地味すぎる! NHKのアナログ放送特番に徳井義実のなぞ
今回ツッコませていただくのは、7月24日正午の「アナログ放送終了」のNHK。もう何年も前からずっと予告されてきた、この日。発表当初は「本当にそんな日が来るのか」と半信半疑の人も多く、ネット上には直前まで「延期発表」を期待・信じる声が一部にあったほど。そんな数年越しの「瞬間」を各局がどう迎えるのかは、非常に気になるところだったのだが……。
『27時間テレビ』を放送するフジテレビを除く、ほとんどの局が通常番組を淡々と放送していた。唯一、アナログ放送終了を記念してテレビの歴史を振り返る『そのとき、みんなテレビを見ていた!』と題した特番を組んでいたのがNHKなのだが、司会はなぜかNHKの鈴木奈穂子アナウンサーとチュートリアルの徳井義実!!
徳井って、テレビの歴史的に、あるいは、せめてNHK的にそんなに貢献度の高い人物なんだっけ? しかも、ゲストとして登場したのは『あさイチ』出演でおなじみの森公美子のほか、石田純一、輪島功一、杉浦太陽、中川翔子、江川達也など「なに、この集まり!?」という統一感のない面々。趣旨を理解しないまま集まってしまった、何かのオフ会みたいだ。
それにしても、徳井って、ひな壇でも「集団芸」ではなく単独で暴走していくのが得意なタイプに見える。ましてや「司会」が向いているなどとは到底思えない。妙な人選だなと思ったのだが、そういえば徳井はNHKで土曜昼に『土ようマルシェ』と題して、家庭菜園やら自然とのふれあい、趣味やら、ペットやらの週末ライフを紹介するというユル~い番組をやっているのだった。それも、私の見る限り、毎回登場するゲストは、ことごとくペットの話ばかり! もはや『土ようペット』という番組にしたほうが良いんじゃないかと思うくらいだったのだが、その生ぬるい空気をNHKに気に入られ、歴史的瞬間の特番の司会に抜擢されたということなのだろうか。
徳井が司会を務め、統一感のないゲストたちがしゃべる記念特番を見ながら、ますます募ってきた思いは、「アナログ放送がこれで本当に終わりというのは、実はウソなんじゃないか」という思い。ときどきマンガやドラマなどでも「え? ホントにこれで終わり?」というオチはあるが、もしかしたら最近の民放の「終わる終わる詐欺」(最終回としつつ、何度も続く)、「終わったフリして、ちゃっかり映画化の前フリだけの最終回」手法を取り入れたんじゃないかと思うほどの、腑に落ちないエンディングである。
そんな不思議な思いを抱えつつ、記念特番を見守っていたのだが、とうとう本当に「そのとき」はやってきた。どーもくんが右手を挙げるポーズで登場した画像と、「長い間ご覧いただきありがとうございました NHK」という文字。それだけ。
え?????
本当にそれだけ? いまだに信じられない、あっさりすぎる、地味すぎるアナログ放送終了の瞬間。もしかしたら知らないどこかで、あるいは映画館で、続きが流れているんじゃないかといまでも思ってしまう。
(田幸和歌子)
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結局なんで売れたんだっけ?
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