殺してやりたいほど愛してる!? 愛と憎悪が入り交じるてんちむ母の育児とは!?
元モーニング娘。の辻希美を筆頭に、ここ数年でママタレントの地位は確固たるものになった。結婚・出産・仕事・女の夢と希望を全部持ち合わせている、女性の憧れを具現化させた姿。それがママタレント、略して”ママタレ”なのだ。
とはいえ、ママタレとしての認知度が上がれば上がるほど、子育ての仕方へのバッシングも加速する。辻ちゃんはブログに手料理写真を頻繁に載せていたところ、「ウインナーの投入率が高い」と非難され、新山千春はスーパーにて、売り物のコロッケを娘がその場で勝手に食べても怒らないとブログに書き込み、炎上寸前にまでなった。どんなに派手に着飾っていても、「育児は真面目に」というのが世間というもの。ママタレは常に厳しく見張られているのだ。
そんな世間への言い訳も兼ねてなのか、ママタレは雑誌や育児本の中で子育てについて熱弁する。どんなに自分が子どもを愛し、育児に真剣かを語り、世間の賛同を得ようとする。そして今やそのブームに便乗しようと、スザンヌの母親・キャサリンなどおよそママタレとは呼べないような人までが育児本を出している。
そんな中、先日発売されたのが元清純派子役、現在は雑誌「Nicky」(竹書房)のメインモデル・てんちむの母親である橋本文華氏が著した『母親失格』(竹書房)。タイトルもかなりショッキングだが、中身もそれに劣らず、子役の笑顔の裏に渦巻く、ドロドロとしたものが赤裸々に描かれている。
例えば、てんちむが小学5年生のころ、水着姿の写真集の仕事依頼が入った。てんちむは嫌がったが、この母はあまり深く考えず引き受けるのだ。思春期の微妙な時期に、自分の体をおじさんにエロい目線で見られるのは、苦痛だっただろう。また、『天才てれびくん』(NHK教育)の夏のイベントにて、体調が悪いと言うてんちむを無理に行かせたともつづっている。本人は「仕事先の人に迷惑をかけてはいけない」と至って真面目なのだろうが、はたから見ると力の入れどころがずれていると感じられる。さらにはてんちむが稼いだお金をめぐってケンカしたこともあるという。「ママは娘を働かせて、そのお金を使っているんでしょう??」というてんちむと、未成年にお金の管理ができるわけないと主張する母親。今は何をやっても「かわいい!」と絶賛される芦田愛菜ちゃんも、近い将来こうなるのかも? とついつい邪推してしまいたくなる。
とはいえ、愛しさが湧くようなダメっぷりも。娘のパソコンをこっそり見てしまうだとか、娘の言い分を聞かず怒ってしまうだとか、料理ができないだとか、まさに”母親失格”そのものなのだが、おそらく多くの母親が似たような経験をしているはず。ダメな母親でも子どもは育つ。そしてどんなダメ母でも自分の子どもを愛していることは変わらない。そんなメッセージを感じさせる。
『母親失格』は、てんちむが中学生の頃の日記を発売して17万部突破した『中学生失格』に応えるために書いたものでもある。併せて読んでみると、お互いの愛と憎悪がありありと浮かんでくる。育児真っ最中の人や、これから育児に取り組む人にとっても、ママタレが出すキレイ事ばかり書かれている育児本なんかより、よっぽどタメになるはずだ。
【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】
・初代は刺殺され、四代目は男色家! スキャンダルで見る”團十郎十二代”
・元刑事が秋田児童連続殺人事件の”真実”に迫った、『飛松五男の熱血事件簿』
・矢沢あい原作『Paradise Kiss』、まさかのエンディングに「ショック」の声続出!?