『笑っていいとも!』に潜入! しかし中継ストップの事態に……
今回は『笑っていいとも!』(フジテレビ系)を観覧してきた。場所は言われなくても分かっている新宿アルタ。この連載はご長寿番組観覧記なので、今までの観覧客層は比較的年配の方が多かったが、今回は非常にヤングである。19歳~20代女性が中心か。茶髪率が高く、朝からテンションも高い。これはこちらもアゲアゲでいかないと飲み込まれてしまいそうだ。
『笑っていいとも!』は1982年に開始したので今年で29年目。来年にはなんと30周年に突入する超ご長寿番組である。なのにこれほどまで若い層に視聴されているのは、ご長寿の中では異色かもしれない。もちろんレギュラー陣にSMAPや若手芸人が出ているせいもあるが、何といってもタモリの魅力だろう。歴代、ダウンタウンやウンナン、チュートリアルなど旬の芸人がレギュラーで出ていたが、中心にタモリがいたからこその人気番組なのだ。なにせ「森田一義アワー」という冠がついている。
さて、アルタ1階入り口でハガキと本人確認が終わったら、階段でスタジオまで上る。スタジオは7階だ。トイレ休憩をはさんでしばらく階段にて待つことになる。この日は、まだ余震が続いているということもあり、緊急避難場所の地図のコピーが各人に渡された。アルタからの避難場所は新宿御苑である。もし避難が必要な事態になったら、新宿御苑までスムーズに行けるのだろうか? スタジオは安全が確認されていますとスタッフから説明があったが、心配は残る。
いよいよスタジオ入り。おお……! これが本物の、いいとものスタジオか……! 客席の横には見慣れた「テレフォンショッキング」のゲストのカレンダーやセットが無造作に立てかけてある。「いつもテレビで見ているスタジオだ!」と感激もひとしお。テレビで見ていても客席の狭さは感じられたが、舞台もとても小さかった。タモさんが登場するあの正面階段など、二人も並べないくらいの狭さだ。
席につくと、あの「100分の1アンケート」のボタンが置いてある。スタジオを見たりして「床って気持ち悪い柄だったんだ」「セットの色合いが極彩色ですごいなぁ」「ドアも小さい」などと思っていたらあっという間に本番10分前に。
「あれ? そういえば前説は?」
ようやく5分前を切ってからスタッフの前説が始まった。とはいえ、100分の1ボタンを押す指示と、簡単な拍手の練習のみだ。これは……ビックリというか意外である。本番中の拍手の「パン、パパパン!」「そーですね!」「え~っ」などのお約束は、てっきり前説で練習をしているのかと思っていたのに指示も練習もないとは! ……なるほど。いいともの観覧客は、高倍率のハガキに当選した人だけが来ている。つまり「来たくて来たくてたまらない人たち」が集まっているので、当然モチベーションも高いのだ。日々テレビ前で予習を重ねて、今日という本番を迎えた。観覧客にとっても日ごろの成果を発揮する場なのだ。会場もさながら学園祭(女子校)の雰囲気。
ハガキと引き換えに渡される整理券。神々しい。
と、あれよあれよのうちに、おなじみのオープニング「ウキウキWATCHING」がかかり、タモさんの登場!! そして拍手で「パン、パパパン!」。あまりのうれしさに自分の顔が紅潮し、耳が熱くなるのが分かった。こんなに……うれしいものなのか……。生タモさん! 大物芸能人を数々見てきたが、タモさんには特別なものがある。神オーラを感じるというか、とにかく目が離せない。この日、木曜のレギュラー陣は笑福亭鶴瓶、千原ジュニア、佐々木希、ピース。
全員がそろったオープニングコーナー中に、まさかの地震が発生した。テレビは地震速報画面に切り替わっているが、スタジオ内ではタレントたちがそのまま舞台上にいる。頭上で揺れる照明機材に観客がざわめく中、「大丈夫、大丈夫」と声をかけてくれる鶴瓶師匠、そして笑顔のままのタモリやレギュラー陣たち。みんな非常に落ち着いていた。数分で中継がスタジオに戻り、オープニングコーナーが続行された。スタッフも出演陣も一切動揺せず、淡々と進行されていくことに場数の違いを感じた。この番組は、あらゆる緊急シミュレーションへの対応策が組まれているのだろう。
CMに入ると目にも留まらぬ早さでセット替え。1秒前まで花などを運び続けるスタッフたち。あっという間にテレフォンショッキングのセットに変わり、お祝いの生花のにおいでスタジオが包まれた。ここからは、とにかくタモリのお茶目さを楽しむ1時間半(増刊号の収録込み)だった。テレフォンショッキング本番では1回しかやらない「100分の1アンケート」もCM中に4 回もやり(おそらくタモリの好奇心)、生放送が終わった直後には突然、「ここで特別ゲストです! お台場特別大使の福山雅治くんです!!」と、観客が大きくどよめくジョークを放つ。もちろんウソである。お茶目すぎる。増刊号にも使われないのに、その場の観客のためだけにこのサービス精神! 29年も続きながら、現代の若者にも愛されるタモさんたるゆえん。とにかく、文字通り「森田一義アワー」である。タモさんが楽しければ見てる方も楽しいのだ。
お腹いっぱい、大変な満足感で観覧を終えた。地震のせいで時間が削られ、タモさんと「そーですね!!」の応酬ができなかったことだけが少し残念。この日のために、テレビの前で自主練を積んできた観客のためにも、「そーですね!」コールはやってほしかった。
観覧方法:往復ハガキで応募。観覧応募の書き方
客層:20代~50代の女性
特典:ナシ
みかのはらミキ
漫画イラストレーター。1980~90年代好きで、有名人を「やや~最大に美化」して描くのが持ち味。「星ぽえ夢」スタッフとしては雑誌イラストや携帯コンテンツなどでも活動中。芸能愛に溢れるブログも絶賛更新中。
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