ジャニーズに寄生しない番組『スクール革命!』の奇跡のバランス
今回ツッコませていただくのは、5月8日放送分の『スクール革命!』(日本テレビ系)。今回は「スクール革命!祝放送100回記念」 ということで、過去188名登場した先生の中から、各部門別に順位をつけて紹介していた。衝撃的だったのは、ランキングのお題。
「最低だった先生部門」
ランキング形式で、しかも初っぱなで、フツウだったらあり得ないテーマだ。これに続くのは、「ハプニングを起こした先生部門」や「衝撃の過去を持った先生部門」「バカにされたかわいそうな先生部門」。どれもこれもくくり方が狭く、偏りすぎ。
でも、このヘンなお題も、普段から「クイズ」という名で、なぜか珍回答続出の大喜利大会を毎度繰り広げている『スクール革命』らしいところ。
テレビの世界では、「放送作家が机上で考えただけ→出演者がカンペ通りに動くだけ」という愛情のない番組が実に多く、それは視聴者側にも否応なく伝わってしま うものだけど、この番組にはスタッフも含めた一体感があり、そこに「学校」感を強く感じてしまう。
総集編で振り返ってみると、どんな場面も笑いに変えていくザキヤマ(アンタッチャブル山崎弘也)の存在は、やっぱり大きい。こういう人が一人いるだけで、クラスが盛り上がるという図式も、やっぱり「学校」だ。また、本来「人見知り」の内村先生(内村光良)が実に楽しそうなのも、同じく「人見知り」のオードリー若林正恭がのびのび、イキイキしているのも画面を見ていてよく分かる。
何より、この100回の間で一番変わったのは、オードリー春日俊彰ではないだろうか。かつては自分から喋らず、振られても普通のことしか言わないなどと評価され、千原ジュニアに「ユニーク仕上げ」などと皮肉られていたこともあったのに、今の春日は自分一人でもどんどん積極的に笑いをとりにいく。温かい空気の中で、春日の良いところばかりが引き出されている番組だと思う。さらに、見逃せないのは、ジャニーズタレント(Hey!Say!JUMPの山田涼介・知念侑李・八乙女光、B.I.Shadowの高地優吾)のバラエティーの力が、着実に上がっているところ。100回放送という歴史の中で、以下のようなキャラクター設定もできている。
・芸人へのムチャぶりが恐ろしい「天然・天才」の高地
・運動神経抜群+腹黒い知念
・スターなのに、”普通の人”山田(占い師の魚ちゃんに「普通の人」と言われた)
・「オードリー春日→八乙女光」というカップル
最後のカップル(?)に至っては、春日がHey!Say!JUMPのコンサートに行ったり、自宅に八乙女のうちわを飾っていたり、八乙女の等身大抱き枕をスタッフにプレゼントしてもらったりと、公私ともに充実したストーリー展開が繰り広げられている。
他のジャニーズ番組と大きく異なるのは、芸人(アンタッチャブル山崎、オードリー)と優木まおみなどの「女生徒」、さらにボビー・オロゴンや北斗晶など、準レギュラー化している「先生」と、ジャニーズタレントの役割に区別が全くないところだ。ジャニーズタレントばかりを強引に前に押し出すでもなく、気を遣ったりヨイショするわけでもなく、吉本芸人が団体でやりがちな芸人がジャニーズタレントに寄生して利用するというわけでもなく、みんなが同じ位置にいる関係。「要らない人」のいない、貴重な番組だと思う。
それだけに、少し惜しまれるのは、トークシーンよりVTRが増えてきていること。VTRで流れる情報より、彼らの掛け合いをもっと見たい人は多いはず。
(田幸和歌子)
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