甘えの抜けない大相撲界、酒気帯び運転発覚も 「もう一度チャンスを」
野球賭博で角界を追われ、廃業に追い込まれた元大嶽親方は、東日本大震災以来、連日、避難所での炊き出しに精を出し、真摯な生活を送っている。暴力団の資金源と言われる野球賭博に手を出したことは当然悪いことだが、反省の日々を送っていると見える。とはいえ、まったく反省していない人たちが平然と生活しているのが相撲社会なのだ。
大相撲八百長問題で20人以上の引退者を出し、通常の五月場所も開催できず、七月場所もどうなるか分からないという大事な時期に、「親方」と呼ばれる人間が、信じられないトラブルを引き起こした。尾上親方(元小結浜ノ嶋・41)だ。自分の部屋から3人も八百長の関与認定力士を出し、委員から親方の階級で最下級の「平年寄」に2階級降格させられたばかりだった。それなのに尾上親方は、東京・新橋の飲食店で、関係者との飲み会の帰路、片側三車線の大道路交差点で停車中に眠ってしまった。通報で駆け付けた警察官に起こされ、呼気検査で呼気1リットル中に0.64mgのアルコールが検出された。これでついに「親方廃業」と、誰もが思った。
しかし、相撲協会は、尾上親方に大甘処分を下した。「10年間の昇格なし」「3カ月間の謹慎」だという。世間の常識とのズレが大きすぎないか。サラリーマン社会なら、懲戒免職されてもしょうがない不祥事だ。この処分の決定に際して、相撲協会の放駒理事長は「大変なことをやらかしたので、厳しい意見も大多数だった。ただ、部屋をなくすというのは弟子もいることだし、大変大きな問題。結果的にもう一度チャンスを与えたということ」、と説明したが、廃業になった元大嶽親方と尾上親方の違いは何か。
「弟子、家族、部屋を応援してくれる方にも、心から大きな迷惑を掛けた。こういうことがないように、師匠として一から勉強していきたい」、と尾上親方は釈明。このような親方が師匠と呼ばれる相撲社会に問題があることを、大相撲関係者は誰も分かっていない。今は最も慎重に行動しなければならない時期のはずだ。ここまで落ちてしまったのなら、いっそ国技ではなくショービジネスとして再出発したらどうかと思う。ショーならば八百長も反則も何でもありなんだから。