成田童夢、妹系アイドルプロデュースに「もちろんメロは無理です(笑)」
スノーボードハーフパイプ元日本代表・成田童夢が、選手生活を引退して”サブカルタレント”として活動することになった。自由奔放な言動から一躍有名人となり、同競技で同じく日本代表に選ばれた妹・今井メロの存在など、世間を騒がせた数々の出来事から早5年。あまりにもかけ離れた新展開に注目が集まる。
この日、成田はアニメ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のTシャツを着用して登場した。連日の猛暑に「やっぱり暑さには弱いんです」と苦笑しながらも、オタクへの目覚め、結果を残せなかったオリンピック、妹・メロの現在、そして「アイドルプロデュース」という現役時代のイメージからは想像できない再始動について、その本音に迫った。
■スノーボードは好きです。ただ、本当に好きなのはサブカルチャー
――なぜサブカルの方向に活動を展開されたのですか?
成田童夢(以下、成田) 実は小さいころから大好きだったんです。アニメ、マンガ、ゲーム、声優、アイドルといったものですね。ただ、当時は僕の肩書きが”アスリート”である以上、事務所から「イメージが崩れる」と言われて表には出せなかったんです。今でこそ世間にもある程度、そういったカルチャーは容認されていますが、当時はそれこそ気持ち悪がられていましたから。
――現在でもその風潮は残っていますよね。
成田 それを払拭したいです。世界でも『ドラゴンボール』や『ポケットモンスター』はすごく流行っていますし、日本の生み出したその文化を誇らないでどうするんだ、と。
――現役時代にスノーボード界で趣味を共有できた方はいました?
成田 全然いませんでした。というか、そういう趣味を持っていても表には出さないですよ。スノーボードという種目自体、世間のイメージだと「ヤンチャな人がやるスポーツ」だと思うのですが、まさにその通りで(笑)。前回のバンクーバーオリンピックに出場した國母(和宏)選手は散々叩かれましたけど、あの世界では基本ラインのスタイル。完全な実力社会だから、上手けりゃ先輩より生意気でも礼儀がなくてもなんでもアリみたいな。
――そんな中で成田さんは”隠れオタ”だった。
成田 遠征や大会の時は、常にゲームやコミックスを持って行きました。宿舎にはテレビがないので携帯小型テレビも。遠征中にRPGゲームがエンディングまでいくと「よっしゃ、終わったー!」って。遠征をやり終えたことより、ゲームをクリアした気持ちのほうが勝ってました。
――そもそも、そういった趣味を持ったきっかけは?
成田 3歳くらいで『ドラえもん』(テレビ朝日系)で大山のぶ代さんの声を聞いたときに「こんなに変わった声なのに人間の声なんだ」と思って興味を持ち、小学校くらいから「声優になりたい」と考えていたんです。
――その時すでにスノーボードは?
成田 スキーは始めていましたが、父親(成田隆史氏)には当然「声優になりたい」とは言えずに。高校進学時に一度相談したことはあるんですが、「いいけど、その前に成績を残せ。そしてオリンピックに出ろ」と(笑)。最近になって一理あるなとは思うんですよ。まず自分の名前で知名度を稼ぐ。そこからのステップアップ、シフトチェンジ、と。今は「父の言うことを聞いておいてよかった」と思います。
――引退されたわけですが、スノーボードに未練は残っていませんか?
成田 正直好きですし、これからも続けていきたいとは思っていました。ただ、オリンピック後からケガも続いて、練習にも身が入らなかったんです。そこで「このままではスノーボードが嫌いになってしまう」と考えたとき、「では、なぜ自分はスノーボードをしているのか」と思い始め、本来一番やりたかった「声を使った仕事をしたい」という原点に戻ったんです。
■アイドルプロデュースに人生を賭けていく
――今後の活動の主軸となっていくのはアイドルプロデュースですか?
成田 「D-si☆’s」(ディーシスターズ)のプロデュースです。僕が全面プロデュースを行い、スケジューリングからプロモーションまですべて行います。「自分の手で、自分にしかプロデュースできないアイドルを世に出したい」と思ったんです。分かりやすく言えば『アイマス』(※ゲーム『アイドルマスター』アイドルプロデュース体験ゲーム)ですね(笑)。ただ、ゲームならリセットは可能ですが、人の人生を預かるわけですから失敗はできない。死ぬ気でやるつもりです。
――どんなユニットになるのでしょうか?
成田 キャッチフレーズは「次元を超えた妹系アイドル」。さまざまな企画を考えていて、これまでになかったメディアミックスを披露する予定なのでお楽しみに。
――でも、どうしても周囲からは軽いノリで手掛けてると思われそうです。
成田 傍から見れば「アイドルは流行ってるし、『成田童夢』の名前を使った遊びなんだろ」と見られる可能性もある。でも、僕は選手生活を引退して人生賭けてやっているんです。フィールドは変わりましたが、「オリンピック出場以上のもの」を目指していかないといけないんです。僕の中で考えたスローガンは「今まではゲレンデに夢を託していましたが、これからは妹たちに夢を託したい」。
――妹というと、メロさんと間違われないといいですね(笑)
成田 そうなんですよ、僕も思いました(笑)。でもメロは「結婚して子どもも産んだら”妹系”からは除外かな」と。不仲と報道されたこともありましたが、実際は「仲が良いから言い合える」というような関係です。
――ちなみにメロさんは現在?
成田 今はネイリストになるために勉強していて、都内でサロンを開くのが目標みたいです。ウチの子たちのメークはメロに担当してもらおうかな(笑)。
――ところで、成田さんは彼女いますか?
成田 二次元が好きなので、リアルはちょっと……時間もないですしね(笑)。声優にしか興味がないかな。
――真性のオタクですね(笑)そういう家庭で育ったわけではなさそうなのに。
成田 ウチはハードな家ですよ。朝は5時起き、学校から帰ってきて、夜も11時まで練習でしたから。でも、そこから録画したアニメを朝まで見てました。
――小・中学生時代の話ですよね?
成田 ええ。でも『セーラームーン』世代ですからね。その流れで『幽☆遊☆白書』も録画しておいて。『スレイヤーズ」も良かったですね。一番好きなアニメというと難しいですが、遠征時は『シャーマンキング』か『ワンピース』の単行本を持って行きました。
――アニメも相当見ているようですし。
成田 広く浅く、けど時々深く。みたいな感じです。特定の声優さんが出ているとガッツリいきますね。竹達彩奈は神! です。
――さらにはプロデュース業だけでなく、ラッパーとしても活動されていて。
成田 「きどいち!」というユニットなんですが、来年で結成4年かな。「名前を使って売れた」と思われるのがすごく嫌だったので、僕は名前を変えてやっています。一緒に活動してるのは、至って普通の大学生の子。僕のトークショーにお客さんとして来ていて、その時「聞いてください」とテープを渡されたのがきっかけで共にやることに。
――さらには、四柱推命にも学があるそうで。
成田 先生について1年くらい勉強しました。対人運、恋愛運、仕事運を主に鑑定します。僕自身がヘコんでいたときに、その先生を紹介されたんです。実際に占いはすごく当たっていたので「自分もやってみたい」とその場で伝えました。「勉強が必要だよ」と言われましたが、「教えてください!」と。すぐに弟子入りしました。
――本当に幅広いですよね。サブカル、ラップ、占い、プロデュース……。何がエネルギーになっているんでしょうか。
成田 興味が湧いたものは何でも一直線なんですよね。でもすべてで一貫しているのが「人を伸ばしたい」ということ。それに、頼まれると断れない体質なんですよね(笑)。
(取材・文/黒澤直哉)
「D-si☆’s」出演情報
8月16日(火)「I Revolution〜vol.6」開場:14時45分 川崎CLUB CITTAにて
童夢クン、生き生きしてました
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