サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー事実婚夫を亡くした萬田久子、「HERS」で悲しみと今後をどう語った? カルチャー [女性誌速攻レビュー]「HERS」10月号 事実婚夫を亡くした萬田久子、「HERS」で悲しみと今後をどう語った? 2011/09/15 16:00 女性誌速攻レビューHERS 「HERS」10月号(光文社) 「HERS」表紙の萬田久子さんのパートナー佐々木力氏が亡くなってから、およそ1カ月がたちました。10月号の「HERS」にはどのように萬田さんが登場するのか少し心配な思いもあったのですが、表紙にも中身にも正直やられました。週刊誌では、事実婚という微妙な立場にある萬田さんの相続問題が取りざたされていましたが、今月号の「HERS」では、そんなウワサを一蹴しようという萬田さんの気合いを感じます。それでは早速、中身をチェックしてみましょう。 <トピック> ◎萬田久子さん ロングインタビュー「さよならはサプライズの後で」 ◎買うべきは第一印象アップ服 ◎いいえ、髪こそ第一印象決定要素 ■悲しみと現実の狭間 今月は表紙にもインパクトがあります。ロングヘアーをボブ風にアレンジして、「あれ、髪切った?」と思わせ、白い襟付きの黒ブラウスに、黒い手袋を頬のあたりで持っている様子は、ハンカチで涙をぬぐっているようにも見えます。喪に服しているイメージもありつつ、ギリギリのところで普通に秋のファッションに身を包んでいるようにも見せるテクニックがすごい! 今月はページ構成もイレギュラー。いつもなら「萬田久子の『楽しみましょ』コラム 萬50+3ダッ」は1ページですが、今月はこの企画を拡大するという形で、ロングインタビューを敢行。その代わりに、毎月巻頭を飾っている萬田さんのファッションページはお休みに。今の萬田さんの心境を考慮し、かつ不自然さのない対応です。 ロングインタビューでは、事実婚状態だった佐々木氏が「自分がガンと知った2週間後。グループ会社の社長である柳井氏と、萬田さんに辞表を預けた」という、ふたりの信頼の厚さをうかがわせるエピソードも挟まれています。実の息子や佐々木さんの連れ子との不仲説もささやかれていたましたが、編集部がしっかりフォロー。例えば「子供たち――萬田さんは、いつも分け隔てなく、『子供たち』と呼びます」という一文があったり、「長男は私が涙ぐんでいるのを見ると『大丈夫だよ』とすかさずハグしてくれて」とも「血は繋がっていませんが、子供たちの顔を思い浮かべると、出てくる言葉は、”家族”しかないですね」とも語られています。まるで週刊誌で取り上げられた数々の報道を打ち消すようです。 また、「パートナーを失った今も『人生、楽しみましょ』と言い続けます。だって、そのほうが彼もきっと喜んでくれるから、『先ずはボーイフレンドからかしら』なんて言っていたら、子供たちが『スーパーマンのパパの代わりをするには10人くらいの男が要るよ』ですって。それならと、彼に仕草が似ている長男に『ねえ、付き合おうよ』と言ったら、ちょっと間があって『うーん、面倒は見ますが……お付き合いはご遠慮します』と言われてしまいました(笑)」なんてエピソードもありました。 筆者はこのレビューを書くために萬田さんを調べていて、佐々木氏に41歳の新愛人とその間に2歳の子どもがいることを知ったのですが、事実を知らずに先の一文を読んだときには、「そんなすぐに新ボーイフレンドの話題が出るとは、ちょっと早過ぎじゃないのか!」と素直にびっくりしてしまいました。でも、事実を知ってからは妙に納得したし、女の意地やプライドのようなものを感じてしまいました。 遺産や家族とのこと、愛人のことなどは、夫の死後に週刊誌などでも書かれていましたが、お葬式などで見せた毅然とした態度が功を奏してか、思ったよりは大きく話題になりませんでした。今月の「HERS」のインタビューの姿勢も含めて、むしろ同年代の女性の支持を集めたのではないでしょうか。「パートナーを亡くした後、ひとりで生きる女」として、萬田さんが新しい女性像を示してくれることを期待したいですね。 ■50代でも他人の目から逃れられない 先月号「HERS」は全体的に50代ならではの天真爛漫さが表れていたような気がしましたが、萬田さんのこともあってでしょうか、今月号を読んでいると、いつまでも”女性”であろうとすればするほど、そして人目を気にするほど、人生は大変なんだなと思うようになりました。 特に「買うべきは第一印象アップ服」という特集では、「頑張ると”怖い女”、頑張らないと”もたない女”――どちらも絶対イヤ」「たとえば『どこに行っても恥ずかしくない人』と思われたい」といった言葉が躍っています。20代、30代でも気にしていた女性としてのさまざまな問題が、結婚や人生経験を積んで50代になっても付きまとうことを知って、しんどくなりました。その上、50代には髪の毛のハリがなくなったり、ファンデーションがのらなかったりという物理的な悩みものっかってくるわけです。 萬田さんを含め、「HERS」世代は、表向きには優雅で天真爛漫に見えても、その裏にはリアルな問題がたくさんあるものなんですね。なんだか、妙な親近感を覚えた10月号でした。 (芦沢芳子) 「HERS」 「HERS」世代のリアル 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・骨折のリスクを負ってまで9センチヒールを履く「HERS」読者 ・いつまでたっても”現役の女”から引退させてくれない「HERS」の圧力 ・コンサバでモテてきた「HERS」世代、いよいよその呪縛から解き放たれる? 最終更新:2011/09/15 16:00 次の記事 自殺未遂の加護亜依、騒動の裏に事務所社長の影 >