“女”の扱い方に迷い? 各局の「なでしこジャパン」の取り上げ方がおかしい
今回ツッコませていただくのは、サッカー女子ワールドカップ優勝で盛り上がる「なでしこジャパン」の各局の報じ方。
表彰式の際、なでしこジャパンの選手たちにカップ・メダルが授与されるタイミングで、試合VTRを流し始めたフジテレビの「扱い」が話題となっているが、一方で他局はお祝いムード一色で、みんな既存の「素材」探しに奔走していた。
貴重な映像となったのは、なでしこジャパンがドイツに出発する直前に収録したという、NHKのEテレ『ピタゴラスイッチ』の「アルゴリズム体操」。選手たちが芸人・いつもここからとともに、無表情で淡々と体操する姿は7月18日にNHKで流れたほか、YouTubeの公式チャンネルでも公開している。
また、テレビ朝日も負けていない。『やじうまテレビ!』では、2008年北京五輪前に放送していた『愛のエプロン』にMFの澤穂希選手が出演し、「甘酢あんかけ肉団子」で86点の高得点をあげていた料理の腕前を取り上げ、「米国人の恋人と別れ、サッカーを選んだこと」などのエピソードを披露。試合で見せる格好良さとは別の視点からのアプローチ自体は良いと思うのだが、どうにも気になったのは、何度も繰り返され、強調されていた以下のフレーズ。
「澤選手の”女子力”」
かつては「女子力アップのアイメイク」といった感じで、メイクだのファッションだの「モテ」だのに使うことが多かった気がするが、いつの間にやら「気配り」などの広い使い方もされるようになっている。というか、女性にかかわるもん全体を大雑把にひっくるめて、もはや「女子力」なんだろうか。
でも、これ、「女子力」云々じゃなく、単に「料理上手」「料理の腕前」じゃ、ダメなんでしょうか。「澤選手は、”女子力”が高く~」と何度も繰り返されると、暗に「意外と」「ああ見えて」みたいなニュアンスが感じられてしまいはしないだろうか。
しかも、よりによって、一般的にはおそらく「女子力」のカタマリと思われがちな職業「女子アナ」の島本真衣アナが、何度も何度もこんなコメントを繰り返していた。
「澤選手の女子力、私も見習いたいですぅ~」
「この女子力、私も見習わなきゃ」
プレーの雄姿には「女にしとくのはもったいない」だとか「○○選手(男子サッカー選手)と代わればいい」などなどの声もあるし、なんかの番組で、ピーターなどは澤選手について「男前っっっ!」と叫んでいて、それはそれでどうかと思ったが。
なでしこ旋風とともに、今後もメディアによる奇天烈な切り口が次々に生まれそうな予感はします。
(田幸和歌子)
世界一になる努力をしてきた人を、「女子力」なんて言葉に押し込めんなよ
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