ファッションも心の病気も「女のコ」でまとめあげる「CanCam」の強引さ
今月号の「CanCam」の表紙は安座間美優です。表紙撮影に対する思いを先月から始まった連載「安座間の生き様―アザマノイキザマ―」で語っています。ちなみに、舞川あいくも同時期に連載をスタートしており、その名も「あいくん」。「舞川あいくの教訓=あいくん」について語る連載なのですが、予想通りまったく心に響きません。こんなんだったら、プライベートの写真を紹介してくれた方がなんぼか楽しめます。同時期にまじめ系タイトルの連載が2本も始まるなんて「CanCam」編集部は第二の押切もえを輩出しようとしているのでしょうか? 余計な話で導入が長くなりましたが、それでは中身を見ていきましょう。
<トピック>
◎女のコに生まれてよかった(はあと) 今、おしゃれなコーデ全部見せ! and more!!
◎Can流Happy水着inニューカレドニア
◎CanCam専属モデルズ8人 キレイの軌跡!
■「女のコ」でくくれば何でもアリ♪
今月の大特集は「女のコに生まれてよかった(はあと) 今、おしゃれなコーデ全部見せ! and more!!」です。「Can流王道スタイル38」「お休みの日のおしゃれ」「デニムStyle見本帖」など、「CanCam」お得意のコーディネートページが続きます。が、後半に近づくにつれ、小首をかしげたくなるような特集が……。
「『東京×関西』ザ☆流行ライバル対決!!」はただの街トレンド情報だし、「カラオケ上手になる方法15」も単なるカラオケハウツー。「カラオケではとりあえずポテトが新常識」って言ってるけど、ポテトなんて昔からのカラオケど定番メニューだし、カラオケ機器攻略の秘訣も、バラエティー番組で紹介されつくしたもの。なぜ大特集の中に入っているのかとタイトルページに戻ってよ~く見ると、今回の特集は「コーディネート」じゃなくて、「女のコに生まれてよかった(はあと)」に重点が置かれていることに気づきました!! 大特集の中に小特集が22本あるのですが、それぞれのタイトル周りには「女のコでよかった(はあと)」の文字がハートで囲まれてレイアウトされていました。
「女のコって好きなものをちょっとずつ食べたいでしょ? だからファッションも街情報もカラオケも心の病気も何でもありだよね♪」ってこと? とはいえ、「『心の病気』と正しく向き合う」のタイトル周りにも「女のコでよかった(はあと)」を付けるのはいかがなものかと。PMS(月経前症候群)、更年期障害は女性であるが故にかかりやすい心の病気。生理痛がひどい筆者は生理のたびに女であることをつらいと感じますよ……。なんでもかんでも「女のコ」でくくるのは勘弁してください。
■だから無理って言ったのにー
以前もレビューでご紹介した「私立探偵★舞浜アイク」の1カ月着回しコーデも健在です。2回目となる今回はおもちゃ会社の潜入捜査。最初は探偵っぽいキャッチが躍っているのですが、月も1/3が過ぎたあたりから「探偵もいいけど、やっぱ営業むいてるかも☆」「会社のおもちゃを取引先に置いてもらえるように、POPや飾りを手作り!」と、探偵業務そっちのけで営業活動に力を注いでいます。これは、「普通のOLに戻りたい……」という舞浜アイクの心の声の表れではないでしょうか。
次案として、愛人秘書というのはどうでしょう? 愛人気質の女性は同性に嫌われやすい傾向にありますが、そこを「CanCam」お得意の「同性の同僚に嫌われないコーディネート」に落として、狙った男を見つけたら「男性ウケのいいコーディネート」を披露する。思った以上に「CanCam」のテーマとうまく融合するのではないかと思います。「CanCam」編集部様、ぜひご検討いただければ幸いです。
そのほか、別冊付録として、「映画”岳”SPECIAL BOOK」が付いています。内容は、小学館のどこかの媒体からの流用と思われる小栗旬のインタビュー4ページ、登場人物紹介や撮影エピソードが8ページほど。残りは、なんと漫画『岳』の第1話をまるっと掲載。書店の立ち読みブックと変わらないクオリティーに、もしかしてそれに「CanCam」のロゴ入れただけなんじゃ……と邪推もしたくなるってもんです。
「女のコ」であれもこれも無理やりまとめた感のあった「CanCam」6月号。次号は夏ファッション特集ですが、予告の欄に「舞浜アイク」の名前が見当たりません。もしや、今月号で最後……? もう一度舞浜アイクに会える日が来ることを信じて、今回のレビューを終わらせていただきます。
(エメラルド真希)
女ってめんどくせー。
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