他の追従を許さない「美STORY」、一流のエゲツなさを再確認した
台風接近のおかげでそこまで暑くなかったので、赤ん坊を抱いて駅前の銀行へ。その足で久々に書店にも赴いた。例によって、最初にのぞくのは当然、女性誌コーナー。気が付けば「美STORY」(光文社)のそっくりさんみたいな雑誌「美メソッド」(角川マーケティング)なる雑誌が刊行されている。出所は角川のようだったが、それにつけても表紙グラビアは松田聖子。相当強気だ。鼻息の荒さを感じる。「美」がテーマの雑誌なのに「凄く鼻息が荒い」って、それって一体どうよ、と思うのだが、とにもかくにも、本家本元の「美STORY」にどこまでキツく食い込めているのか、さっそく誌面をチェック。
……一瞬にして「これはちょっと……」という困惑が脳裏をかすめた。マリエの眉間に走るシワ……その腕ですこやかに眠る赤子……そして、「美メソッド」。「多分、次号は……ないな」。バッサリ言い過ぎかと思われるかもしれないが、しかし、これは誰が読んでもそう思うのではないだろうか? なにしろ、どうにもこうにも、内容がスカスカすぎるのだ。表面だけは潤っているように見せかけて、実は内側がスカスカに乾燥している。まさに40女の肌質そのもの!? と、いわんばかりの内容なのである。それに比べたらまぁ「美STORY」のふてぶてしさといったら、向かう所敵なし、といった感じだろうか。「韓流男子の板チョコみたいな腹筋に胸キュン」だの「どろどろの化粧崩れ」だの(言葉の響きが凄すぎる)挙げ句の果てには、ついに出た!! といった感じの「夫とのセックスレス特集」……「婦人公論」(中央公論新社)のソレとはまた違ったエゲツなさ爆発で、セックスレス回避のための美容ネタが満載。
「川島なお美の夫は、なお美の56センチのくびれたウエストが好きらしい」
って、わざわざ赤ん坊抱きながら立ち読みしてまで得る情報だろうか? 他にも「むしゃぶり肌になる」ってすごいフレーズを目にしたのだが……「亭主にむしゃぶられるような肌になれるコスメ」が、ごっそり紹介されてたけど、別にそんなコスメ使わなくたって、脳内エンドルフィンだけでなんとかなりそうな、そんな勢いのある特集であった。「美メソッド」は、この「美STORY」を出し抜くつもりだったのだろうか?
しかし、そう簡単には覆せない、超一流のエゲツなさ。エゲツなさも「ホンモノ」になると、リスペクトせざるをえなくなる。だからといって「じゃあ、ああゆう、美STORY的中年女になりたいか?」と聞かれると、一瞬、答えに詰まってしまう私であった。
ちなみに今日買った本はマガジンハウスの「クウネル」、木原浩勝さんの「九十九怪談」(角川書店)。「ホッコリ」と「ホラー」の饗宴。