。
「これまでの私は最後の最後まで人を信じることができなかったし、感情の起伏が激しくて自分を持て余しているところがありました。生きるということに対してどこか絶望的で、心からの楽しさも幸せも感じることなく40歳まで生きてきた」
と胸中を明かしています。暗い、暗いよ。杉本彩をただの露出おばさんだと思っていたので、こんな心の闇があったとは驚きました。自称「エロスの伝道師」なのに、生きることに絶望的で心からの楽しさも幸せも感じることがなかったなんて……。じゃ、彼女にとってエロスとはいったいなんだったのでしょうか。……単なる商売のネタか。
■たまたま年下と付き合ったら、たまたま妊娠しちゃってェ~
11歳年下の夫を持つイラストレーターの石川三千花と、8歳年下の夫を持つ画文家の大田垣晴子が対談しています。お題は「年下夫の生活はこんなに素敵で煩わしい!」。40歳を越えたオバハンふたりが、自分の夫を「マサシちゃんが」「オーモリ君が」とピーチクパーチク。演出なのかもしれないですけど、「マサシちゃん」「オーモリ君」という呼称があまりに頻出するので、ムカムカと気持ち悪くなりました。数えてみたら、3ページの対談文の中にふたり合わせて合計15回も「マサシちゃん」「オーモリ君」と言ってました。家庭内でどう呼び合おうと勝手なんですが、対談上で自分の夫をあえて「ちゃん付け」「君付け」するのは、発言者もしくは編集者のなにかしらのメッセージが隠されていると考えられます。それは、
1、自分の夫をこんなふうに恥ずかしげもなく呼べちゃう私って若いのよという優越感
2、収入があると年下夫をこんなふうにペット感覚でかわいがれちゃうのよという優越感
3、夫を「主人」「旦那」と呼ぶ一般主婦の常識にとらわれず先進的なのよという優越感
上記のいずれかではないかと思われます。それなら素直に「すごいでしょ」と自慢しちゃえばいいんですけど、冒頭でいちいち「別に年下男性を探して歩いてたわけじゃなくて、それこそ『出会い』なんです(大田垣)」「相性がよかった人がたまたま年下だっただけ(石川)」というおことわりが入れてあるところが面倒くさい。さらに、「(「結婚しない」と言ったのに)オーモリ君が『結婚したいしたい、子ども欲しい欲しい』(大田垣)」「(結婚するつもりはなかったが、44歳で)付き合って3カ月かそこらで妊娠してたの(石川)」とも語っています。つまり、このようなメッセージも含まれているわけです。
4、世間は、結婚を焦って年下男を引っ掛けたエロおばさんと思ってるかもしれないけど、全然そんなことなくて、むしろアタシを求めてきたのは年下男のほうで、応じたら妊娠しちゃってビックリという優越感
年下夫がいるということは、すなわち女としてのイキのよさと経済力をアピールすることでもあるのです。しかし、それをあからさまに示すと成金オヤジみたいでハシタナイので、「ちゃん付け」「君付け」というプリティな装飾品でさりげなく示しているわけなんですね。……なーんて分析をすると、「この人ひがんでるのね~」と思われそうです。ま、実際ひがみ8割というところでしょうか。すみませんね。しかし、彼女たちがうらやむべき強者であることは事実でしょう。年下男を恋人にすることならもしかしたらできるかもしれないけれど、夫にするのは身体能力や経済力のほか、実家と相手方の親を説き伏せるコミュニケーション能力など総合的な能力に長けている必要があり、やはりハードルが高いことだと思います。バブル期には「3高(高学歴、高収入、高身長)」と結婚することが女のステイタスでしたが、これからは「3下(年下、収入下、地位下)」がステイタスになるかもしれません。
今号ではそのほか、美保純と熟女ユニット「HKB48(閉経B48)」を結成した中村うさぎの依存症遍歴に関するインタビュー、離婚したばかりの三谷幸喜インタビューなどが掲載されています。さらにグラビアの氷川きよしも、
「自分はもう自分ではなくて、氷川きよしなのだ。これからは氷川きよしとして、生涯この仕事に命をかけて生きていこう」
といつになく深刻なことを語っていたり、特集「遠距離介護を成功させるコツ」では、作家の姫野カオルコが介護の日々を通してあぶり出された「親子間のドロドロ」について告白したり。麻木久仁子が司会の連載「婦人公論井戸端会議」では、弁護士の郷原信郎とノンフィクション作家の佐野眞一が対談し、「東電OL殺人事件」について知られざる事実を明かしています。トンカツ、焼き肉、カレー、ラーメン、すべて大盛り、総計1万2,000キロカロリーくらいでしょうか。この胸焼けは「婦人公論」ならでは。一度味わったら、もう淡白な女性誌には戻れませんよ!
(亀井百合子)
みんな、氷川きよしを自由にしてあげよ~よ!
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