「MORE」のSHIHO妊娠インタビューが、「うっとり」の押し売りになっている!
まだまだ残暑厳しきこのごろ、女性誌はすっかり秋冬の装いです。今年の流行は「レディ」で「クラシック」だそうですが、ファッションにあまり明るくない筆者だからか、そのどれもが昭和お母さんの授業参観ルックに見えて仕方ありません。「キュートなドットのベージュブラウス」や「ママのクローゼットで見つけてきたようなひざ下丈のプリーツスカート」から漂うのは、オシャレ感よりタンス用防虫剤の香り。「MORE」のファッションページは庶民の味方のようで、実は庶民が着るとヤケドするテイストのものが多い、という基本事項を改めて確認いたしました。「”ママが着てた?”感じが新鮮」は、もしやマザコン気味の男性諸君へ向けた壮大な作戦なのかもしれませんね。でもみなさん、現実にママのクローゼットから引っ張り出してきたら、ハイウエストのヒョウ柄スパッツだから、気をつけて!!
<トピックス>
◎絶対使える秋服リスト121
◎ALL780g以下 本当の「実力派バッグ」67
◎休日トキメキ乙女旅
■みんなでたかみなを応援しよう!
今月のインタビューは、嵐の櫻井翔、宮崎あおい、福山雅治など豪華なメンツがそろっています。みなさん出演作などのパブリシティーがらみでございますが。そんな中、唐突にブっ込まれた感があるのが、AKB48の「たかみな」こと高橋みなみです。みなさんは覚えておいででしょうか、ハリセンボン・近藤春菜が着やせに挑戦し、見事撃沈させられたビフォーアフター企画を。今回たかみなちゃんが投入されたのは、その低身長バージョン「S女子の”+5cm”背伸ばしコーデ術」です。
「身長148.5cmながら、パワフル&ハッピーな存在感が魅力の高橋みなみちゃん(AKB)。”Sサイズでも、もっともっとおしゃれを楽しみたいっ”日本全国のMORE読者のために、自ら背伸ばしテクを披露してくれました」とのことですので、背筋伸ばして拝読しましょう。
ポージングや写真の配置いかんでチェンジ感はいくらでも出せそうなこの企画。ですので、効果効能はまぁ置いておきまして、どうしても気になるのは、たかみなちゃんの表情の硬さ。特に笑顔が素人並みに硬い。”AKBの元気娘”と称されるわりに、いつも張り付いたような笑顔なんですよね。推測するに、自然にしていると「怒ってる?」と聞かれる顔、通称・ガンバリ顔(筆者命名)のため、とりあえず口角だけ上げていたら、その表情がクセになってしまったとか。次ページに登場するモアハピ部員さん(全員素人)の方が、よほど柔らかにほほえんでいらっしゃいます。板野友美みたいにアヒル口に逃げることも、指原莉乃のように自虐ネタに持っていくこともできない……キャプテンって、大変な職務なのですね。
■出産もハッピーにしなきゃいけないの?
そんな”ガッツ”たかみなに比べ、まったく応援したい気持ちが湧かないのが、モデル・SHIHOのインタビュー「ハッピー&おしゃれな妊娠ライフを教えて!SHIHO”ママになります”」です。タイトルからして「誰得?」な、この企画。目を閉じ、白いワンピースの膨らんだお腹を抱えながらうっとりするSHIHOの写真を見て、思わず筆者もページを閉じそうになりました。しかし「母性」を語る女性タレントの、うっとり感の押し売り見本市のようなインタビューですので、ここはひとつみなさまにお伝えしたいと思います。
なかなかすぐには子どもができなかったというSHIHO。「少し力を抜いて落ち着いてみたら、その翌月に妊娠がわかったんです」とのこと。「3世代で同じ干支が続くととても縁起がいいと聞いていて(夫も義父も卯年のため)同じ卯年に赤ちゃんが欲しいなと思っていたの!」とのこと。ライターとして残念なのですが、本当に「とのこと」としか書けない内容が続きます。
そして極めつけは、「妊娠することでホルモンバランスが変わるから、女性は若返るような気がします。そしてなんだかお腹の中にパワーストーンを入れてるみたいな感じ!?(笑)」というくだり。お腹に石ときたら、胆石と相場は決まっているものを、インタビュアーの方はしれっと「話しながら、早くもママらしい表情を見せる……」とあおるので、さらに妊婦コント的な様相を呈してしまう始末。
一度「母性うっとり」に火が点くともう止まらず、「子どもが生まれることって、ものすごく夢がたくさん詰まっている感じがするの」「いろんな形で女の子のハッピーにつながることを、これからもしていきたい」などなど。夫がヤンチャ系(夫は格闘家・秋山成勲)の妻は、その反動で母性うっとりがハンパなくなってしまうのか、ママタレとして活動していくための下地作りか。どっちにしても読者に「なんか、いろいろ大変なんだろうな」と勘繰らせてしまうインタビューでした。
せっかくの嵐・櫻井翔クンインタビューをさり気なくスルーしてしまってすいません。翔クンは今回も頭の良さを存分に発揮しながら、「嵐というグループがあって、映画に主演する僕がいる」という取材目的をしっかり果たしていらっしゃいました。SHIHOが「母性」を語り、福山雅治は新曲にちなんで「家族」を語る一方で、「世にも恐ろしい!? ”ママ友”の世界」などというレディコミ的なページもあった今月号。家族を持つこと・出産することは、超素晴らしいか超悲惨かのどちらかしかないのですか! MORE娘たちが目指す”ハッピー道”はなかなかに険しいようです。
(西澤千央)
なんで妊婦って、すぐにうっとりし始めるんだろう?
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