乳首モロ出しランジェリーで仕掛けた、夫の”ボーイング747″の離陸
「性交は男から迫ってくるもの。男は常に女のカラダを狙っている。とにかく自分の身を守れ」という性教育には「結婚相手とする性交だけが、唯一清らかで正しい性交である」という暗示が含まれている。それを信じて生きてきた女たちにとっての「結婚」とは、「性の大解放」の季節である。しかし、鼻息荒くウエディングドレスを脱いだ時、夫の妻に対しての欲情は激減しているのだ。何故? おかしい、こんなハズじゃない……。女はその時初めて知るのである。セックスをさせてもらおうと奮闘する事態が、(女の)自分にも訪れるという現実を――。
スッピンで飾り気のないナチュラル系美人の34歳、香織さん(仮名)は語る。自分の欲望にも自覚のあるオトナな香織さんにも、発情サイクルの遅い夫に速度を合わせ、お股の表参道が大渋滞を起こした日々があった。
それは5年前、新婚旅行へ向かう飛行機内から始まったという。
香織さん(以下、香織)「機内で我慢できなくなった夫に『握るだけでいいから』と頼まれて、ハワイに着くまでアレを握った、っていう新婚体験談を雑誌で読んで、私も絶対コレしたい! って憧れてたんですよ。だけど、実際には夫がそんな風になることってないんですよね」
――なったら困りますね。
香織「私はその気だったから、ムラムラしちゃって、こっちが『指の先あてるだけでいいから』ってクリちゃん、差し出しそうになりましたよ」
――旦那さんは察してくれなかったんですか?
香織「私、クリちゃんが膨張してそれを我慢しなきゃいけない時、会話とかできないんですよ。ムスッとしてたから、機嫌が悪いと思ったんじゃないですか。『ジュース飲む?』とか言ってくれましたけど」
――優しいですね。
香織「でも、男の人って、そういう時にクリちゃんを気遣う優しさは持ってないんですよね」
それまでの経験でも感じていた「男は肝心な所でスケベじゃない」という事実が、香織さんの中で決定的になった。頭で諦めようとしても、自分のクリちゃんが夫との熱い夜を要求する。月3回ではとても足りなかった。どうしても、週4~5回ペースで夫にヤル気になってもらいたい。思いつめた香織さんは、セクシーランジェリーショップにいた。
日本人には厳しいデザイン
香織「切り込みが入ってて、乳首が出ちゃうブラジャーを買ったんですよ。Tバックショーツとセットになってて4,800円くらいしたと思う。着てみたらすっごく似合わないんですよね。でも、異様に興奮するんです、ああいうの着ると」
――じゃあ、効果的だったのでは?
香織織「自分がすごく興奮しますから、夫は私の勢いに負けて一応ノッてくれるって感じですね。だから気まずさも伴うんですよ」
――確かに夫が、おいなりさんだけコンニチワしちゃってるブリーフを自分で買ってきて勝手に履いて興奮してたら、発情というよりは、哀れみの気持ちが沸いてきそうですね。
香織「その気になってもらいたい相手に着させるのはいいかもしれないけど、ヤリたい方が自ら着ちゃうと、温度差が大きくなるだけなんですよ」
乳首モロ出しランジェリーは結局、一度しか着なかったという。しかし更に、夫との性の距離がひらく出来事もあった。
香織「自慰行為してるのが夫にバレたことが2度あるんですよ」
――エッ! 見られたんですか。
香織「いや、現場じゃなくて、しまい忘れたローターを見られたんです」
――旦那さんは何て?
香織「『ウワー! なにこれ!? うそ!?』って驚いて大騒ぎしてましたね。私も恥ずかしくて『はあ? だから何!?』って逆ギレしたら、『俺、満足させてないんだね、ごめんね』って謝られました」
――優しいですよね。それでもセックスの回数は増えなかったんですか?
香織「2度目は見て見ぬフリされましたよ。だんだん、エロっぽいことを私が言うだけで夫が不機嫌になるようになって、このままじゃヤバイって思ったんですよ」
香織さんは、とうとう決意を固めた。自分の性欲を開陳することでは、夫の”ボーイング747″は離陸しないことを、認めたのだ。そして「セックスがしたいなんて1ミリも思っていない妻を演じる」という「究極の誘いテクニック」を編み出し実行したという。
香織「『やりたい』って言うとか、『なんでしてくれないの!』って怒ったり、を一切やめましたね。ふざけて股間を触るとか、夫のベッドに入って一緒に寝るのもナシです。あと、裸も見せないことにして、目の前で着替えたりするのをやめました」
セクシャルな要求に繋がりそうなことは、すべて封印した。夫が寝てしまうと、『今日もしてくれなかった』と寂しくて涙がこぼれたが、耐えた。そして2週間後、効果が現れる。実に1年ぶりに、夫のほうから香織さんのベッドに入ってきたのである。
香織「その1回の衝撃がすごかったんですよ。本当にうれしかったし、気持ちよかったし、夫と繋がってる~! って感動があって。言い方悪いですけど、それまでは、夫のおちんちんを使ってオナニーしてる感覚だったんですよね。やりたいから挿れてよ、ちゃんとイカせてよ、って自分中心だったと思う。だから”セックス”をしたのはその時が初めてかもしれない」
週に7回催促してやっと月3回だった夜のムーブメントが、黙っているだけで月6回に増えた。それでも以前の香織さん(のクリちゃん)にとっては足りなかったはずだが、充分満足していることを、彼女のつやつや肌が証明している。
田房永子(たぶさ・えいこ)
1978年、東京生まれ。漫画家、ライター。01年「マンガF」にて漫画家デビュー。05年 エロ本の漫画業開始。ハプニングバーなどの過激スポットへ潜入したルポ漫画を描きながら、男性の望む「女のエロ」を描き、違和感が蓄積。08年からノンフィクションレポートシリーズ「むだにびっくり」を自主制作・出版。
ブログ「むだにびっくり」
むしろエロさゼロ
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