素直になれない人必見! ”めんどくさい女”の脱却法は地獄との付き合い方
男性に愛されるがために女性誌の提言を実践する女性を見ては「スイーツ(笑)」と笑い、「ちょっと変わった自分」をアピールしてくる女性と出会っては背を向けて舌を出す。だからといって、自分の個性やビジョンを表立って訴えることもせずに、「周囲に理解されない私」に酔っている女性というのは少なからず居るのではないだろうか。多くの場合、知らず知らずのうちに、「素直になること」のハードルが上がっていき、「めんどくさい女」をこじらせる。
そんな女性に愛のムチを打っているのが、『「めんどくさい女」から卒業する方法』を上梓した、心屋仁之助氏。本書では、素直になって愛されて幸せになる、「すあしの女」を推奨しているが、その第一歩が見えやプライドを捨て、地獄にいるありのままの自分を受け入れることだという。自他共に「めんどくさいやつ」と言う心屋氏に、実体験をもとに見つけた「めんどくさい女から卒業する方法」を教えてもらった。
――本書の中では「めんどくさい女」の思考回路を、「地獄思考」と表現されていますね。
心屋仁之助氏(以下、心屋) 仏教に「六道」という言葉があるのですが、これは、仏教において迷いある者が輪廻するという、地獄道、修羅道、餓鬼道、畜生道の4つの地獄と人間道、天道という6種類の迷いある世界のことなんです。4つの地獄の一つ一つの意味を知ったとき、めんどくさい人間の思考回路はこれに当てはまると思ったんです。常に何かと戦ってイライラしている「修羅道」、人から認められることや愛情に飢えている「餓鬼道」、誰にも認められないむなしさをさまざまな欲で埋めようとする「畜生道」、どうせ私なんかと卑屈になる「地獄道」。そして、天国(天道)に行くには全部の地獄を通らないといけない。地獄思考から抜け出して天国思考に行くには、それはもう大変な道のりなんですよ。
――どうして人はこういった地獄に陥ってしまうのでしょうか。
心屋 僕は中学の時に仲間外れにされたことがあったんです。その時は、自分に魅力がないからこんな扱いを受けるんだと思い、能力でカバーしようと頑張って、周りからも「すごい」と言われるまでになったんです。でも、頑張っていない、「すごい」と言われない人の方が人気があるという恐ろしい現実に直面したんです。そこで「自分はよっぽど魅力のない人間なんだ」と思いながらも、「自分はこんなに頑張っているのに、どうして周りは認めてくれないんだ」「誰も認めてくれないんだったらもういい!」とひねくれてしまったんです。ひねくれたら最後、どんどん地獄の門が開いて、あれよあれよと地獄思考になっていく。例えば、同僚が助けてくれても「どうせ仕事ができないと思ってるんだろ」と善意を拒絶してしまう。そんなことを繰り返していたら、自然と誰も助けてくれなくなるに決まってるのに、「誰も助けてくれない、僕は嫌われている」ってどんどんひねくれた考え方になって、地獄に陥ってしまうわけなんです。
――いったんはまったら抜け出すのは大変そうですね。
心屋 そう、本当に大変。地獄思考の「めんどくさい女」から天国思考の「すあしの女」になると決めたら、まずはじっくりと自分の居る地獄を見つめないといけないんです。多くの人は自分の中にマイナス部分を見つけると、それをバッサリ切り捨てて、まるでそれがなかったかのように一気にプラスの自分を目指そうとするけど、それは中途半端にもがいているのと同じなんです。アリ地獄でもそうですが、落ちる落ちるってもがいている時が一番苦しくて、素直にストンと落ちてしまえば苦しみも少ないし、無駄な時間を過ごすこともないんです。素直にどん底まで落ちてしまえば楽なのに、周りの目と「自分はそんな下の人間じゃない」というプライドが邪魔をして、落ちることができないんです。
――周囲の目を気にして素直になれないというと、自意識の強い女性の方が地獄に陥りやすい気がしますが……。
心屋 地獄に陥るのは男も女も同じくらいですよ。ただ、女性誌のうたい文句に流されやすい女性はそういう意味で陥りやすいのかもしれませんね。「すあしの女」って、簡単に「助けてください」って言っちゃうから、「めんどくさい女」からするとイライラするタイプなんです。でも、そうやって自分の弱さを出せる人って、裏返すと本当は強い人なんですよね。「すあしの女」を見てイライラする人っていうのは、自分がひた隠しにしている弱い部分がさらけ出されていると感じてしまうから、見たくなくてイライラするんです。
――本来の自分を直視できないくらい、ひねくれてしまってるんですね。
心屋 結局、自分の弱さやダメな部分を素直に見るのが怖いんですよね。この本では「素直になると愛されて幸せになれる」と書いているけど、もう一個裏の言葉があって「素直になると愛されていたことに気づく、幸せを感じることができる」。素直になるから愛されるんじゃなくて、人間は素直じゃなくても愛されているんですよ。せっかく同僚が助けてくれても、ひねくれてしまっているから卑屈にしか受け取ることができない。そして、愛されていない理由を無理やり集めてきては、勝手に「私は嫌われている」と思い込んでどんどんどんどんひねくれていく。それって、もっともっと愛をくれって叫んでいるのと一緒なんです。十分に愛されているのに「自分はもっと愛されて当たり前だ」と変な勘違いが始まってしまうんです。
――めんどくさい女は卑屈な女というよりも、勘違い女ということ。
心屋 勝手に一人で悲劇のヒロインになって、自分は嫌われていると勘違いしてしまった結果、めんどくさい女になってしまったんです。何が一番めんどくさいかっていうと、勝手に頭の中で悲劇のヒロインぶってたのに、最後の最後は現実でキレてしまうところ。周りにいる人からしたら、「なんで急に怒ってるの?」となって、気付けば「突然怒り出すめんどくさい人」というレッテルが張られている。でも、そこでキレないように変に繕っても、いずれはそこにたどり着いてしまうんですよ。だったら、変にもがこうとしないでありのままの自分を受け入れる。それが天国思考への一番の近道です。
――そうやって地獄思考から天国思考ににたどり着いたら、もうずっと天国に居られるんですよね?
心屋 それが、居られないんです(笑)。すぐに戻ってきちゃう。何度も地獄と天国を往復することで、地獄の単位を取っていくんです。きちんと単位を取れば、また地獄に戻ってきても滞在時間はぐっと減ります。最初はなかなか難しいですが、ちょっとずつ地獄思考から天国思考を目指しましょう!
心屋仁之助(こころや・じんのすけ)
1964年兵庫県生まれ。桃山学院大学卒業後、大手物流企業に就職。現場営業を経て営業企画部門の管理職として19年間従事し、その後、自身の問題解決を通じて心理療法に出会い、心理カウンセラーとして起業。現在は、京都を拠点にカウンセリングやセミナー・講演・執筆活動を行っている。主な著書に『人間関係が「しんどい!」と思ったら読む本』(中経出版)など。
「でも」「だって」と言い訳をしてなかなか素直になれない……。恋愛や人間関係、仕事などにいつも悩んで問題を抱えてしまう。誰の心の中にもひっそりと隠れている「めんどくささ」を、著者自身の経験をもとに、解決する方法を教えてくれる一冊。
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