「今月の海老蔵は500万円弱かな」歌舞伎役者のギャラと収入の仕掛け
暴行事件から7カ月、無期限謹慎中だった歌舞伎俳優・市川海老蔵(33)が「七月大歌舞伎」で復帰した。チケットは、約10分で完売し、連日満員の状況が続いている。客席からは「成田屋」「待ってました」と大きな掛け声が飛ぶ。十八番の”にらみ”には、割れるような拍手が起こっていた。たしかに、他の役者にはなかなか真似ができない”にらみ”だ。彼の最大の魅力は目に力があることだからね。事件後の会見のときにあった左目の血痕はきれいに消えていた。
4月上旬、加害者の伊藤リオン受刑者(27)が「実刑判決に不服」で、一度は控訴をしたものの取り下げたことにより海老蔵の復帰が正式に決まった。謹慎中は、三味線、長唄、鼓などの師匠の家に通い稽古を続け、父・團十郎(64)の元でも歌舞伎の稽古に励んできた。復帰の舞台のギャラは東日本の被災地に送られることも決めた。まもなく長女も生まれる。明るい話題に包まれている「成田屋」だが、「改心した」ということに、疑問を投げかける関係者は多い。
「酒を飲んでいる姿は見たことがありませんが、弟子に対する態度は前と少しも変わらない。事件前以上に弟子たちがピリピリしている」と、舞台関係者は言った。現に、舞台に向かう海老蔵に、楽屋口で待つ記者やリポーターが声を掛けても、一言も話さない。不遜な態度も変わっていない。彼の代わりに父・團十郎が対応していた。
しかし気になるのは、歌舞伎役者のギャラだ。トップスリーは中村勘三郎(57)、中村玉三郎(61)、市川猿之助(71)で1公演で約700万円。続いて尾上菊五郎(71)、團十郎と続くそうだ。「意外に安い」という声も聞こえてきそうだが、これに諸々の手当てが付く。
「一幕でも出演すれば、ギャラはフルで頂けます。出演場面が多くなれば、それだけ収入も増えますよ。1公演の出演料の倍を超えることもありますから。今月の海老蔵さんは『七月大歌舞伎』で、私の予想では500万円弱といったところかな」(歌舞伎役者)
それ以外にも毎月、出演料の3割程度の専属契約保証金は支払われているようだ。歌舞伎役者は、舞台出演以外の収入も多い。多くの役者が踊りの弟子を抱えている。ピラミッド式に弟子が広がるためお稽古代の収入も大きい。弟子の数は、人気のバロメーターでもある。そして、歌舞伎役者を支えてくれる多くのタニマチ。お得意さんだ。
「お得意さんがチケットを買って応援してくれる。これがなきゃ、ポンと1億円以上の家はもてませんよ。歌舞伎役者はみんな一等地に住んでいますからね」(歌舞伎評論家)
そういった根強い支援が海老蔵にもついている。ところでいつになったら、彼は父・團十郎のような和やかな顔を見せるようになるのだろうか。