カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「HERS」7月号

何をやっても年齢を感じさせる、「HERS」の揺るぎないコンセプトを痛感

2011/06/14 16:00
「HERS」(光文社)7月号

 今月の表紙は帽子とドレスのみ萬田久子私物。相変わらず本誌内でもたくさんの私物コーディネートが紹介されています。オシャレキャリア50年以上、萬田久子の自宅クローゼットがとても気になります。きっと、洋服専用の部屋とか普通にあるんでしょうね。ワンルームマンションに住んでいるような筆者はオシャレキャリア以前の問題です。50代になったらそんな生活ができるんだろうな〜と妄想しながら、今月もそんな萬田姉さんの活躍を見ていきましょう。

<トピック>
◎萬田久子の「楽しみましょ」コラム 萬50+3ダッ(はーと)
◎「ゆるっと」は褒め言葉!
◎浅野温子さん SPORTSブランドで「爽やかフェミニン」

■道頓堀心子さんを知っていますか?

 突然ですが、道頓堀心子って誰だか知っていますか? これ、萬田久子の幻の芸名です。デビュー当時、どんな芸名にしようか悩む萬田久子に、事務所の先輩で同じ大阪出身の秋野暢子が付けてくれた芸名らしいんですが……。大阪出身ってだけで道頓堀+心斎橋=道頓堀心子って。女優の瀬戸朝香も出身地・愛知県瀬戸市から芸名を付けていますが、道頓堀心子は女優の芸名としてはちょっと……。新人つぶしか?と邪推されても仕方なさそうな名前です。

 萬田久子もコラムの中で「それじゃまるで漫才師だし……」と悩んでいたと語っています。そうやって悩んでいるうちにテレビドラマの出演が決まり、本名”萬田久子”で活動を開始し、今に至っているそうです。

 現在、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)金曜レギュラーの萬田久子。道頓堀心子でデビューできなかったけれど、同番組では”道頓堀心子”の気分で出演しているそうです。クイズでのトンチンカンな回答も、金曜レギュラーメンバーとの妙なやりとりも、全部”道頓堀心子”魂がなせる技。6月7日放送『「ぷっ」すま』(テレビ朝日系)の「我流グルメ! こだわり三択王!!」でタマゴへの並々ならぬこだわりを披露していましたが、それも”道頓堀心子”気分で出演していたのでしょうか。

■ゆるっと服と年齢の限界

 年齢のせいか、季節のせいか、ボディーラインがくっきり出ない服特集がここ数カ月続いています。ゆるっとした服特集は年齢問わず体形カバーができると読者に人気で、「HERS」だけでなく他誌でも高頻度で取り上げられます。しかし、その「ゆるっとした服=体形カバーができる服」という取り上げ方に、萬田久子が「騙されちゃダメ」と「HERS」読者に苦言を呈しています。

「一見悩みを隠してくれそうな”ゆるっと”した服こそ、体型が出てしまうものだから。気を抜いたら、だらしなく、オバサンっぽく見えてしまうものね(笑)」

 これ、50代女性だけじゃなく、20〜40代の女性の心にも刺さる一言です。確かに、ゆるっとした服は一見体形カバーをしてくれているようですが、横から体を見るとぽっこりお腹を覆うように服が乗っていて、柄や色によってはお腹がより目立つことも……。さらに、ゆるっとだから体が締め付けられることもなく、太ってもすぐに気付かないという悪循環。さすが、オシャレキャリアが長い人の言葉は重みが違います。萬田久子のグラビアと一緒に読むとなおさら。「ゆるっとした服=体型カバーができる服」と思っていたことを謝りたい気分になります。

 なんて思ったのもつかの間、ゆるっと服の着こなしを紹介する読者スナップページを見ると、「やっぱりゆるっと服は体形カバー服だよ」と現実に引き戻されてしまいました。登場する読者モデルはそこらへんにいる50代よりはるかにキレイなんですが、いかんせん前のページが萬田久子のグラビア。落差が激しく、人によっては「ゆるっと服を着こなしている」のではなく「体形カバーを目的としている」と思えてしまったことをここに報告しておきます。

■千秋の「ぷぅ」の破壊力

 先月号では白い服の着こなしを見せてくれた浅野温子が今月号も登場。「実は釣りベスト好き!?」という誰得なのか分からない情報とともに、スポーツウェアの着こなしを紹介しています。

 目を奪われたのが浅野温子の表情とポーズ! タレント・千秋の「ぷぅ」みたいに唇をとがらせてほおを膨らませる表情や、「CanCam」(小学館)でエビちゃんがよくやっていたような片足を上げて後ろを振り向くポーズとか、「え? なんでこれ掲載しちゃったの?」と気になって仕方がありません。千秋の「ぷぅ」に至っては、最初、誰だか分からないぐらい浅野温子の要素を感じられませんでした。千秋ですら年齢的にどうなんだとツッコまれている「ぷぅ」。本家がそう言われている中、10歳も年上の浅野温子は手を出すべきではなかったはずなのに……。

 ほかにもチェックしておきたいのが、連載「ビオラ7が行く!」です。「HERS」によく登場する読者モデルを中心に結成したグループで、さまざまな体験レポを誌上で公開しています。前回は「書道ガールズ気分で大書がしたい!」と大筆書道を体験し、今回は「次こそ最後? こんな『大人婚』ドレスが着たい!」と、ビオラ7のシングル4人が自身の「大人婚」をセルフプロデュース。既婚の3人は立会人で登場です。

 「HERS」読者の結婚適齢期は昭和のころ。ドレスひとつ取ってもラインやデザインが多様にある現代とは違い、ボンボリのように大きいパフスリーブ、ぶりぶりのレースやリボンが付き、ぶわっと広がったプリンセスラインのドレスが主流。4人が着たいというドレスの中に、「昔はなかった斬新なコラボドレス!」とビスチェ部分を帯で作ったドレスが紹介されていますが、着物生地で作ったドレスや芸能人がデザインした突飛なドレスが人気の昨今では、インパクトもそんなに……。まあ確かに斬新ではありますが、今の若い人たちが好んで着るとは思えません。最後の最後で、しみじみ「HERS」は50代のための雑誌だということを突き付けられたのでした。
(エメラルド真希)

『HERS(ハーズ)2011年07月号』

読めば読むほどくせになる、スルメのような雑誌です


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最終更新:2011/06/14 22:05
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